強くてニューゲーム②~最高の人生~ 作:無名 赤ちゃんに憑依して 人生をやり直すことを決意した中年男性。 ”2周目の人生” 強くてニューゲーム状態の人生の行方は…!? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 明日香に憑依した勝夫は、 明日香の身体で赤ちゃんライフを終えて、 幼稚園に入園していたー。 「ははは、幼稚園ってのは楽でいいな。 大人の俺からすればな」 トイレで一人、そう呟く明日香ー。 トイレの方法もー ”男”であった勝夫にとって”女”としてするのは 最初は戸惑ったー。 しかし、”赤ちゃん”の時代から 明日香に憑依していたことによって、 ”一人でトイレができるべき年齢”になるころには、 当然、勝夫は、明日香として普通に トイレを済ませることができるようになっていたー。 「しかしー」 鏡を見つめながら明日香は自分の顔を触るー 「ーなんとなく、美少女になりそうな感じの顔だぜー へへ…やっぱ、美男美女の娘に憑依して正解だったなぁ」 明日香は笑うー。 まだ、この年齢では、将来的にどんな感じの顔立ちに なるかは分からないー このぐらいの年齢の時に可愛くても、小学校、中学校と 進んでいくにつれて、顔が変わってくることは、 決して珍しくないー。 だがー 少なくとも、悪い顔ではないー 「ーー”大人の知恵”に”可愛い身体”に、”守られる立場”かー 最高だぜー」 明日香が、小さい子には不釣り合いな笑みを浮かべながら そう独り言を発しているとー トイレの扉が開いたー 明日香はそのとたんに、振る舞いを切り替えるー。 「あ、ちほちゃん~!」 わざと子供っぽく喋る明日香ー ”せっかくだから、幼稚園ライフも堪能しないとな” そんな風に思いながら、明日香は”つきぐみ”の、部屋に向かって 歩き始めるのだったー。 ・・・・・・・・・・・・ 「すごいーー…え??ねぇ、明日香、やっぱすごいよ」 母親が驚くー 母親から声を掛けられた父親もやってきてー 「うぉっ!?」と声を上げるー。 ”へへへー。すげぇだろ?” 明日香が内心でそう思いながら、ドヤ顔で笑みを浮かべるー 幼稚園から出された課題の 名前を書く欄に、 ”平本 明日香”と、漢字で字を書いて見せたのだー。 筆跡も、少女っぽい筆跡になるように、 両親が寝た後、何か月もかけて、練習しー 元の自分の筆跡とは、変えているー。 「ーーど、どうやって覚えたの?」 母親が言うと、 「ママとパパが書いていたから!」と、明日香は嬉しそうに微笑むー 「ーーすごい…明日香は天才だな」 父親が、嬉しそうに言うー。 「ーーふふっ」 明日香は満足そうだったー。 明日香に憑依して”人生をやり直した”勝夫は、 こんな風に褒められた経験もあまりなかったー。 それゆえに、今、こんな風に褒められている状況は、 とても新鮮かつー、 最高の状況と言えた。 「ーーわたし、パパとママの名前も書けるよ!」 そう言いながら明日香は、 「平本 久美子」「平本 孝雄」と、 両親のフルネームもその場で漢字で書いて見せたー 驚く両親ー 「ははっ!すごいぞ明日香」 父親の孝雄が嬉しそうに明日香の頭を撫でるー 撫でられて嬉しそうに笑う明日香ー。 両親からも期待されずー 学校での成績も低くー 会社でも必要とされなかった勝夫にとってー この、今の状況はー もはや”夢”ー 夢のような状況であると言えたー。 「ーーすごい!明日香ちゃんすごいよ」 「ーー明日香ちゃん!」 幼稚園でもー 明日香は”同年代の子供たちからすればすごいこと”を いとも簡単にやってみせたー 先生たちは、そんな明日香のことを褒めてー 同じ幼稚園に通う友達からは”ヒーロー”のように扱われたー 「ーーはははははは!たまんねぇ…最高すぎる!」 まるで、RPGゲームをクリアした状態で、 最初からゲームをはじめてー LV70の状態で、序盤に出てくるLV5のボスを 一撃で葬った時のような快感ー それを、勝夫は味わっていたー 明日香の身体で、勝夫は”無敵”の状態を味わい、 そして、愉悦に浸っていたー。 ”強くてニューゲーム…いや、ニュー人生、最高だぜ!” 幼稚園の楽しい生活が終わりー 勝夫は小学校へと入学したー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「へへへ…まさか俺が赤いランドセルで学校に通うことに なるなんてなー」 明日香は笑みを浮かべるー。 一人の時は、元々の勝夫としての言葉遣いで 話すことも多いが、 ”人前”では完全に”明日香という少女”として振る舞う癖が、 もはや完全にしみついたー。 勝夫は、自分の小学生時代を頭の中で思い出すー。 ”1周目”の小学生人生は最悪だったー。 怠け者な性格で、成績はボロボロ、 イタズラばかりして先生に怒られてー、 ウソばっかりつくことで、友達もいなかったー そんな、小学生時代ー。 だが、今回は違うー ”天才少女”としてー 明日香は一気にクラスの人気者になったー ”大人の悪知恵”と ”大人の経験”を利用すればー 教室の人気者になることなんて、たやすいことだー。 「ーーすごい!明日香ちゃんって何でも知ってるんだね!」 他の女子が言うー。 「ーふふふ…そんなことないよ~」 明日香はそう言いながらも”物知り”として クラスの男女問わず、人気者になったー 「ーーへへへ…最高の生活だぜー。 周囲のやつらは、そうだなー、 まだLV10にもなってないやつらばかりだけど、 俺はー既に40代だったからなー 合わせてLV50は超えてるし、 実力差を感じるぜ、くくくー ーーまぁ、小学生のうちは ”優等生”として、周囲からチヤホヤされながら 過ごすとするかー」 中学生ー 高校生ー 大学生ー となったら、 今度は、女として男を誘惑して遊んでみたいー 元々、下心目的で女に憑依したわけではなかったが やはり、”元男”としての自覚と記憶を持ったまま 女になると、試してみたくなるー 「今は、まだ早いけどなー」 今は身体で遊ぶ時期ではないー。 それは、この身体がもっと成長してからのお楽しみだー。 そしてー 「ーーー予想通りー美少女だぜー」 綺麗な黒髪を触りながら、 勝夫の予想通り”美少女”に育っている明日香を見て、 明日香の身体で勝夫は笑みを浮かべたー。 「ーー9X9=81ー」 掛け算を習った日ー。 明日香は、初日にして、いきなり掛け算九九を全て、 丸暗記していることを披露してみせたー 先生が「す、すごい」と、驚くー。 周囲のクラスメイトたちからは、拍手の嵐だったー。 「ーーえへへ」 明日香は照れくさそうに笑うー。 ”あいつ調子に乗ってるな”と思われないように 大人の知恵で立ち回りつつー 周囲から尊敬されるような少女を、明日香は目指していたー 2年生ー 3年生ー 4年生ー どんどん時は進んでいくー。 明日香は、次第に自分の身体が成長していくのを感じるー。 「ーへへへ…滅茶苦茶かわいいじゃん」 鏡に映る顔を見て、満足そうな明日香ー 「ーおしゃれとかも、いっぱい、楽しまなくちゃなー」 明日香はー 成績超優秀の状態で、6年生までの充実した 小学校生活を送りー ”天才少女”として、地域の新聞にも載ったぐらいだったー。 「ーーー俺の人生が嘘みたいだー やっぱ、俺みたいなおっさんは、人生やりなおすしか ないってことだな」 明日香はそんな風に言いながらー 桜が咲き始めた季節ー。 ついに、小学校を卒業したー。 次は、中学校ー。 「ーーくくくくく…」 何かを眺めながら部屋で笑みを浮かべている明日香ー 小学校高学年になってからは髪型をツインテールに変えて 美少女ライフを楽しんでいた勝夫はー 次なる楽しみを見つめながら、笑みを浮かべているー。 その、楽しみとはー ”中学校の制服”だったー 「中学からは制服だからなー へへへ…楽しみだぜ」 明日香は笑みを浮かべながら ”女子として制服を着る”ことに、ワクワクを隠し切れずにいたー。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 中学校に入学した明日香ー 「ーこの、だんだん身体が成長していく感じ、たまんねぇなー」 ”天才少女”としてチヤホヤされて、 充実の小学校生活を送った明日香ー。 