この中にひとり、元男がいます①~ゲーム~
 作:無名


ある日、突然拉致されてしまった4人の女子大生ー。

犯人の男は笑うー
「この中にひとり、元男がいますー」

とー。

その言葉の意味とはー?

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「---な、、なんなのここー?」

ある日ー
仲良しの女子大生4人組が、
男に拉致されてしまったー。

彼女たちを拉致した男は、”人の弱み”を調べ上げては、
その弱み”ネタ”に、”ゲーム”を行っている男だー。

常人には理解することの出来ない狂気ー。

この4人の女子大生を拉致したのには、理由があったー。

それはー
4人のうちの一人に”元男”がいるからだー。

この世界の”裏”に存在する”女体化薬”と呼ばれるもので、
女体化し、普通の女子として生活しているー。

そんな秘密を持つ子が、いるからだー。

その秘密を知った男は、迷わず、
”元男”の彼女と、その子と仲良しの3人を拉致したのだー。

己が、楽しむためにー

”--我が屋敷にようこそ”
女子大生4人が閉じ込められた部屋に、声が響き渡るー。

豪邸ーー
とも言えるような豪華な屋敷の一室に閉じ込められた女子大生4人は
戸惑いの表情を浮かべていたー。

「--な、なんなのここ!?あんたは誰!?」
4人のうちの一人が叫ぶと、男は笑いながら答えたー

”私は、鈴木(すずき)だー”
本名か、偽名かもわからない名前を名乗ると、
鈴木は続けたー

”私は数年前に宝くじに当選してね。
 その費用を元に、莫大な不動産と富を手に入れることに成功したー。

 でもねー
 金が余るようになってくると、今度はヒマになってくるんだ。
 ”刺激”が欲しくなってくるー。

 そこで、財力を元に、人々の個人情報の中に隠された秘密を探ってー、
 その秘密をネタに、こうして時々ゲームをしているのさ”

鈴木の言葉に、
眼鏡をかけた女子大生が「ゲーム…?」と不思議そうな表情を浮かべたー

”そうだー。
 君たちをここに連れて来たのはー

 君たちにエッチなことをしたいわけでもなければ
 君たちを売り飛ばすわけでもないしー
 ましてや、身代金を要求するわけでもないー

 だたーー
 ”ゲーム”に参加してもらいたいだけだ”

鈴木がそこまで言うと、
今度は、長身のモデルのような体型の女子大生が声を出したー。

「--どういう意味なの?」
とー。

”---君たちの中にひとり、元男がいます”

「---!?」
「--!」
「---は?」
「---え??」

4人の女子大生が困惑の表情を浮かべるー。

4人を拉致した鈴木は、モニター室で、4人の戸惑いを見つめながら、
さらにマイクに向かって呟くー

桜庭 友美恵(さくらば ゆみえ)さんー
宇尾 麗子(うお れいこ)さんー
三渕 笹香(みつぶち ささか)さんー
内藤 梓(ないとう あずさ)さんー

”君たち4人の中のひとりは、元々男だと、いうことだー”

鈴木は笑みを浮かべるー。

”ゲーム”のネタに出来る秘密はないかと、
近所の大学の女子大生のデータを、裏社会の情報網も駆使して
徹底的に調べ上げたところ、
彼は、知ってしまったのだー

”女体化薬を使って、高校生の時に女体化して、それから女として
 生きている元男子の女子大生がいる”ことをー。

「---は?どういうこと…?」
気の強そうな友美恵が呟くー。

「ーーーーわたしたちの誰かが、男ってこと?」
モデルのような体型の麗子も困惑しているー

眼鏡をかけた梓と、
お母さんのようなオーラを出している笹香も困惑しているー

”その通り”
鈴木は答えたー。

”今から君たちには、その”元男”を探してもらいたいー
 ま、”本人”は分かっているとは思うがー”

鈴木はそこまで言うと付け加えたー

”女体化した元男子を60分以内に見つけることが
 できれば、君たちの勝ちだー。
 もちろん、”本人”が自白してもいいー

 ただしー見つけることが出来なければ
 君たちの負けだー

 その時はー”

「その時はー…?」
友美恵が不安そうに言うと、
鈴木は答えたー

”君たち全員、ここから出ることはできないー
 永遠にー”

鈴木の声が歪むー

”さァ、女体化女子大生探しデス・ゲームのはじまりだ!
 君たち4人の中に潜む女体化女子大生を60分以内に見つけて
 無事に脱出することはできるのかどうか!
 
