入れ替わりガチャ③~運命~(完)
 作:無名


入れ替わる相手は運次第ー…

謎のアプリ”入れ替わりガチャ”で
理想の身体を求め、入れ替わりを繰り返していく
彼の運命は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーへへへへへへ…
 へへへへへへへへへへへへへへっ!」

弘樹(源太郎)は、
大笑いしながらー、
部屋の隅で怯えながら泣いている妹・紀香を見つめたー

紀香は身体をガクガクと震わせて
兄・弘樹のほうを”化け物”を見るかのような目で見ているー

「そんな目で見るなよぉぉ…へへへ」
弘樹(源太郎)はニヤニヤと笑みを浮かべるー。

”入れ替わりガチャ”を使って、
別の人間と入れ替わった弘樹ー。

当然、弘樹の身体には、最初に入れ替わった30代女性・姫香が
当初は入っていたー。

だが、姫香は”異性ではなく、若い同性の身体でやり直したい”と
考えていたため、弘樹の身体になったあとに再び
入れ替わりガチャを回しー、
別の人間と入れ替わり、弘樹の身体はその後も何度か持ち主が
変わった挙句ー、

”連続暴漢魔”で指名手配中だった男・源太郎が
現在は弘樹の身体になっていたー。

源太郎の目的は”美少女”になることー。

当然、彼からすれば男子高校生の弘樹の身体は”ハズレ”だったが、
再び入れ替わりガチャを回そうとした際にー
偶然、別件で妹の紀香が部屋に入ってきたことでー…
考えを変えてしまったー

”なんだこの妹、可愛いじゃねぇかー”
とー。

そしてー
兄の身体で妹を襲うという、禁断の行為に手を染めてしまったー

乱れ切った紀香が泣きながら「もうやめて…助けて…」と、
弱弱しく呟くー

「ーへへへ”お兄ちゃん”をもっと気持ちよくしてくれよー」
ニヤニヤと笑う弘樹(源太郎)ー

もはや”いつもの弘樹”の面影は、見た目以外、何もないー。

泣きながら首を横に振る紀香ー

「ーーお兄ちゃんに、逆らうな!」
弘樹(源太郎)はグーで再び紀香を殴りつけて、
紀香を乱暴に床に押し付けるー。

「ーははははははっ!そうだ!お前も”入れ替わりガチャ”に登録してみろよ」
弘樹(源太郎)が笑うー。

悲鳴を上げる紀香ー

「ーほぅら、スマホをよこせ」
弘樹(源太郎)が乱暴に紀香のスマホを取り上げて、
パスワードを聞き出すと、そのまま紀香のスマホで
勝手に入れ替わりガチャに登録させるー

「ーーー支払い方法はー…
 まぁいいや、俺が代わりに支払ってやろう」

そう呟きながら弘樹(源太郎)が笑うと、
スマホを手に、「お前も他のやつの身体に飛んで行っちまいなー」と、
紀香に無理やり、”入れ替わりガチャを回す”ボタンを
タップさせようと、その腕を乱暴に掴んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーくそっ!!くそっ!!! 充電器…!充電器ー!」

一方、可愛い雰囲気の女子高生・亜優と入れ替わり、
”やっと当たりだ!”などと喜んでいた弘樹は、
亜優が”入れ替わりガチャで入れ替わる直前に自らの両親を刺殺した”
…かもしれないことに気付き、慌てていたー。

もちろん、この子がやった場面を見たわけではないー。

だが、部屋には血のついた包丁ー、
手は洗ったのか妙に湿った感じで、
両親はリビングで既に息絶えていたー。

そして今、警察らしき人間が、”近所から悲鳴が聞こえたと通報が”と、
玄関をノックしているー

「ーくそっ!逮捕されちまったら、終わりだぞ!」
可愛らしいツインテールと、スカートを揺らしながら
慌てて充電器がありそうな場所を探すー。

なぜか、亜優のスマホは残量1パーセントしか電気がない状態で、
入れ替わりガチャを回そうとしたタイミングで
電池が切れてしまったー。

このままでは、亜優の身体で逮捕されてしまいー、
最悪の場合”2度と入れ替わりガチャ”を回すことが
できなくなってしまうー

「くっそおおお!せっかくかわいい子になれたのに、なんでこんなー!」

イケメンでも、美少女でもどっちでもよかったがー
せっかく美少女になったのなら、
色々試してみたいことがあったのも事実ー

でも、それどころではなかったー。

「くそっ!!!!ない!!!!」
充電器が見つからないー。

そうこうしているうちに、警察官たちが
強引に玄関を開けて、中へと入って来るー

「ーーあ…え、えっと…お、俺は…違う!」
女子高生の身体であることも忘れて
「違うんだ!俺は何もやってない!」と、
背後に倒れたままの亜優の両親を見つめながら
必死に叫ぶ亜優(弘樹)ー

