カワノゲーム②~突破~
 作:無名


謎の施設で目を覚ました男子大学生。

彼は、謎の男から強要されて、
”様々な皮”を利用しながら”脱出”を目指す
カワノゲームに参加させられてしまうー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

”この先は、うさぎしか通ることはできません”

そう書かれた扉の前で、
女子高生の皮を着たままの
達平は表情を歪めるー。

そして、近くには”着ろ”と言わんばかりに
巫女服とバニーガールの服が置かれているー。

「ーーくっ……」
屈辱に震える達平ー。

「ー俺にこれを着ろってのか!」
不満そうにそう叫ぶー。

だが、謎の男からの返事はないー。

そしてー
答えは聞かなくても分かっているー。

恐らく、バニーガールの服に着替えれば
この扉は開くー。

「ーーくそっ!声もこの声だとなんか調子でないし!」
不満そうに、可愛い声でそう叫ぶと達平は
セーラー服を脱ぎ始めるー

余計なことを考えないように、目を瞑りながら
着替える達平ー

”ってか、これ、脱ぎ方がイマイチ分からないー”
そんな風に思いながらも、服を脱いでいくー。

”どうせ、俺のじゃないし”と、乱暴に服を脱ぎ捨てると、
バニーガールの服に着替えようとして
「あぁ、こんなのどうやって着ればいいか分かんねぇ!」と、叫ぶー。

ふと、下着姿が目に入ってしまって
顔を赤らめると、
「あぁ、くそくそくそ!」と叫びながら、
適当に、何とかバニーガール姿になったー。

「ーー…ほ、ほら!うさぎになったぞ!開けよ!」
扉の横にセットされているカメラに向かって叫ぶと、
その部屋の扉が開くー。

”クククーこれで2部屋目を突破だなー
 お見事”

スマホからそんな声が聞こえて来るー

「絶対許せねぇ!」
達平は、バニーガール姿の美少女の皮を着たまま、
そう叫ぶと、
突然、背後からチェーンソーのような音が聞こえて来たー

”第3ステージ 闇夜に潜む殺人鬼ー
 あぁ、言い忘れたがその部屋では本当に死ぬ可能性もあるから、
 まぁ、頑張れよ”

謎の男の声が電話から響き渡るー。

「えっ!?なんだって…!?えっ!?おい!?」

そう叫ぶ達平ー。
自分の声が、自分の声じゃないような気持ちになりながら
そんな風に叫んでいると、
どんどんチェーンソーらしき音が近付いてくるー。

「ーー…いやいや、マジかよー!」
達平は、少女の声でそう叫ぶとー
目の前に、チェーンソーを持った大男が姿を現したー

「ぐへへへへっ…可愛い女の子、発見~」
ニヤニヤと笑う大男ー

「ーう…う…嘘だろ!?」
達平はそう叫ぶと同時に、逃げ出していたー。
バニーガールの格好をしたまま、女として猛ダッシュすることになるー…
そんな場面が自分の人生の中にあるとは、昨日までは
夢にも思わなかったー

「うへへへへ~!うへへへへへへ~!」
大男が笑うー。

”くそっ!部屋の出口はどこだー
 このままじゃ、マジで殺されちまうー!”

「ーー可愛い子は、ぜ~んぶ、僕の獲物だぁ!ぐへへへ~」
そんな声が、暗闇の部屋の中に響き渡るー

「ーーー…!」
達平は、ふとあることを思いついたー。

「ーーおい!皮を脱ぐ方法は!?」
電話に向かって叫ぶとー、
”ほぅー…そういえば説明してなかったな”と、謎の男は
”後頭部のあたりを触ってみろ”と、言葉を口にしたー。

すると、そこには普通の人間にはあるはずのないものー…
チャックのようなものが触れる感触がしたー。

「ーーーうへへへへへ~!いたなぁ~!」
そうこうしているうちに大男が迫ってくるー

だがーーー

「ーーくそっ!これでどうだ!」
バニーガールの格好をしたJKの皮を脱ぎ、
そのままチェーンソーの大男の方に向かって投げるー。

するとー
「うへへへへへへへぇ♡」と、笑いながら
大男がその皮を切り刻み始めるー。

そしてー、達平のほうを見つめながら
「なぁんだー男に興味はねぇや」と、呟くと、
そのまま立ち去っていくーー

「ほっ…」
達平はほっ、と息を吐き出すー。

あの大男の言葉がヒントになっていたようだー。

「ー男は狙わないってことかー」

大男に追われる心配のなくなった達平は、落ち着いた状況で
部屋の出口を見つけ出し、無事に3部屋目を突破したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ダメかー」

