憑依されたけど大丈夫②~異変~
 作:無名


肝試しの最中に、彼女に”何か”が入り込んだー。

その影響を心配するも、
本人は「大丈夫」の一点張り。

しかし…?

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ファミレスに入った二人ー

「---わ~!美味しい!」
パフェを食べて嬉しそうにしている静穂。

そんな静穂の様子をさりげなく見つめながら
チキンとご飯を口にする雅史ー。

肝試しの最中の
トンネルの中での光景を思い出すー。

静穂にーーー
”謎の黒い影”が、飛び込んだ行った光景ー

静穂が背中を向けていたから、
どこに入ったのかは分からないー
だが、確実に、あの黒い霊体のようなものは
静穂の中に入ったー

気がする。

静穂自身もそのことには気づいている様子だったが、
静穂本人は「大丈夫」なのだという。

”久しぶりにごはん!いいねいいね!いこっ!”

ファミレスに入る前の静穂の言葉が引っ掛かるー。

”久しぶりにごはん”

”久しぶりにー”

久しぶりに…とは?

「--だいじょうぶ?まだ怖がってるの?」
静穂がパフェを食べ終えて、
ジュースを口にしながら言う。

「--え、あ、いや…」
雅史は静穂から思わず目を逸らしたー。

「肝試し終わってから、なんかずっと変じゃない?」
静穂が苦笑いするー

雅史は「あ、、いや…」と静穂からさらに目を逸らすー。

そしてー
聞きたかったことをー
疑問に思っていたことを、口にしたー。

「--あ、、、あのさ…」
雅史がようやく静穂のほうを見るー。

「----…!!!!!!!」

その時だったー。

静穂の目が一瞬、赤く光ったー。

「--ひっ!?!?」
雅史が手にしていたコップを倒してしまうー

「--ちょ!?」
静穂が驚いた様子で「何やってるのよ~!」と苦笑いしながら
雅史がこぼした水を慌てて拭き始めるー。

「ご、、ご、、ごめん」
雅史が慌てて謝ると、
静穂が、「こーら!だめでしょ!」と、雅史の背後に向かって
声を出したー。

雅史が振り返ると、
家族連れの子供が、赤いLEDライトを持って、笑っていたー。

「---あ…」
雅史は、”静穂の目が一瞬赤く光ったように見えたのはこれか”と
思いながら深呼吸をするー

同じファミレスにいた子供が、静穂にイタズラで光を
当てたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「そんなに怖かったの~?」
帰り道ー
静穂が笑うー。

「--あ、い、、いや…静穂が、悪霊みたいのに
 乗り移られたんじゃないかって、ずっと気になってて」
雅史が今一度言うと、
静穂は立ち止まったー。

「--大丈夫だってば~!
 確かに黒い煙みたいなものはあったけど、
 あれは砂ぼこりとか、そういうものでしょ?」

笑いながら言う静穂。

「--で、、でも…」
雅史の言葉に、
静穂は、「大丈夫!ほら!どこからどうみても、いつも通りのわたしでしょ!?」と、
身体を元気よく動かして見せるー

「---し、、静穂がーー」
緊張する雅史ー

「静穂が…”久しぶりにごはん”って言ったのがー
 どうしても気になってー」

ついに、聞きたかったことを口にした雅史ー。
静穂は一瞬、表情を歪めたー。

だがー
すぐに笑みを浮かべたー

「な~んだ!
 そんなこと?」
静穂の笑顔ー

雅史は「え…?」と、戸惑いを隠せない。

「”久しぶりにごはん”って、いうのは~
 わたし、今日、朝ごはん食べてから
 ずっと何も食べてなかったから」

笑う静穂ー

”久しぶり”の感覚の違いー。

静穂は、雅史の意図を察して
「まさか、わたしが悪霊か何かに憑りつかれて
 ”久しぶりの飯だ~”みたいな感じになってると
 思ってたの?」と
呆れたように笑ったー。

「--ま、、まぁ…はは…ごめん」
雅史は”何、いつまでも肝試しのことでビクビクしているんだか”と
自分で自分に呆れながら、「--もう大丈夫。ごめんな」と呟いたー

静穂は、笑いながら「いいよいいよ」と笑みを浮かべるー。

そして、歩きながら静かに呟いたー。

「でも、ビクビクしてる雅史もたまには貴重かも!」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----」
ゆっくりと家に向かって歩く静穂ー。

「---------」
少ししてから立ち止まると、静穂は、笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