「ーーーー君がやったのか?」
警察官の一人が亜優(弘樹)を見るー。

亜優(弘樹)は、”もう充電器を探すことはできない”と
思いながらも、
なんとかこの危機を脱する方法を頭をフル回転させながら
考えていくー

「ーーわ…わ…わたしじゃなくてー
 男の人が、逃げて行ってー…」

”苦しい言い訳”かもしれないー。
だが、少しの間だけでもいいー
何とか誤魔化して、充電器を見つけて、入れ替わりガチャを回せばー。

「ーー…仮に本物だとしてーーー…
 お前の狙うようなイケメンとか、可愛い子とか
 そういうやつらが”入れ替わりガチャ”に登録してるとは思えんー。
 3000円払って入れ替わり登録してるやつからランダムで
 入れ替わるんだからー
 絶対ー…アレだぞ?そういう奴らはいないと思うぞ?」

友人の卓の言葉を今になって思い出すー。

15人以上と入れ替わったー。

がー
結果はこれだー

”訳アリ”だったり、”おじさん”だったりー
そんな人ばかりだー。

「ーーー署まで来てもらおうか」

”確保”という声まで他の警察官から聞こえるー

亜優(弘樹)は
歯ぎしりをしながら、
”仮にこの子が親を殺したんだとして、
 俺がここで今、逮捕されてもー 
 この子は高校生だから、死刑になることはないだろうしー
 少し耐えれば、また入れ替わるなり、この子の身体で生きるなりー”

と、考えながらー
目を閉じたー。

しかしー
急に警察官が乱暴になり、
弘樹は思わず目を開けたー

「ーー!?!?!?!??!?!」
目を開けるとー
いつの前にか”場所”が変わっていたー。

「ーーえ」
驚く弘樹ー

いやー、変わったのは場所だけではないー
”身体”もー、だ。

入れ替わりガチャに”入れ替わり登録”した人間は、
”自分からガチャを回さなくても”、入れ替わりガチャを回した人の
”ランダムに選ばれる入れ替わり相手”に選ばれる可能性があるー。

亜優の身体で逮捕される寸前だった弘樹はー、
間一髪、”他の誰かがガチャを回したこと”によって、
”ランダムに選ばれた入れ替わり相手”に偶然選ばれて助かったのだー。

「ーーお」
弘樹は、”亜優と同じぐらいの少女”の身体になったことに気付くー。

”理想の身体”を手に入れたら
”入れ替わり登録を解除”すれば、ずっとその身体で生活することも可能だー

もし、この子がー

そんなことを思っていると、ふと、周囲の光景が
”見覚えのある光景”であることに気付くー。

そしてーーー

「ーーえへへへへへへ ようこそ」

聞き覚えのある声がしたー

「ーー!」
弘樹が、少女の身体で、その男の顔を見るとー
相手はなんとー”弘樹”ー
自分自身だったー

「ーひっ!?お、俺!?」
少女の身体で弘樹が叫ぶと、
弘樹(源太郎)が表情を歪めたー。

「ん~~~?」
弘樹(源太郎)のそんな反応を見て、
弘樹はーーー”妹の紀香と入れ替わってしまった弘樹”はー、
表情を歪めたー

「え…お、俺、まさか、紀香の身体に!?」
”次の入れ替わり相手”が、自分の妹・紀香であることに気付いた
弘樹ー。

紀香(弘樹)は、目の前にいる自分ー…弘樹(源太郎)を見つめながら
「ーえ…お、お前ー…な、何をー?!」
と、言いかけると、
弘樹(源太郎)は笑ったー

「ーちょうど今、”お兄ちゃん”の身体で妹を襲ってた最中でなー
 面白れぇから、この妹に無理やり入れ替わりガチャを使って
 入れ替えてやったんだー

 でー、お前は?
 口ぶりからすると、俺が今、使ってるこの身体の中身ってとこか?」

弘樹(源太郎)が笑うー。

最悪なことにー
弘樹は”中身が暴漢魔の兄・弘樹に襲われている最中の妹・紀香”と
入れ替わってしまったー

「お、おい!お前!俺の身体で俺の妹に何をー!?」
紀香(弘樹)がそう叫ぶと同時にー
「へへへ 最高じゃねぇかー
 どうだ?”妹の身体で、自分の身体にヤラれる気持ち”教えてくれよ」
と、弘樹(源太郎)がニヤニヤしながら、紀香(弘樹)を押さえつけて
容赦なく、欲望を満たし始めたー

女の身体で初めて味わう感覚を感じながら
快楽に溺れて、妹・紀香の身体で喘ぎまくってしまう弘樹ー。

「へへへっ…へへへへへへっ…ひへへへへへへ♡」
弘樹(源太郎)は”たまらない”という様子で
笑みを浮かべるー。

「ーく…く…く、そっ…ふ、ふざけんな!」
紀香(弘樹)が、はぁはぁ言いながらそう叫ぶー

「ー俺の…俺の身体を…そ、そんなことに…使うなぁ!」
紀香(弘樹)は、やっとの思いでそう叫ぶも、
「おいおいー」と、弘樹(源太郎)は笑うー。

「ー”入れ替わりガチャ”で入れ替わり登録したり、
 ガチャを回した以上ー
 誰が身体を使おうが、どんな風に使われようが
 文句は言えねぇハズだぜ?」

弘樹(源太郎)の言葉に、
紀香(弘樹)は表情を歪めるー。

しかもー
親の命を奪ったばかりの亜優と紀香の身体が入れ替わったということはー
今頃、”亜優の身体になった紀香”は、何も意味が分からないまま
警察に連行されているー…ことになるー。