 クククーー
 健闘を祈るー。”

鈴木は、そう叫ぶと、
マイクの音声を切って、
4人の女子大生がいる部屋のカメラを見つめたー

「そうだー
 戸惑えー
 狼狽えろー

 命を燃やして、
 死ぬ気でゲームに挑めー」

鈴木はそう呟きながら、
”元・男子の女子大生”を見つめたー

「--さァどうする…
 君が自ら他の3人に自白すればー
 ゲームは即座に君たちの勝ちだー」

鈴木は、そう言いながらも、
彼女が周囲の友達に、自白することなどありえない、と
確信していたー。

何故ならー
この4人が通うのは”女子大”だー。
”自分は高校生の時まで、男だったけど、女体化薬を飲んで女になりました”なんて
言えるはずがないー

実際に、”この子”はそのことをずっと、隠し続けてきているー。

「----」
鈴木は、”57:12”と書かれた、”残り時間”を表示している時計を
見つめながら笑うー。

4人がどんな”答え”を出すのは、楽しみにしながらー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--……わたしたちの誰かが、男ってこと?」
梓が言うと、
「--そんなこと、あるわけないよねぇ?」
と、母親オーラを出している笹香が言うー。

「----」
友美恵と麗子は困惑の表情を浮かべるー

残り時間が部屋に表示されていて、
部屋の隅には”回答用”のインターホンが存在しているー。

60分以内に
”4人のうち”誰が、元男子なのかを突き止めて
これで回答しろー、
と、いうことのようだー。

「---ーーー」
友美恵は困惑しながらも、ようやく口を開いたー

「念の為、確認するけどー
 みんな、”女”よね?」

友里恵の言葉に、
笹香、梓、麗子の3人は、困惑しながらも頷くー

「---元男なんて、いるわけないじゃんね…」
モデルのような体型の麗子が言うー。

友里恵は、自分を含む4人の反応を見ると、
部屋の隅のインターホンの方に歩いて行って、それを鳴らしたー

”おや、もう答えが分かったのかな?”
鈴木を名乗る男が応答するー。

「--4人の中に、元男なんていない!
 みんな生まれた時から女よ!」
友里恵がそう回答すると、
鈴木は笑ったー

”ははははは…
 でも残念ながらいるんだよ、これが。
 私が調べた情報は間違いないー
 君たち4人の中に、”高校時代に女体化した元男”は、いるんだー。

 それが誰なのかを突き止めないと、
 君たちの負けだよ。

 現実逃避しているのは構わないー
 けれど、負けたその時にはー”

ガン!

友美恵は怒りの形相で、インターホンの電源を切ると、
他の3人の方を見つめたー

戸惑う4人ー

そうこうしているうちに、
あっという間に残り時間は残り40分を切っているー。

「----------」
4人のうちの一人が、表情を歪めたー

自分のスカートをぎゅっと握りながらー
”--俺は、JKになりたかったんだよ…”と
心の中で呟くー。

4人の中に、”元・男の女子”は、
謎の男・鈴木が指摘する通り、
本当にいたー。

彼女は思うー。

高校時代に、ネットで手に入れた女体化薬を使って
女体化しー
それ以降、女子として生きて来たー
地元を離れて、女子大に入学して
JDライフを存分に満喫してきたー。

他の3人の親友にも、”自分が元男”であることは
一度も言ったことがないしー
もし、このことが知られればー
みんなとは、もう友達ではなくなってしまうかもしれないー。

