入れ替わりガチャ②~欲~
 作:無名


謎のアプリ”入れ替わりガチャ”を使って
入れ替わった男子高校生ー。

そんな、彼が入れ替わった相手とはー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”入れ替わりガチャ”ー

それをついに使った弘樹はー
可愛らしい服装の女と入れ替わったー

「うぉぉ…すげぇ…やったー…やった…!」

ふわふわした感じの、今まで来たこともないー、
童話にでも出てきそうな、そんな感じの
服装ー。

「なんだこのメルヘンな感じの部屋ー…すげぇ…」

部屋の中はとても可愛らしくー
ぬいぐるみがたくさん飾られていてー

”これが女の子の部屋なのかー”と
思ってしまうぐらいにおしゃれだー

「それにしても…俺が…こんなー」

可愛らしい声でそう呟くー。

まさかー
”入れ替わりガチャ”で、
いきなり、そこそこ可愛い子と入れ替わることが
できるとは思っても見なかったー

どうせ、おじちゃんとかおばあちゃんとか、
小太りの中年おじさんとか、お世辞にも可愛いと言えない子とかー
そういう相手と入れ替わるとばかり思っていたー。

けど、実際は違ったー。

”美少女”とまでは行かないと思うしー
超かわいい、とまでは行かないがー
弘樹からすれば十分に可愛いー

「へへへへへ…す、すげ…」
自分の胸に手を触れて、思わずニヤニヤしてしまうー。

女の胸を触ることでー
弘樹にとっては
”自分が入れ替わった”ということを強く実感できたー

「ーーん?」

女の、まるでお姫様のようなベッドの上に、
スマホが置かれているー。

スマホには
”入れ替わりガチャのご利用ありがとうございます”と
表示されていて、
そこには弘樹のアカウントが表示されているー。

どうやらー
入れ替わりガチャを使って入れ替わると、
アプリのプログラムで、自動的に
”入れ替わった相手のスマホ”に自分のアカウントが
移動するようになっているようだー。

「ーお、すげぇ…スマホのパスワードも俺のものに
 変わってるー」

”入れ替わり後”は、当然自分のスマホを使うことはできないー。
だからこそ、入れ替わりガチャのアプリが、
入れ替わった組み合わせ同士で、スマホのパスワードと、
入れ替わりガチャのアカウント情報も、入れ替えるように
しているようだー。

これでー
一応は入れ替わった相手のスマホを使うことができるー

「ーと、そうだー
 俺の”新しい名前”なにかなー」

そう思いながら、身分証明となるものを探すー

雰囲気的に高校生か大学生だろうかー。

そう思いながら、
身分証を探るとー、
入れ替わった相手の女のものと思われる
”免許証”を見つけることができたー

「あれー…免許」

少し意外そうに呟くー。
免許を取りそうなイメージには思えなかったからだー。

「ってことは大学生かー」

そう思いながら名前を確認すると、
そこにはー、
本庄 姫香(ほんじょう ひめか)と書かれていたー。

「へへへ…姫香ちゃんー」
ニヤニヤする姫香(弘樹)ー

「って、年上の人をちゃん付けで呼ぶなんてー」
と、自分で自分にツッコミを入れるも
「あ、今はわたしが姫香なんだった~~~! 
 なんて」
と、嬉しそうに一人で呟くー

”わたしが姫香”と、呟いただけで
とてもゾクゾクするー。

そう思いながら、
”でも、大学生じゃ俺、高校生だし、勉強とか大丈夫かな”と
少し不安になりかける姫香(弘樹)ー

「ーーって、え?」

姫香(弘樹)は免許証に刻まれている
ある表記が目に入ったー

そこに記載されていたものー
それはー

”昭和63年5月18日”ー

「ーーー…あ????」
姫香(弘樹)は、もう一度鏡のほうを見るー

よく見るとー
かなり濃い化粧をしているもののー
結構歳を取っているように見えるー

「いや…え…昭和63年ってー
 今は2022年だからー、えっとー

 えー
 この人…30代中盤!?」

姫香(弘樹)はそう言うと、
まるで”お姫様”のような、メルヘンチックな部屋を見つめー
さらにはゴスロリっぽい、そんな感じの服装の
姫香を見つめてー、
呆然としたー。

