全人類女体化計画②~疑念~
 作:無名


宇宙人とのファーストコンタクトに成功ー。

しかし、宇宙人は謎のロボットを投下し始め、
そのロボットたちによって、
人類は”女体化”させられ始めたー。

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「ーー素晴らしい…!本当に素晴らしいぞ!」
宇宙人とのファーストコンタクトを誰よりも
望んでいた川熊博士は、興奮した様子で
世界宇宙連合の研究所内を歩き回っていたー。

ぶかぶかの白衣にボサボサの髪ー
椅子に座ると、子供のように足をパタパタさせながら笑うー。

川熊博士は、女体化した際に、なぜか女の子のような姿に
なってしまい、その姿で、元の博士のまま振る舞うため、
まるで”生意気なメスガキ”のような雰囲気になってしまっていたー

「っていうか、博士ー
 女になった直後は髪も綺麗だったのに、今じゃすっかりボサボサだなー」

「ーーほら、博士、研究に没頭すると風呂も入らないからー」

「ー女になった今、それじゃ、まずくね?」

3人の助手が川熊博士を見つめながら噂話をひそひそと続けるー。

3人の助手はそれぞれ”女体化”した自分の身体を堪能していたー。

一人は、
おしゃれにはまり、まるでモデルのような服装で
女体化した自分を堪能しているー

一人は、
メイクにはまり、今では外出時にはメイクを欠かさないようになったー

もう一人は、
コスプレにはまり、メイド服ツインテールで研究所に出勤しているー。

「ーーー坂部(さかべ)」
川熊博士が、三人の助手の一人ー
メイド服ツインテールの坂部を呼んだー。

坂部が反応すると、
川熊博士は椅子で足をばたばたさせながら、
坂部を手招きしたー。

そしてー
ツインテールを揺らしながら近づいてきた坂部に対して
突然「脱げ」と宣言したー。

「ーーはい?」
坂部が首をかしげる。

「ー聞こえなかったか?脱ぎたまえ」
川熊博士が、可愛らしい声で言うー。

「え?ちょ??ちょ?え?何言ってるんです?博士?」
メイド服を触りながら坂部が反論すると、
「ー君は男だろう?何も問題ないだろうが~」と、川熊博士は、
坂部に脱ぐように促したー

顔を真っ赤にしながら、メイド服を脱ぎ捨てる坂部ー。

坂部は恥ずかしそうに目を逸らすー。

川熊博士は、小さな身体で、脱いだ坂部を
じろじろと、全方向から見渡すー。

「ーー…」
坂部はツインテール姿で裸体を晒しながら
「な、なんなんですか…?」と呟くー

突然、坂部の胸を触る川熊博士ー

「ーやはり、本物だー」
女の子の姿で、欲望に満ちた笑みを浮かべる川熊博士ー。

「ーー素晴らしい すばらしい 素晴らしいぞ!
 男の身体をこうして、完全に女に作り変える技術!

 あの宇宙人たちは、やはり、我々人類の救世主となる!」

川熊博士は興奮した様子で話すー。
小さな身体で白衣を引きずりながら、
自分の棚の前に移動すると、
背が小さくて、元々は取れていた書類が取れないことに気付き、
必死に背伸びをするー。

「博士、脚立をー」
メイクにはまった助手が苦笑いしながら脚立を差し出すと、
「ーわ、、わ、私には必要ない!」と、必死に
ぴょんぴょん飛び跳ねながら、書類を取ろうとする川熊博士ー。

「ーあの宇宙人と積極的に親交を深めー
 どんどん新たな技術を取り入れるべきだ!」

すっかり宇宙人のファンになった川熊博士は嬉しそうにそう叫んだー。

だがー
世間には謎のロボット軍団を投下して、人類を女体化させていく
宇宙人を気味悪く言う声も多くー
”即時攻撃するべき”という意見も出ていたー。

世界的権威である川熊博士は猛反発していたがー
その対立は深まるばかりだったー。

「ーーあの」
裸のまま立たされている坂部が「そろそろ…服、着てもいいですか?」と
脱ぎ捨てたメイド服を指さすー。

「ーーこれほどの技術を持っている宇宙人が、地球に来てくれるとは!
 私はもう、感動が止まらないよ!」

興奮した様子の川熊博士は、
坂部の言葉など耳に入らないという様子で
「政府にもう一度、決して宇宙人を攻撃しないよう、釘を刺しておくか」と、
白衣を引きずりながら、そのまま部屋の外に向かうー。

