|
人類は、なぜ消えたのか①~滅亡~ 作:無名 ある天才科学者がタイムマシンを作ったー。 彼は意気揚々と、1000年後の未来の世界を見に行くー。 しかしーーー 1000年後の未来には”人類”は存在しなかったー。 いったい、なぜー? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ーーふふふふー できたーー ついにできたぞー!!!」 天才科学者・天藤 恭平(てんどう きょうへい)は、 嬉しそうにそう言葉を口にしたー。 「ーーー博士ー…できたってもしかしてー…?」 隣の部屋で別の研究をしていた助手の女性・ 雨澤 美羽(あまざわ みう)が、恭平の元に駆け付けるとー、 「おぉ、雨澤くんー!そう!できたんだよ!例のものがー!」と、 興奮した様子で恭平は言葉を口にしたー。 「ーーーえっ…ほ、ほんとですかー!?」 美羽は、昨年大学を卒業したばかりの若き研究者ー。 偶然、恭平が大学に招かれて講義を行った際に知り合い、 美羽が”わたしも天藤博士のような、すごい技術を作りたいです!”と、 意気投合、そのまま大学を卒業後、天藤博士の研究室で助手を することになった人物だー。 天藤博士の”タイムマシンを作る”という、 他の人は失笑してしまうような現実離れした研究にも 真剣に耳を傾けて、ここまで研究を支えて来てくれたー。 「ーーー本当に、未来とか、過去に行けるんですよねー?」 美羽がそう言うと、恭平は「あぁ、そうだともー」と、 そう言葉を口にしたー 天藤 恭平は、40代後半の研究者ー。 10年前からタイムマシンの研究に着手していて、 周囲が”そんなもの作れるわけないだろ”と、離れていく中、 それでも一人、熱心に研究を続けて、 今日、タイムマシンを完成させたのだー。 「ーーすごいー…」 恭平とは別に”人の嘘を確実に見分けることができる装置”の 研究を進めていた美羽ー。 しかし、タイムマシンを目の当たりにして、 「こんなもの見せられたら、わたしの研究がちっぽけに見えて来ちゃいますねー」と、 苦笑いする美羽ー。 「はははーそんなことないぞ。雨澤くんー 君の研究だって立派な研究だー」 恭平はそれだけ言うと、 「さて、私は一旦失礼するよ」と、そう言葉を口にして、 外出するための服を羽織ると、 美羽は少し不思議そうに「え…?どこへー?」と首を傾げるー。 その言葉に、恭平は少しだけ笑いながら振り返ると、 「決まってるー」と、タイムマシンを指差して 「1000年後の未来だ」と、そんな言葉を口にしたー。 どうして”1000年後の未来”なのかは分からないものの、 恭平はどちらかと言うと”未来を見て見たい”という願望が強いらしく、 タイムマシンが完成したら”まずは1000年後ぐらいを見て見たい”と いつもそう言っていたー。 「ーーーえ…、さ、早速行っちゃうんですか!?」 美羽が少し驚くと、 恭平は「そう。善は急げだー」と、そう言葉を口にすると、 「ーこの時代の周辺にまた戻って来るからー、 それまで留守を頼むー」と、それだけ呟くー。 「ーあ、はい、わかりましたー」 美羽は少し戸惑いながらそう言うと、 恭平は「ーまぁ、1秒後には帰って来るかもしれないけどなー」と、 少しだけ笑うー。 元の時代に戻る際に、この地点を指定すれば、 恭平が仮に1000年後の世界で1年以上のんびりしたとしても、 美羽からすれば”1秒後”に帰って来たようなー、 そんな状態が実現する可能性もあるー。 「あははー。確かにそれもそうですねー」 美羽はそれだけ言うと、 「ーじゃあ、わたしは研究しながら待ってますー」と、 そんな言葉を口にして、1000年後の未来に今、向かわんとする恭平を 穏やかな表情で見送るー。 恭平は、美羽が見つめる中、 ポッド型のタイムマシンに乗り込むと、 行先を”1000年後の未来” 西暦”3025年”に設定して、そのままタイムマシンを起動するー。 もしもー もしも、”失敗”だったら、次の瞬間、自分は死ぬかもしれない。 が、科学に殺されるのであれば、それも本望だと思いながら、 恭平はゆっくりと目を閉じたー。 そしてー、 恭平の身体に今まで感じたことのないような ”時間を移動するような感覚”と、でも言えば良いのだろうかー、 得体の知れない感覚が襲い掛かったー。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ーーーー!!!!」 恭平は、目を覚ましたー。 「ーーーー…未来に来れたのか? それとも、死んだのかー?」 