週明けー

「--おはよ~!一昨日は楽しかったね~!」
静穂が言う。

「--もう、怖い気持ちは抜けた~?」
揶揄うようにして笑う静穂ー。

「もう全然大丈夫さ」
雅史はそう言いながら静穂のほうを見たー

静穂の化粧がいつもより濃い気がするー
気のせいだろうかー。

どうしても、静穂を見るとー
どうしても、静穂を見るとーーーー

静穂に”違和感”を抱いてしまうー

カチッーー

「--!?」
雅史の周囲の光景が一瞬にして変わるー

雅史が周囲を見渡すー。
困惑する雅史ー

あの、トンネルー。
黒い影ー

「--ひっ!?!?」
雅史が小さな悲鳴を上げるとーーー

静穂が笑みを浮かべながら雅史のほうを見つめていたー

「だいじょうぶ?」
静穂が首を傾げるー。

「---え、、、あ、、、、うん…」
雅史は戸惑いながら周囲を見渡すー

周囲はいつも通りの教室ー

”俺…まだびびってんのかな…?”
都市伝説が好きで、心霊現象の噂されるトンネルにも
自分から行こうと言い出したのに、
ここまでびびってしまうなんて…

自分で自分を情けないと思いながらも、
雅史は深呼吸するー。

静穂が不気味な笑みを浮かべたー

そんな、気がしたー。

首を振る雅史ー

静穂の振る舞いは、いつも通りだー
雅史が勝手に変な妄想をして
”静穂は悪霊に憑依されて乗っ取られているのではないか”だとか
変な思考に傾いてしまっているだけだー。

もし、悪霊が静穂を乗っ取っているならー
必ずいつもと違う振る舞いを、静穂は見せるはずー。

「---……」
雅史は深呼吸をするー

静穂は、いつも通りー。
そう、いつも通りなんだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ふふふふ…くくくくく♡」
静穂が、胸を触っているー

「--あぁぁっ…いい♡ いぃ♡」
興奮した様子で、自分の乳首を触って
ゾクゾクを感じている静穂ー。

「--はぁぁあああぁあぁあっっ♡」
女子高生の身体を手に入れて、興奮した様子の
静穂ー

いやーー
”悪霊”--

静穂の耳から、黒い煙のようなものが飛び出すー

静穂と、黒い悪霊が同時に笑みを浮かべるー

「いい身体をーーー
 手に入れたゼェ…」

静穂と悪霊の不気味な声が、同時に部屋の中に響き渡るー

「--なっーー」
雅史がやってくるー

空き教室でーー
一人ー
邪悪な笑みを浮かべながらー
耳から不気味な黒い物体がはみ出している静穂を見てー

「うわあああああああああああああああああ!!!!」

雅史は悲鳴を上げたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---はぁっ…はぁっ…」

夢ー

雅史は周囲を見回して、そこが自分の部屋だと気づくー。

夢を見ていたー
週明けの月曜日ー
学校でも、静穂におかしなところはなかったー

勝手に、静穂が憑依されたと思い込みー
勝手にーーー

だがー
あの時ー
トンネルで、黒い煙を確かに見たー

確かに、見たんだー

雅史は頭を抱えるー

”こんなことになるなら、いかなきゃよかった”と思いながらー。

”--たすけて”

”----お願いーーーーー  助けてーーーー”

「--え!?」
雅史が振り返るー。

「---」
声が聞こえた気がした。

静穂の、声がー。

「---静穂…?」

雅史は不安に思うー
やっぱり、何かがおかしい気がするー。

単純に、自分がびびっているだけならいいー。

でもー
でも、もしも、静穂が、悪霊に憑りつかれて、
操られているようなことがあるのならー。

雅史は、深呼吸しながら、学校に向かう準備をするー。

今日は、火曜日ー。
静穂にまた、”大丈夫か?”と聞くべきだろうかー。

いや、だが、聞いたところでー。

静穂はまた、「大丈夫」と言うだけだろうー

”憑依なんてされていない”なら、それでいいー

だがー
もしも、
今の静穂が悪霊に乗っ取られていたりー

本人は「憑依されたけど大丈夫」と思っていてもー
本人も気づかないところで、徐々に乗っ取られている可能性もあるー。

「--やっぱりーー……やっぱり、このままじゃダメだ」
雅史はそう呟くと、意を決して立ち上がった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