そもそも入れ替わりガチャのことを紀香は知らないはずー
この男に無理やり操作させられたのだとすれば、
何も状況を理解できていないはずー

「く…くそっ!」
紀香(弘樹)が起き上がろうとするとー
弘樹(源太郎)は「お~っと、まだまd」と、呟きー
途中で、突然言葉を止めたー

「え…?」

紀香(弘樹)が、表情を歪めると、
次の瞬間ー弘樹の身体が口を開いたー

「ーなんだ……”また”かー」
弘樹が言うー。

どうやら、弘樹の身体にいた源太郎と、別の場所で
入れ替わりガチャを回した人間が
”また”入れ替わったようだー。

入れ替わった身体に居座りたいのであれば
”入れ替わり登録”を一度解除しなくてはならないー。
源太郎はそれをしてなかったのだろうー。

「ーーーま…また?」
紀香(弘樹)が言うと、
弘樹になった人物は、ため息をついたー

「ーもう、何百人も入れ替わったけどー
 このアプリー
 ロクな身体、いないよー。

 登録者はおっさんとかおばあさんとか訳アリばっかだー

 僕はもう疲れたー」

弘樹になった男がそう呟くと、
「ー僕、もう、いいやー。死ぬことにしたよ」と、
疲れ果てた様子で部屋の外に出て行くー

「ーえっ!?ちょっと!? え!?おい!」
紀香(弘樹)が、今は、自分が紀香の身体であることも忘れー
服も脱がされていることも忘れて部屋から飛び出すー

その光景を母親に見られて、母親が困惑の表情を浮かべるー。

そうこうしているうちに、弘樹の身体になった男が
家の外に出て行くー

「ーちょっ!?まてって!それは俺のかrーーーー

”入れ替わり登録”したままだった弘樹はー
その瞬間ー、
再び、”別の場所”で入れ替わりガチャを回した人間の
”ランダムに選ばれる入れ替わり相手”に選ばれてしまい、
そのまま意識がはじけ飛んだー

ピーーーーーーーーーーーーー

そんな、音が聞こえたー

そして、それはすぐに途切れー、
弘樹は、何も分からなくなったー。

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーほんとに……ほんとに、おばあちゃん、助かったの?」

若い女が言うと、
隣にいた若い男が言うー

「ーーわからないー……」

男は、”たった今”
死亡した祖母を見つめながらそう呟くー

高齢の祖母を看取る孫二人ー。

既に二人とも20代だが、
小さい頃からおばあちゃんが大好きで、
今日も、急変の知らせを聞いて、
おばあちゃんの元に駆け付けていたー

そしてーー

”おばあちゃんを助ける方法はないの?”と
泣きじゃくる姉のためにー
苦しむおばあちゃんを前に”入れ替わりガチャ”というアプリを見つけたー

それを慌てておばあちゃんのスマホに入れてー
まだ”ギリギリ生きている”おばあちゃんの手を掴みー
指で操作させー、
”入れ替わりガチャ”を回させたー

もう、おばあちゃんに意識はなかったー。

こんなことをしても、多分意味はないー
入れ替わりなんてありえないー。

でも、おばあちゃんのために、できることは何でもしてあげたかったー。

もし、”入れ替わりガチャ”が本物なら、
おばあちゃんは今頃、誰か別の人の身体でー…

もちろんー
”入れ替わり”ということは、もしこのガチャが本物ならー
”誰かが代わりにおばあちゃんの身体になって死ぬ”ことを意味するー。

だがー。
”大好きなおばあちゃんの死の間際”に立ち会って動揺していた孫の男はー
そんなことまで、考える余裕はなかったー。

目から涙をこぼす姉と弟ー。

「ーーーーこんなことしても、意味ないよなー」

”死んだおばあちゃん”のスマホから
悲しそうに入れ替わりガチャのアプリを削除する弟ー。

彼はー
”おばあちゃん”と”別の場所にいた男子高校生の意識”が入れ替わったことに
気付くこともなく、そのままおばあちゃんの死を悲しむのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最終回でした~!

ランダムで身体が入れ替わるとなると
こういう”死んでしまう直前の人間”とも
入れ替わってしまう可能性もあるので、
やっぱり怖いアプリデス…★

こればっかりはどうすることもできませんし、
入れ替わった直後にその身体が死んでしまったら
そこでおしまいですからネ~…!

普通のガチャも、入れかわりガチャも計画的に…デス!

それにしても、今年の夏はしぶとく暑かったですネ~!
暑さが苦手な私には、長い夏でした!
でも、ようやく涼しくなってきたので、
次回、解体新書様をご覧の皆様にお会いする頃には
きっと涼しく(寒くなってるかも…笑)なってるはずデス…!

お読み下さりありがとうございました~~