「ーーあの、博士、服、着てもー」
坂部がもう一度言うと、

「ーー君はさっきからうるさいなぁ!そのままでいたまえ!」と、
そのまま別室に向かってしまったー

「ーーははは、興奮した川熊博士は手に負えないな」
おしゃれにはまった助手が、災難な坂部のツインテールを触りながら、
揶揄うような言葉を口にすると
「勝手にわたしのツインテール触らないでよ!」と、
坂部はふざけて女口調で言い返したー。

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「ーーしかしー博士、
 あなたのように、女になって喜ぶ人間ばかりではないのだー。」

神林総理大臣は、川熊博士とのオンライン会議でそう呟くー。

「ーーもちろん、それは心得ていますー」
可愛らしいボサボサ頭の少女が映っている画面を見ながらー

”これ、本当に川熊博士だよなー?”
と、一瞬、神林総理大臣は疑問を抱いたものの、
話している態度から
”まぁ、こんな感じの人は川熊博士しかいないからな”と
自分なりに納得するー。

「ーーこれは宇宙人の優れた技術を提供してもらうチャンスです。
 人類の更なる”繁栄”の第1歩ー。
 男であることが、なんだと言うのです?
 総理、彼らを攻撃してはなりません。

 宇宙人たちと何としても友好関係を築きあげて、
 人類の宇宙進出の第1歩とするのです」

川熊博士の言葉に
神林総理大臣は、”ある懸念”を口にするー

「しかしだな博士、あなたも分かっているとは思うのだが、
 全人類が女になってしまえばー、
 人類は絶滅してしまうー。」

”全人類”を女体化させることで、
宇宙人は人類を”静かに滅ぼそうと”しているのではないかと
疑う人間もいるー。

神林総理大臣は、その懸念を川熊博士に伝えるー。

「ーーー彼らの、目的が知りたいー。
 このままただ、意味も分からないままロボットたちが
 人間を女性にして回っている状況ではーー
 他国の中にも、不安を感じる人間は出てくるだろうー。

 それに、城之内(じょうのうち)官房長官を始め、
 宇宙人に先制攻撃を仕掛けるべきだという意見も
 少なからずあるー。
 長曾我部(ちょうそかべ)防衛大臣も賛同しているー。

 もしも、宇宙人と友好関係を結ぶ、というのであれば
 今のこの状況を、彼らに説明していただきたいー」

総理の言葉に、川熊博士は、足をバタバタさせながら
”総理がそこまでおっしゃるなら、確認してみましょう”と、
可愛らしい顔に笑みを浮かべたー。

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謎のロボット軍団は、謎の光を男たちに照射ー
次々と男たちを女に変えていったー。

それにより、社会の混乱は拡大するー。

”女体化”を喜ぶ人間も確かにいたー。

宇宙人に可能性を感じる人間も、いるー。

だが、
”男のままでいたい”と考える者もいるし、
”女になりたくない”と考える者もいるー。

人々の不安は広がりつつあったー。

とは言えー

神林総理大臣は「とにかく、攻撃をしてはならない!」と
城之内官房長官らに伝えるー。

”攻撃”を仕掛ければもう後戻りできないー。

地球に到達することのできるレベルの”技術”を持つ宇宙人だー。
人類が勝てるとすれば、先制攻撃の際に一気に壊滅状態に
追い込む必要があるー。

そうでなければ、ほぼ確実に地球は滅ぼされるだろうー。

仮に、宇宙人たちが放ったロボットたちによる
女体化が”多少理不尽な理由”であったとしても、
”人類が滅亡しない”のであれば、その道を進むしかないー

”攻撃”すれば
宇宙人と全面戦争に突入する可能性があるー。

それは、リスクが高すぎるー

この世界の地球でも”現在”は
「月面旅行に行くのがやっと」なのだー。

”月面旅行が限界な地球人” VS ”遥か彼方から地球に到達できる宇宙人”