「ーこ、この人ー…え…?」
姫香(弘樹)はそうこうしているうちに、
「ー姫香…ご飯よ」と、部屋の外から
声を掛けられてドキッとするー

「えっ!?あ、はいっ!」
相手が誰なのかも、
姫香が普段どう振る舞うのかも分からないまま、
そう叫ぶー。

困惑しながら部屋から出ると、
普通の一軒家でー
年老いた母が、疲れた様子で食事を用意して待っていたー

”さりげなく”
色々な会話をしていく姫香(弘樹)ー

そしてー

この子は”10年以上引き籠ってお姫様みたいなことをしている女”であることを知りー、
さらには父は既に他界、母と二人暮らしで、
姫香本人は半分引きこもりのような状態で仕事もしていないのだと言うー。

「ーーーーーーはぁ…」
部屋に戻ってため息をついた姫香(弘樹)ー

弘樹が入れ替わった相手・姫香は
10年以上実家で引き籠って、お姫様みたいなことを部屋で楽しんでいる
30代中盤の女だったのだー

「ーー…うわぁ…確かにーー」
ネットで調べたりしながら、適当にメイクを落とした姫香(弘樹)は、
高校生の弘樹からすれば”おばさん”だったー。

「ーー………俺の理想と違うー」
姫香(弘樹)は、部屋で腕組みをしながらそう呟くー

”10年以上も引き籠っていることを心のどこかで気にしていて、
 入れ替わりガチャを使って自分を変えたいー”

それが、姫香が入れ替わりガチャに登録していた理由だったー。

「ーーはぁ……」
ため息をつく姫香(弘樹)ー

だが、仕方がなく姫香として1週間ほど生活を送るー。

エッチなことも試してみたー。
弘樹が今までに感じたことのない快感を味わうことができたし、
本当にゾクゾクしたー。

けど、来る日も来る日も部屋で
特にやることがない時間を送りー、
姫香の母親も既に姫香には何かを言うのを飽きたのか
何も言ってこなかったー

「ーーー…なんか…つまんねぇな…」

確かに、不便なところはあまりないー
30代中盤とは言え、そこそこ綺麗な人であるのも間違いないー。

でもー
それでも、弘樹が”満足できる入れ替わり相手”ではないのも事実だったー。

姫香と入れ替わって1週間が経過したその夜ー。
弘樹は決意したー。

「ーもう一度…ガチャを回す!」
とー。

「ーーって俺、まんまと運営に課金に誘導されているようなー」
姫香(弘樹)はそんなことを呟きながら
最初にガチャを回したときと同じように、
1000円の支払いを行いー

”入れ替わりガチャ”を回したー。

「ーーー!!!!」
最初の入れ替わりの時と同じようにー
元の身体ー…今回の場合は姫香の身体で気を失い、
そしてすぐに”入れ替わった先の相手”の身体で目を覚ましたー

「ーーあぁ!くそっ!ハズレだ!」

ポテトチップスを食べている途中の
おじさんと入れ替わった弘樹は思わずそう叫んだー。

入れ替わったタイミングが悪く、
ポテトチップスの袋を床に落とし、
散乱してしまっているー。

狭いアパートの中で暮らしている中年のおじさんー。
毎日スナック菓子を食べているのか、
キッチンの方にはスナック菓子が山積みになっていて、
それらを毎日食べていることを示すかのように
おじさんは太っているー。

「ーー…ってか、部屋に堂々とこういうの…並べるなよなー」
まだ高校生の弘樹は、おじさんの身体でそう呟くー。

入れ替わった相手のおじさんはー
”AV”を堂々と部屋中に並べていたー。

このおじさんは”美少女になりたい”という想いで
入れ替わりガチャに入れ替わり登録をしたー…、ものの、
自分からガチャを回す勇気はなく
”誰かがガチャを回した際の入れ替わり対象になるのを”
待っていた受け身のおじさんだったー。