彼女の真理恵や、親友の朔太郎への電話を今一度試してみた達平ー。
しかし、やはり二人に繋がることはなかったー。

4つ目の部屋ー。
”陸上ロボット”と、50mの短距離走で対決ー…
という部屋だったが、陸上ロボットが早すぎて勝利することができないー。

特に時間制限などは無さそうだったため、
3度ほど負けて、体力回復のために休みながらスマホを手にしていたのだー。

「真理恵… くそっー…俺、絶対帰るからなー」
達平は、そんな言葉を口にするー。

彼女の真理恵は、とても心優しい性格で、
見た目も可愛く、家もお金持ちの家柄にも関わらず、
嫌味なお嬢様、という感じは一切なくて
とても物腰が低いー。
ただ、男運はないのか、彼氏とはうまくいかずに、
これまでに3度ほど、彼氏と別れている、と言っていたー。

きっと、真理恵は今頃とても心配しているだろうー。
早くー、早く何とか連絡をつけないとー。
真理恵に”4度目のお別れ”をさせるわけにはいかないー。
俺は必ず帰るんだ、と、達平は歯を食いしばるー。

「ーーー!」

そんなことを考えているうちにー、
達平は”この部屋”を突破する方法を思いつくー

「やっぱりー…!」
近くの小部屋に”いかにも陸上選手”みたいな雰囲気の女の皮が
置かれていたのだー。

それを着る達平ー

「うわぁ…俺よりはるかに鍛えられてるなぁ」
さっきのJKの皮とはまた違う感覚ー。

「ーってかこれー、本物の人間みたいだけどー、
 どうやって作ってるんだー?」

そんな風に思いながらも、陸上選手の女性の皮を着た
達平は、”陸上ロボット”にもう一度勝負を挑んだー

そしてーーー

「うわっ!はやっ!空を飛んでるみたいだ!」
自分の身体よりもはるかに早い脚に驚きながらー、
あっという間に陸上ロボットとの競争に勝利すると、
そのまま達平は5番目の部屋に進んだー

がーーー

「は?ふざけんなよ?」
たくさんの皮が並ぶ部屋ー。

だが、出口の扉のある場所へは
”ものすごく小さな穴”を通る必要があり、
とてもじゃないが、通ることはできないー。

「ーおい!ここで行き止まりじゃないか!どうなってるんだ!」
達平が、陸上女子の身体のままそう叫ぶと、
”先に進みたければ、謎を解け”と、謎の男の声がしたー

「くそっ!」
部屋にある”皮”を見つめるー。

まるで、子供部屋のような雰囲気のこの部屋ー。
出口へは、”子供一人がギリギリ通れるぐらいの小さな穴”を
通っていく必要がーー

「ーーー!!そうか」
達平は表情を歪めると、陸上女子の皮を脱いで、
あるものを探し始めたー。

そしてーー
ツインテールの小さな少女の皮を見つけたー。

「ーー…って、こんなの着れるか!」
子供の皮ー…
サイズが明らかに達平の方が大きいために
着ることはー

”いいや、着てみろ。
 普通の着ぐるみとは違うー。
 ”身体のサイズ”が違っても、普通に着ることはできるんだ”

その言葉に、試しに着てみると、
達平は本当に、ツインテールの少女になれてしまったー

「ど、どうなってるんだー…俺より明らかに小柄なのにー」

揺れるツインテールに少しドキドキしながらも、
”この子の体格”でギリギリ通れる小さな穴を潜り抜けるとー、
その先の部屋へと進むー。

6番目の部屋はアスレチックのような部屋ー。
今度は、この子の身体ではどうすることもできないー。
足の幅が小さすぎて、どう考えても途中で転落するー。

そう思いながら達平は、
”この部屋は、これかー”と、
ラバースーツ姿の女スパイっぽい皮を着ると
「ーうわっ…ラバースーツってなんかエロイ…」と、
ドキドキしながら、自分の身体を見渡すー

”さっきも言ったが、別に触ってもー”

「ー黙れ!」
電話から、揶揄うような口調で声を掛けて来た謎の男に対し、
そう叫ぶと、運動神経抜群のラバースーツの女の身体で、
アスレチックを軽々と突破ー。

そのまま”第7の部屋”へと進んだー。

”部屋はいくつあるんだ!?”
モニターから、そんな声が響き渡るー

イスに座りながら達平の監視をしている人物は
「10だー」と、答えるー。

”10ー…!?それを突破すれば、俺は無事に出られるんだな!?”
達平の確認するような言葉ー

「ーもちろん」
”加工音声”を発するためのマイクに向かって
そう言葉を口にすると、謎の人物は不気味な笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第7の部屋はメイドカフェ”のような部屋だったー。