戦う前から、結果は見えているー。

だからこそー
”攻撃”の判断は、ギリギリまで待たねばならないー。

既に息子二人が”女体化”してしまっている神林総理大臣は
険しい表情で、各国との首脳の会談の予定が近づいていることに気付きー
そのまま別室へと移動を始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー私は、あなたに感謝しているー。
 だが、人類の中には、あなたたちに不安を感じている者もいるー
 どうか、あなたと、直接お話したいー」

ぶかぶかの白衣を身に着けた状態の少女ー…の姿になった
川熊博士が言うと、宇宙人の代表を名乗る”ズー”は、
”我々に争うつもりは一切ない”とした上で、
”だが、人間の不安も理解できる”と、川熊博士の要求に応じたー。

そしてー
世界宇宙連合日本支部のビルの屋上に、
”ズー”はやってきたー。

今度は、ホログラム映像ではなく、紛れもない本物がー

人間のような形をした両生類のような生命体が、
ゆっくりと歩き出すー。

「ーーーー来るな!君たちは下がっていたまえ!」
警備員が銃を持って近くに寄ろうとするのを、
少女の姿をした川熊博士が制するー。

そして、職員たちだけを近くに待機させると、
ズーと川熊博士は対峙したー。

宇宙人”ズー”は2メートル以上はあるだろうか。
ホログラム映像の時は分からなかったが、その身長差は
歴然だったー。

「ーー博士が、女の子になったから、余計に身長差が目立つなー」
今日はチャイナドレスで出勤している女体化した研究員・坂部が言うと、
隣にいたメイクにはまった助手が、手鏡で自分の顔を見つめながら
「そういえば、どうして博士だけ、あんな小さな子になったんだろな?」と
綺麗な声で呟くー

「確かにー俺たち、みんな、年相応の女性になったのになー」
おしゃれ好きになった助手が嬉しそうに笑うー。

「ーー代表の川熊です。はじめまして」
川熊博士が握手を求めると、
ズーは少し困惑した。

”身長差”がありすぎるのだー。

それに気づいた川熊博士がぴょんぴょん飛び跳ねながら
なんとか握手をしようとするー。

やがて、ぶかぶかの白衣のせいで、転んでしまうとー
ボサボサの髪を掻きむしりながら

「ー本題に入る前にひとつ!
 なんで私だけ、こんな小さな子になったのかね???」
と、川熊博士は言い放ったー

”でかい宇宙人を前に、あの態度ーさすが博士だなー”

博士の自由奔放な振る舞いに、ある意味感心して見せる
助手の坂部ー。

「ーーー”精神年齢”が女体化後の姿に反映されるー。
 そのためであろうー。」

ズーは淡々と告げたー

つまりー
川熊博士の精神年齢は、女の子レベルということだー。

「ーーそ、そ、そ、それはつまり、わたしがガキってことかねー?」
川熊博士は可愛い声でそう叫ぶと、
ズーは「気分を害したなら、申し訳ないー。」と、目を閉じるー。

「ーーい、いや、いやぁ、別に構わないよ。

 それでー
 本題なのだがー
 人間は男女が交わることで子孫を残すー。
 君たちのロボットが、我々を女にしているのはー

 まぁ、私は別に構わないのだがー
 このままだと我々は、子孫を残せなくなってしまうー。

 これについて、説明を求めたいー」

川熊博士自身は宇宙人を疑っていなかったが、
神林総理大臣をはじめ、世界各国では疑念を持つ人間もいるー。

「ーーなるほどー。」
ズーは、考えるようなポーズを取ると、
「申し訳ない。地球の皆さん」と、答えたー。

「だが、地球は皆さんのものだー。
 我々に争う意思はないー。
 我々は、文明の存在する星を、決して侵略したりはしないー。」

ズーは穏やかに、そう呟いたー

③へ続く

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第2話でした~!☆

いつも、私は解体新書様にお話を提出(?)する前に、
私自身でも読み返すのですが、
時々、内容を忘れている作品もあったりして、
読者気分を味わえちゃうのも、密かな楽しいデス~!

…でも、今回の作品は
内容をちゃんと覚えちゃってたので、
読者気分はナシ☆でした笑

物語のほうは、
今のところ、侵略行為を行わず
ただ人間を女体化させているだけの宇宙人…☆

次回、その真意や結末が明らかになります~!

なんとなく想像がついてしまっている皆様も、
全然分からない!という皆様も、
ぜひ結末を見届けて下さいネ~!☆