「ーー…ってことは、このおじさんは今頃あの
 メルヘンお姫様の身体になって
 喜んでるのかー」

おじさん(弘樹)はそう呟くー。

確かに、この身体ならさっきまで弘樹が使っていた
メルヘンさんの身体の方が10倍、いや、もっとマシだろうー。

「仕方ないー
 またガチャを回すかー」

”運営はこうして儲けているのか”
と、思いながら入れ替わりガチャを再び回すー。

3人目はーー
高齢のおばあちゃんだったー

身体が滅茶苦茶痛いー
思う様に動かないー。

一気に高齢化したことで、
”少しずつ年老いる”以上に
その身体の違和感を全身で感じて、
慌てて再び入れ替わりガチャを使う弘樹ー

4人目はー
病院のベッドの上で横たわっているサラリーマンの男ー。
理由は分からないが、明らかに病気で、
治療中ー、あるいはもう余命宣告されている雰囲気だったー。

さらに入れ替わりガチャを使用する弘樹ー。

5人目はー
”弘樹から見れば”ブスすぎる子だったー。
この子もやっぱ”可愛くなりたい”と、思っていたのだろうかー。

「くそっ!こうなったら俺の理想の身体が出るまで
 ガチャを回していくぞー!」

6人目はー、
2人目の入れ替わり相手とは”別の”中年おじさんー。

7人目も中年のおじさん
8人目はおじいちゃん
9人目はニートのガリガリの男ー
10人目は体重100キロ越えの40代女性ー
11人目は借金まみれのギャンブル男ー
12人目は別の国の過酷な環境で生きていた子供ー
13人目は中年のおじさんー
14人目も中年のおじさんー
15人目は妻に離婚されて借金まみれのおっさんー

「ーああああああああ!くそっ!」
弘樹は、15人目の男の身体で叫ぶー。

「ロクな身体がねええええええ!」

友人の卓が言っていた通りだったー。

「ーーくそっ…!やっぱりー
 やっぱり”入れ替わりたい”なんて思って
 入れ替わりガチャに入れ替わり登録するようなやつらはー
 こういうやつらしかいないのか!!!!」

弘樹は、借金まみれのおっさんの身体でそう叫んでいると、
家を乱暴にノックする音が聞こえたー

「おい!森山ァ!!出てこいやぁ!」
いかにもヤバそうな声が聞こえるー

「も、もりやまぁ!?誰!?お、俺か!?」
今の自分の身体の名前がそうなのだと確信して、
慌てて入れ替わりガチャを起動し、課金する弘樹ー。

そしてー

16回目の入れ替わりを終えた弘樹はー

「おっ!!! おっ!!!! おっ!!!!!!!」

と、嬉しそうに叫んだー

ついにー
ついにーーー

”滅茶苦茶可愛い美少女”の身体になったのだー

机の上には、生徒手帳ー。

「高校生かー」
そう思いながら名前を確認すると、
そこには、小森 亜優(こもり あゆ)と書かれた
生徒手帳が置かれていたー

「ーーーやったぜ!!!!ついに!!!ついにー」

”ガチャで大当たりを引いたぞ!!!!”

そう確信して、思いっきりガッツポーズした亜優(弘樹)ー

しかしー
すぐに、その表情は青ざめていくー

自分のベッドの上にーーー
”血のついた包丁”が置かれていたのだー

「ーーえ…」
亜優(弘樹)は困惑しながら、部屋を飛び出すとー
自宅のキッチンでは、母親と父親らしき人物が
血を流して倒れていたー

「ーーーえっ…… えっ……」
亜優(弘樹)は青ざめるー

「ーこ、この子ー…お、親を殺しー……」

ひぃいいいいい!!!と、叫びながら部屋に引き返す亜優(弘樹)ー

やっぱ、ロクなやつがいねぇ!!!

そう思いながら、亜優(弘樹)が、亜優のスマホを手にするもー
何故か電池の残量が1パーセントでーーー
入れ替わりガチャを起動する前に、スマホの電源が切れてしまったー

「おぉい!!!」
そうこうしているうちにインターホンが鳴るー

「やべぇ!?警察!?」
そう思いながら、亜優(弘樹)は慌てて充電器を探し始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お…お兄ちゃん…や、、やめてよ…」

泣きながらそう呟くのはー
弘樹の妹・紀香ー

弘樹の身体はーーー
最初に入れ替わった相手・姫香ではなくー
その後、姫香が入れ替わりガチャを使いー、
その後も何人かが入れ替わったことでー
今はーーー

”連続暴漢魔”の男・源太郎(げんたろう)が中身になっていたー。

「ーーーぐへへへへへ…お兄ちゃんの言うことを聞けよ!!!」
弘樹(源太郎)が、妹の紀香の頬をグーで殴りつけるー

弘樹(源太郎)はー、
そのまま実の妹で、己の欲望を満たそうとしていたー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

入れ替わる相手がランダムで、
しかも自分の身体を使う相手も誰になるか分からない…

そんな入れ替わりだと、
やっぱり使う時は不安ですよネ~!

皆様の手にもしも”入れ替わりガチャ”のアプリが
あったら使いますか~?
それとも…?

真剣に入れ替わりガチャの攻略法(?)みたいなものを
考えれば、もしかしたら狙った身体と入れ替わるテクみたいのも
見つかるかもしれませんネ…笑

私は健康な時だったら使いたくないですケド…笑

…次回が最終回なので、
ぜひお話の結末も見届けて下さいネ~!