自虐的に笑いながら、そう言葉を口にする恭平ー。 そして、ポッド型のタイムマシンの外に出るとー そこはーー見るからに”荒廃”した街だったー。 立派な建物が存在しているものの、 植物に覆われていて、 ”人間がいない”状況であることを示しているー。 それも、人間がいなくなってから、 かなりの年月が経過しているように見えるー。 「ーーーなんだー…これはー?」 恭平はそう言葉を口にしながら、タイムマシンから外に出ると、 タイムマシンの位置が分からなくならないように、 小型の発信機をタイムマシンと自分にそれぞれ装着してから、 そのまま移動を始めるー。 「ーーー…人がいないー?」 荒廃した街には、”人”の姿がまるでなかったー。 戸惑いの表情を浮かべながら、 周囲を探索していくー。 ファーストフード店のような建物の入り口が開いたままになっていて、 中に入れそうな雰囲気だったために、その中へと入っていく恭平ー。 すると、人がいなくなっても永遠に動き続けているのだろうかー。 スマホのような、しかし少し形の違う不思議な端末に、 ”3035.5”と表示されていたー。 「3035年ー…タイムスリップには成功したってことだなー」 恭平は満足そうに頷くー。 そしてー 客席に置かれている新聞のようなものを見つめると、 そこには、”2429年”の新聞紙が置かれていたー。 「ーーーーー」 恭平は少しだけ表情を歪めるー。 2429年の新聞紙が置かれたままになっているー… と、いうことは人類はとっくにこの街から姿を消している、 ということだろうかー。 「ーーー…誰かいませんかー?」 恭平は新聞紙を置いて、そう言葉を口にするー。 新聞紙はボロボロで辛うじて日付の部分と、 ”人ーーーー…依ーーー 犠牲者ー” という文字しか読むことはできなかったー。 「ーーーいったい、何が起きたんだー?」 恭平は戸惑いながらも、 ”この世界のネット”に繋ぐことはできないかどうか、 そんなことを試してみるー。 がー、ネットは通じずー、 試しに電話をかけて見たものの、やはり、電話も通じなかったー。 「まさか、人類が滅亡したんじゃないだろうなー?」 困惑の表情を浮かべながら、恭平はタイムマシンのところに戻ると ”時間移動モード”をOFFにして、そのままポッド型のタイムマシンを移動手段に、 別の町の様子も見に行こうと、移動を始めたー。 がー、どこを見ても、”荒廃した光景”しか広がっておらず、 人の姿は全く見えないー。 「ーーーいったい、どうなってー… ーーーあれか…隕石が落ちたりしたのか? それともー核戦争でも起きたのかー?」 戸惑いの表情を浮かべる恭平ー。 いや、しかしー ”巨大隕石の落下”や”核戦争”はあり得ないー。 それなら、こんな風に”建物はそのまま残っている”状態ではないはずだからだー。 隕石によって、世界が崩壊したなら 老朽化しているとは言え、建物がこんな風に残っているはずはないー。 勿論、”核戦争”の場合も同じだー。 建物は全て消し飛んでがれきの山になっているはずー。 そうなっていないということは ”人類が消えた理由”は別にあるー。 「ーーー…」 少し離れた町にやってくると、ポッド型のタイムマシンから降りた恭平は、 再び”人類が消えた”街を歩き始めるー。 「ーーいったい、どうなっているー? 何が起きたんだー…?」 心底、戸惑ったような表情を浮かべながら恭平は 色々な場所を探索していくー。 もはや、人の姿はどこにもないー。 ”この地域”だけがこうなったのかー あるいはー? 「ーーー…」 恭平は、”自分の時代”から持ち込んだ測定器を手に、 ”空気中の成分”などの確認を始めるー。 タイムマシンから降りる前にも既に確認はしたものの ”大気中の成分に毒が含まれていないかどうか” 改めて確認するー。 地球の環境が何らかの原因で変わり、建物はそのままで 人類が消えた、という可能性は十分にあるからだー。 がー、大気の成分もやはり問題はなかったー。 「ーーーー」 恭平は、さらに探索を続け、やがて警察署らしき場所にたどり着くー なんとか入口から中に入るも、 やはり、そこには人の姿はなかったー。 「ーーくそっ、いったい何がー?」 そう思いつつ、植物や蜘蛛の巣、ホコリなど、 長年、ここに人間がいなかったことによる劣悪な環境を 払いのけながら、恭平は、廃墟となった警察署内の書類を確認していくー すると、 そこにはー”憑依”の文字が刻まれていたー。 「ーー憑依ー?」 