勝夫は思うー。 ”自分のときー いや、1周目の人生とは大きく違った” とー。 ”1周目”の人生の時は、 友達もほとんどおらず、 勉強もできず、 怠けている学校生活を送り、 先生から褒められるようなことも 周囲からチヤホヤされるようなこともなかったー。 家でも、両親から褒められたりだとか、 そういう経験はほとんどなかったといっていいー。 だが、今は違うー。 友達も多くー 勉強はできてー 学校生活でも”優等生”を演じてー 先生から、家族から、色々な人たちから褒められるー。 褒められていると、やる気が出て、 もっとまじめに振る舞うことができるー。 自分が”本当に天才”になった気持ちになるー。 「ーそろそろ恋愛も経験してみたいよなー」 ”1周目”では一切経験することのできなかった恋愛ー。 それも、今回は経験してみたいー ”この身体”を使えば、 男子を落とすのなど、たやすいことだろうー。 自分のように、教室の端っこにいるような男子を 誘惑するのも面白いかもしれないー。 中学入学後ー 制服にドキドキする日々を送りながらー 次第に、男子は男子らしく、 女子は女子らしくなっていくのにもまた、ドキドキしたー。 「へへへへへ…」 成績は変わらず優秀ー。 勝夫自身は成績が低く、全然勉強できなかったタイプだがー ”中身は実質上中年のおじさん”である明日香にとって、 小学生レベルの授業は、勉強などせずとも、簡単なことだったのだー それは中学生になっても同じー… はずだったー。 だがー 「ーーーー……」 表情を歪める明日香ー。 ”算数”から”数学”になって、方程式が登場するー。 ”英語”の授業が本格的に始まるー。 他の教科もだんだんとレベルアップしていくー 小学生レベルの漢字は、大人になって、 当たり前のように使うものが多かったから、 勉強しなくても解けたもののー 中学生レベルの漢字は、なかなかに難しいものもあるー。 「ーーくそっ」 歯ぎしりをする明日香ー。 ”明日香が天才少女”だったのは、 勉強していたからでもー 本当に天才だったからでもないー 中身が”おじさん”だからだー。 大人が小学生の授業を受ければー ”既に知っている”ことも多いわけだからー 外見が子供ならば、天才に見えるー。 「ーーーー明日香…最近、どうしちゃったの…?」 ”中学生になってからみるみる成績が落ちていく” そんな娘を心配する母親ー。 「ーーーご、ごめん…ち、ちょっと英語とか、うまくいかなくてー」 社会科や国語など、ある程度の成績を維持できているものはあるー。 しかしー 数学や英語ー ”元々、勝夫が苦手で、大人になってからも知識0のまま” だったものに関しては、 ”2周目”の恩恵を生かすこともできなかったー。 そして、元々勝夫は勉強が嫌いで、 それは明日香になってからも、変わっていなかったー。 学校の授業だけで、理解するー そういう風に生きてきたー。 数学20点ー 英語15点ー 悲惨な点数を連発しー、 明日香を”天才少女”と呼ぶものは、次第にいなくなっていたー。 「ーーーーー…」 人間関係も、 小学生の頃より複雑になっていきー ”おじさんの人生経験”で、周囲をうまく手なずけることが できなくなりつつあったー。 「ーーーチッー」 明日香の周りからだんだんと友達の姿がなくなっていきー いつしかー ”強くてニューゲーム”として2度目の人生を始めた勝夫は ”周りに追い付かれて”しまっていたー ③へ続く ・・・・・・・・・・・・・・・・ この物語の主人公の彼は 2周目の人生で何の努力もしなかったので 大きくなるにつれて周囲との差がなくなり、 追い付かれてしまいました…★ せっかく順調だったのに、 なんだかこの先、大変そうな雰囲気ですネ~! ちなみに、もしも皆様が この物語と同じように、憑依で今の時点の記憶を 持ったまま人生をやり直せるとしたらどうしますか~? 私は… この身体が若いうちはもう少し 使ってから…がいいので、今はやり直さないと思います~笑 今日もありがとうございました~! |