学校に向かうー
空気が重く感じるー

雅史は、”本当に俺がびびってるだけなのか?”と
首を傾げるー。

やはり、静穂は、あの日、トンネルの中で
”何か”に憑依されてしまったのではないかー。

そんな思いが、ぬぐえないー。

暗い表情のまま学校にやってくると、
静穂が、「おはよ~!」と声を掛けて来たー。

「---おはよう…」
雅史が静穂のほうを見るー。

静穂が微笑むー。
いつものような、明るい、笑みー。

「--あのさ…静穂…ちょっと今日の昼休み、
 話、できるかな…?」
雅史が戸惑いながら呟く。

「---え?いいけど…?
 急にどうしたの?」
静穂が首を傾げるー

静穂にとっては数日前の
”肝試し”など、もはや”終わったこと”でしかなく、
いつまでもそのことに固執している雅史が
”不思議”でしかなかった。

”どうして雅史はいつまでもビクビクしているのだろう”
とー。

「---もしかして、また肝試しの時の話とかじゃないよね?」
静穂の言葉に、
雅史は、「あ、、いや…ちょっと」と言葉に詰まるー

いい加減、静穂にうんざりされてしまうかもしれないー。
そうは思いながらもー
雅史は「どうしても…どうしても大事な話なんだ!」と呟いたー。

「わかった」
静穂はそれだけ言うと、
「じゃあ昼休みに、ね!」と言って、
そのまま立ち去って行ったー。

”やめて!!!”
”もう、、やめてよ!!!”

雅史が表情を歪めるー

静穂の声が、聞こえた気がするー。

頭を抱える雅史ー。

座席の方に向かった静穂のほうを見るー。
静穂が、友達と雑談しているー。

”普通”だー。

だがー
今の静穂の声はー?

”ははは…俺…幻聴でも聞こえるようになっちゃったのかな…?”
そんな風に思いながらも、
”もし、静穂が憑依されているなら、絶対に静穂を助ける”と
決意するのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「お~~~さみ…」
雅史は今日も寒いな、と思いながら、
廊下の外を見つめるー

昼休みの時間がやってきたー。
静穂を呼んだ、校庭裏の庭へと向かうー。

その時だったー

「---!?!?!?」
雅史の目にーー
ふと”黒い煙”が目に入ったー

「--!?!?!?」
雅史が、反対側の廊下を横切った、その黒い煙を追うー。

”あれは…静穂の中に入っていった煙”-

煙を追いかけていくとー
使われていない教室前の行き止まりにたどり着いたー

そして、
そこで雅史が目にしたものはーーー

「-----ぎゃああああああああああああ!?!?」
雅史は思わず悲鳴を上げたー

大破した車のようなものが、何故か校舎内にあってー
そして、その目の前にはー
ボロボロになった、謎の男ー。

男が不気味に口元を歪めるー

”貰った”

とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---!!!!」
雅史が意識を取り戻すと、そこは、保健室だったー。

保健室の先生と
静穂が心配そうに、雅史を見つめているー。

「----お、、俺…?」
雅史がはぁ、はぁと荒い息をしながら言うと、
静穂が「廊下で倒れているのを1年生が見つけて…」と
状況を説明したー

雅史は「そっか…」と呟くー

静穂は「--雅史…どうしちゃったの?最近」
と心配そうにつぶやいたー

雅史は”これ以上は本当におかしくなってしまう”と、
全ての気持ちと、全ての見たものを吐露したー。

「-----」
静穂は、雅史の話を聞き終えるとー
雅史を優しく抱きしめてー
そして、雅史の頭を撫でたー。

「--大丈夫だよ…雅史…
 わたしは、憑依なんてされてないからー。」

”大丈夫”
何度も聞いた言葉ー

確実に憑依されているように見えたー
でも、静穂は、”大丈夫”と何度も言っているー

「---…そっか、そうだよな…」

雅史は、少しだけ心を落ち着かせて、そう呟いたー

だがーーー
空は不気味に紫色に染まりー

静穂と保健室の先生の目が、不気味に赤く光ったことにー
雅史は気づいていなかったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日の②でも真相は謎のまま…
前回の①が終わった時よりも
何だかさらに不気味な雰囲気に…☆

次回の最終回では、
ちゃんと謎も明かされるので、
ぜひ最後まで結末を見届けて下さるとうれしいデス…!

もし、この先の展開が予想できた皆様は…、
私の作品の傾向を見破りつつありますネ…笑

こういう、”なんだか不気味な気配”を感じる作品は
書いている最中もちょっと不思議な気分になりながら
いつも書いていますが、
結構楽しく執筆できるので、
書いていて好きなタイプのお話の一つだったりします~!

…これ以上語ると、結末のネタバレに繋がりそうなので
今日はここまでにしておきます~!
(※一度3行書いて消した無名さんでした笑)

それでは明日の最終回もぜひお楽しみくださいネ~!