メイドの皮を着て、そこにいた細身の男を接客し、
その男を満足させることで、第8の部屋への扉が開いたー。

「ーーおえっ…」
”客の男”を満足させるために、
可愛らしいポーズやあざといセリフをたくさん口にした
達平は、メイド姿で、声も可愛い声だったとは言え、
自分が気持ち悪くなって、オエオエとしながら
次の部屋に向かうー。

”いやぁ、お見事ー”
謎の男がそんな言葉を口にするー。

”カワノゲームの残る部屋はあと2部屋”

その言葉に、
「それを突破すれば、ここから出れるんだろうな?」
と、メイドの子の皮を着たまま、苛立ちを露わにしつつー
通路を歩くー

”あぁ、もちろんだともー。
 それよりも次の部屋はー”

男の言葉に、
第9の部屋にたどり着いた達平は、表情を歪めるー。

四角形の部屋で、シンプルな構造ー。
特に危険そうな仕掛けは見当たらないし、
誰かがいる気配もないー。

だがー…
最後の部屋に続くと思われる扉には、
恐ろしい文字が刻まれていたー。

”ー絶頂に達しないと出られない部屋”と、
そう書かれていたのだー

「ーーーー…おい!!ふざけんな!どういうことだよコレ!」
達平が可愛い声で叫ぶと、
謎の男は笑いながら答えたー。

”条件を満たせば扉が開く。今まで通りだー”
とー。

「ふ、ふ、ふ、ふざけんなー!」
メイド服を揺らしながら、張り紙の前に駆け寄ると、
「ーこれって… これって、そのー!」
と、言いにくそうに声を発すると、
謎の男は笑いをこらえるようにしながら答えたー

”ククー…つまり、その身体でイケってことさー”

とー。

「ーーーー…!!!!!!」
達平は呆然とするー

「ーーー」
そして、メイド服を着た美少女姿の自分を見つめるー

「ーくそっ…!女ってどうすりゃイクんだ?」
そんなことを思いながら、達平は戸惑うー。

彼女の真理恵とはまだそういう関係にはないし、
真理恵の前に彼女がいたことはないー。

つまりー、
達平は、”女”がどうすればイけるのかー
それを、朧げなイメージでしか知らないのだー

「ーくそっ…!揉んだり、いじったりしてりゃ
 いいんだろー!?」

自暴自棄になりながら、達平がそう叫ぶと、
手始めに両胸を揉みながら
「ここまで来たらもう、プライドも何もねぇ!」と、
”必ず俺をこんなところまで連れて来たやつをぶちのめしてやる!”と、
怒りの形相で、”今の自分の身体”を刺激し始めたー。

それにしてもーー
ちゃんと、戸締りをして寝たはずなのにー
達平が目を覚ますことなく、こんな場所に達平を運びこむなんてこと、
可能なのだろうかー。

達平は女の快感を感じながら、そんなことを考えていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーはぁ、はぁ、くそっー」

濡れてしまって気持ち悪かったメイドの皮を脱ぎ捨てー、
第9の部屋を突破した達平ー。

そしてー
最後の部屋にたどり着くとー

そこに立っていたのはー

「ーおめでとうー…ここが、最後の部屋だー」

口調は、今まで電話で話しかけて来た謎の男ー。
だが、その姿はーーー

「ー最後の部屋はお前の大事な大事な彼女を”皮”にして着た、
 俺との直接対決だー」

達平の彼女・真理恵がそんな言葉を口にしながらニヤッと笑うー。

「な……ま、真理恵ーー…
 ど、どういうことだー!?」

達平が戸惑いながら叫ぶと、
真理恵は笑みを浮かべたー

「ー今までお前が着ていたのは”本物の人間”を皮にしたものだよー。
 ”この女”のようになー」

そう呟く真理恵ー。

達平は、呆然とそんな真理恵の姿を見つめることしかできなかったー…

③へ続く

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第2話でした~★

いよいよ最後の部屋に到着して、
次回が最終回デス!

もう少しのんびり各部屋の描写を
書いても良かったのですが、
それをすると、3話では収まらずに
長い作品になってしまうので、
今回はテンポを重視して、こんな感じの
スピードで仕上げました~!☆

雑になりすぎず、でもダラダラしすぎず…
作品のテンポ作りも、
いつも頭を悩ませながら作っている部分のひとつデス…!

次回の最終回で、
どのような結末を迎えるのか、ぜひ見届けて下さい~!

今日もありがとうございました~!