そんな恐怖から”彼女”は口を閉ざしていたー。

「---……ねぇ、本当に誰もいないの?」
眼鏡をかけた梓が言うと、
「--いるわけないじゃない… ねぇ?」と、
お母さん風オーラを出す笹香が周囲を見渡すー。

「---そ、そうよ!やっぱ、元男なんているわけない!」
友美恵も叫ぶー。

「---う、、うん…そうよね!」
モデル風の麗子も頷くー

”答え”を出せずに、
”4人の中に女体化男子はいない”と
結論づけてしまう4人の様子をモニター越しに見つめながら
鈴木は笑みを浮かべたー。

「人間とは、愚かなものだー。
 受け入れがたい現実を前にした時、
 それと受け入れられずに、現実から、目を、背けるー」

鈴木は、残り時間を確認するー。
残り時間は、30分ー。

鈴木はかつて、小さいころに”虐待”を受けていたー
ゲーム好きな父親からの虐待だー。

ゲーム好きな父親は、息子であった彼に
”ゲームでの対戦”をよく挑んで来たー。

そこまでは、いいー。
子供と遊んでくれる良き父親とも言えるー。

だがー
対戦で負けると、父親は、息子である彼を殴りつけたー

”何事も勝負は命懸けだ。
 命を懸けて挑めー。
 ゲームでも、社会での競争でもだ」”

父親は、そう言い放ち、何度も何度も対戦で負けた
幼き日の鈴木を殴りつけたー。

やがて、家庭は崩壊しー
鈴木は宝くじに偶然当たり、大金持ちになって、今に至るー。

だが、その時の父親の”虐待”が、
今の鈴木の歪んだ”デスゲーム遊び”に繋がっているー

「--ゲームは命懸けだ」
鈴木はモニターを見つめながら微笑むー。

”4人の中に女体化した男子”がいるのは間違いないー。
その本人を見つめながら鈴木はほほ笑むー。

そして、マイクをONにして、4人に向かって呟いたー

4人の女子は、まだ”ゲーム”を甘く見ているー。

部屋の中に声が響き渡るー。

”君たちの答えは”4人の中にそんな子はいない”という
 答えのようだがー
 ザンネンながら、君たちの中にひとり、
 元男がいるー。

 残り30分ー
 見つけることが出来なければ、君たちは”罰ゲーム”だー。

 ここから一生出ることは出来ないー。
 嘘ではない、私は本気だー。
 
 ゲームは死ぬ気で挑めー
 敗者に待つのは、罰のみー”

鈴木の声が消えるー。

友美恵は、表情を歪めながら
「--ねぇ、みんな!ホントにいないの?」
と声を上げるー。

「--麗子、笹香、梓ー…
 もし、、もしも、、、もしも、みんなの中にいるなら…
 正直に言って」
友美恵の言葉に、眼鏡をかけた梓が、表情を曇らせるー。

お母さんオーラの強い笹香は「い、いないでしょ!元男で薬で女体化なんて!」と
困惑した様子ー。

スタイルの良い麗子も、「そんな薬あったら、今頃大騒ぎでしょ?」と、
困惑の表情を浮かべたー

困惑する4人ー

だがーー
その中には、”確実にいた”

(どうしよう…)
彼女は、他の3人を見つめながら戸惑うー。

なんだかよくわからないけれど、
もし、わたしが、自分から言いださなければ、
わたしたち4人、殺されちゃうかもしれないー

と、不安に思うー

けれどー
言いだせばー、
”自分は実は男だった”ということを
周囲に知られてしまって、友達を失うかもしれないー。

中学の時に、親と海外旅行に行った際に、
怪しげな露店で売られていた「女になれる薬」を
”嘘だろ”と思いながら打ってしまった結果がこれだー

周囲を騙すつもりはないー
けれどー
周囲からすれば”騙された”と感じるかもしれないー。

(鈴木って人、なんでわたしが女体化したことを知ってるの…?)
そう思いながらも、
彼女は戸惑いの眼差しで残り時間の表示が”20分”に
なっているのに気づき、落ち着かない様子で
手を握ったり、開いたりを繰り返したー

②へ続く

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皆様あけましておめでとうございます~!

もうとっくにそんな時期ではなくなってしまいましたが
解体新書様では、今年初めての掲載なので、
遅めの新年のご挨拶デス~!

寝ぼけているわけではありませんので、安心してくださいネ~!笑

今年最初のお話は、女体化モノのお話デス!

解体新書様のほうでは、まだ女体化系の話を
載せていなかったと思うので、
今回、この作品をチョイスさせていただきました~!★

この中に元男の子がいる…
と、いうお話ですが、果たして真相はいかに…!?

続きはまた次回を楽しみにしていてくださいネ~!

改めて、今年もよろしくお願いします~!