恭平が表情を歪めると、 逮捕された容疑者…どうやら女子大生らしき人物の書類のところに ”憑依の被害者”と書かれていたー。 ”ー署長 憑依により代行” ”アイドルグループ憑依事件” ”憑依されて事件を起こした容疑者が遺体で発見” 色々な書類が見つかるー。 「ーーーー憑依とは…なんだー?」 恭平が戸惑っていると、 ”2428”と書かれた謎の端末が置かれていたー。 2025年以降に作られた未来の技術だろうかー。 見たこともない球体のようなものが、そこに転がっていて、 どうやら、まだ動作するようだったー。 それを手に取ると、モニターやテレビはそこにないのに、 立体映像が表示され始めるー。 「ーーすごいー」 ”未来の技術”に感心しながらも、恭平は その再生された映像に表情を歪めるー。 女子高生らしき女が、銃を手に 笑いながら、警察署内で暴れている映像ー ”ーはははははっ!警視総監の娘の身体も俺のものだ! ひゃははははは!” そう叫ぶ女子高生ー。 警察署内が騒然とする中、 可愛らしい雰囲気の子が、恐ろしい形相で 狂ったように笑っているー。 「なんだこれは…」 恭平は、戸惑いを隠せずに その光景を見つめるー。 さらにその背後から、友達らしき子も 入ってきて、同じように男のような口調で叫びながら 暴れ始めるー 対処に追われる警察たちー。 が、警察官の中にも様子がおかしくなる者が現れ始めるー ”か、香織(かおり)!しっかりして!!” ”へへへーお前の後輩の身体は俺のものだー” そんな言葉と共に銃声が響くー。 大混乱の警察署内ー。 最後には、居合わせたほとんどの人間が死亡してしまい、 最初にやってきた女子高生も 笑いながら”もう、この身体に用はねぇやー”と 口走って自ら命を絶ってしまったー。 「ーーーー~~~~」 映像はそこで終了していたー。 が、あまりの悲惨さに恭平は言葉を失ってしまったー 「ーーー今のはいったいー… まるで、人々が”何か”に身体を乗っ取られたかのようなー おかしな光景ー…」 恭平は険しい表情を浮かべながら、 周囲を見渡すー。 映像記録の端末がさらに、警察署内に転がっていたー。 それを再生するー。 今度は、逮捕された女の取調べと思われる映像だったー ”ーーへへへへー俺はこの身体を返すつもりはないぜー? どうする、この女を死刑にでもするか? まぁ、それでも、俺は死なないけどなー” ニヤニヤと笑みを浮かべながら、逮捕された女が 挑発的な態度を見せているー。 ”ーくそっ!!!由香(ゆか)!正気を取り戻してくれ!” 警察官の知り合いなのだろうかー。 対応している警察官が必死にそう叫んでいるー。 そんなやり取りが続く映像ー。 そしてーー ”ー”憑依薬”はもう世界中に流出したんだー 止めることはできねぇー” 由香と呼ばれた女はそう言葉を口にすると、 ”憑依薬で世界は大混乱している”と、取調べ担当の 警察官が言ったー。 「ーー憑依薬ー…?」 恭平は心底、困惑した表情でそう呟くー。 ”憑依薬”なるものが世界を滅ぼしてしまったというのだろうかー。 「ーーもし、1000年後の未来で、既に人類が滅んでいるというならー その原因を突き止めて、それを阻止しなければー」 恭平はそう呟くー。 そう、自分はこの時代の”1000年前”からやってきているのだー 1000年前にはまだ”憑依薬”などというものは存在していなかったー その開発を阻止することが出来れば、 仮にこの時代で人類が破滅しているのだとしてもー、 それを阻止することができるー。 「ーーーー…まさか、人類を救うことになるかもしれないとはなー ふふー科学者の血が騒いできたぞー」 恭平は、未来のこの世界で”崩壊”の原因を突き止めて、 その上で元の時代へと帰り、世界を救おうと決意するのだったー。 ②へ続く ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1月ももうすぐ終わりのタイミングですが、 解体新書様では今年最初の掲載なので、 とっても遅い、あけましておめでとうございます~★笑 今年も、昨年までに続き解体新書様でも 作品を掲載して貰えることになりましたので、 昨年に引き続き、皆様にも色々なお話を お届けてしていければ~!と思います~!★ 今年最初のお話は ”未来”の世界が憑依によって 壊滅していた~!!というお話デス~!! お正月とか成人式とか、1月とは何の関係もないお話ですケド、 憑依とSF的な要素の融合を ぜひ楽しんで下さいネ~!! どうなるのかは…②のお楽しみデス~!! |