ストーカーはお姉ちゃん①~狂気~
 作:無名


とある仲良し姉妹ー

妹が、ストーカーに付きまとわれていることを知った姉は、
妹のために、ストーカーと対峙する。

しかしー
悲劇は起きた。
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高校1年の杉本 萌美(すぎもと もえみ)は、
足早に歩いていた。

下校中。

萌美は、ただ単に、家に早く帰りたいわけではない。

”ある男”から逃げていたのだー


「--ふふふふふ…こんばんは~萌美ちゃん!」
足早に歩く萌美の目の前に現れた男ー。

小田切 和馬(おだぎり かずま)-。
彼女の、ストーカーだ。

「--きみを守ってあげられるのは僕だけだ。
 ほら、僕にLINEを教えてよ!」

小太りの和馬が、カエルの絵柄のついたピンク色の
スマホを持ちながら笑うー。

「--わ、わたし、急いでますから」
萌美がそう言って、和馬を避けるようにして
足早に歩きだすと、
和馬は背後で叫んだ。

「どうして!
 どうして君は僕の愛を受け止めてくれないんだ!」

大声で叫ぶ和馬。

「-こんなに…こんなに愛しているのに!」
和馬は、上着をばっと脱ぎ捨てると、
その下に着ていたタンクトップを指さした。

そこにはー
”萌美ちゃんLOVE”と
書かれたハートマークが刻まれている。

「----」
萌美は振り返りもせず、そのまま立ち去った。


発端はあの雨の日ー

2か月前ぐらいだろうかー。


「--落ちましたよ…?」
萌美が、男の落としたピンク色のカエル柄のハンカチを拾ったー。

「え?あ、あぁ、ありがとー…  !!!!」

男ー、小田切 和馬は、
自分の落としたハンカチを拾ってくれた萌美を見て、
一目ぼれしたー。

和馬は43歳の独身男だ。

工場でバイトをしながら、
誰とも関わることなく、生きてきた。

だがー
この日、和馬は覚醒したー。

”僕は…この少女を守るために生まれてきたんだ”


ハンカチを拾ってもらった次の日から、和馬は通学路で萌美を
待ち伏せしては、声をかけるようになっていたー。

萌美は、ストーカー被害を受けるようになってしまったのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ただいま~」

足早に家に飛び込んできた萌美を見て、
先に帰宅していた、高校2年の姉・絵梨香(えりか)が
心配そうに萌美に尋ねた。

「また…付き纏われたの?」

絵梨香の言葉に、萌美が頷く。

姉の絵梨香は
真面目で正義感が強く、友達も多い。
妹の萌美にとって、理想の存在であり、
憧れでもあった。

そして、姉妹は、とても仲良しだった。


部屋に戻った萌美は、
姉の絵梨香に、今日の出来事を話した。

また、あの男が現れた…と。

「警察も動いてくれないし…」
姉の絵梨香が言う。

「---どうすればいいの…」
萌美が、目に涙を浮かべて言うと、
絵梨香はその様子を見て、あることを決意した。

「--よし。お姉ちゃんに任せて」
「え?」

姉の方を見る萌美。

「ちょうどお姉ちゃん、明日、午前中で授業が終わりだから、
 私がそいつにガツンと言ってあげる」

絵梨香が笑ながら言う。
ポニーテールがよく似合う姉は運動神経も良い。
まさに、頼れる存在だった。

「--え…でも、危ないよ、お姉ちゃん」
萌美が心配そうに言うと、
絵梨香が微笑んだ。

「--だいじょうぶだいじょうぶ。
 そういうヤツって、ガツンと言えば
 大人しくなるんだから…!

 私に任せて!

 それにー
 萌美が困ってるのを、放っておけるわけないでしょ?」

絵梨香は優しく微笑んだ。

「---ありがとう」
萌美は、姉に心から感謝しながら、頭を下げた。

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日。

その日は、雨が降っていた。

姉の絵梨香は、職員会議のために、午前中授業だった学校を終えると、
妹の高校の通学路周辺にまでやってきていた。

赤いスマホを手に、
写真を見つめる絵梨香。

そこには、妹から送ってもらった
ストーカー・小田切和馬の写真があった。

「--…許せない」
絵梨香は、萌美が、声をかけられた際に
なんとか撮影した写真を受け取り、
小田切の風貌を知っていた。

そしてー
いつも、どの辺から姿を現すかもー

”一番良く姿を現すポイント”が、
萌美が下校中に通る、あまり人気のない公園だったー

今日も、きっとここから小田切が現れるー。

絵梨香はそう直感して、
妹の下校時間をー
そして、小田切和馬が出現する時間を待っていたー

・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ はぁ はぁ はぁ」
和馬は、自分の身体の棒を手で激しくこすっていたー

「んへぁぁ」

和馬は激しく白い液体を放出するー。

思い浮かべているのは萌美のことー

「あぁ…もえみもえみもえみもえみもえみもえみもえみもえみ~」

男はさらに激しく手を動かす。
賢者タイムをも超越する愛が、
男の手を動かしたー。

「もえみもえみぃ~!
 どうしてきみはそんなにもえもえしてるんだぁ~!
 はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ♡」

公園の公衆トイレ―
そこに…和馬はいた。

「---ふほっ…ほっ」
和馬は、満足すると、
ロクに掃除もされていない汚らしいトイレの水道で
うがいをして、
鏡を見つめた。

「今日も僕…決まってるなぁ~」

全然決まっていない。
寝癖もついているし、髭は半分しかそれていない。

それでも、彼は、自分に絶対の自信を持っていた。

独身なのは、自分のオーラが、女性を圧倒しているからだと
彼は思っているー。

そして、彼は女にこびない。
何故なら、自分は、唯一無二の存在であると、考えているからだ。
何もしなくても、女が自分に寄ってくるとー。

だが、そんな彼にとって、萌美は、初めて彼が
”守りたい”と思える存在だった。

「ふぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
歩いてくる萌美の姿を見つけた。

和馬は傘も差さずに公衆便所から飛び出すと、
萌美の方に向かって走って行った。

「萌美ちゃ~~~ん!」

「---ひっ!?」

いつもの声に、萌美はビクッとする。

やっぱり、今日も現れた。

「--わ、わたしに付きまとわないで!」
萌美が弱弱しく叫ぶ。

しかし、和馬はスキップしながら萌美に
近づいてきた。

「---萌美ちゃん!君を守れるのは僕だけだ!
 悪の組織から、僕が君を正義の力で守る!」

気持ち悪いポーズをとりながら、萌美に向かって
笑顔を見せる和馬。

特撮の見過ぎだろうか。

「--ねぇ!」
背後から声がした。

和馬が振り返ると、
そこには、萌美の姉・絵梨香がいた。

「萌美!後は任せて!
 ガツンと言ってやるから!」

絵梨香の言葉に、萌美は「う、うん!」と言って
足早に立ち去って行く。

「な、なんだぁ、君は?」
和馬が叫ぶ。

「--萌美の姉の絵梨香です。
 妹に付きまとっているのはあんたね?」

絵梨香が敵意をむき出しにして言うと、
和馬は、雨に濡れながら微笑んだ。

「--付き纏う?
 失礼しちゃうね

 僕はただ、君の妹さんを守りたいだけさ」

悪びれる様子もなく、そう宣言する和馬。

こういう人間が一番厄介だ。
自分のしていることを正義だと思い込み、
微塵も悪いとは思っていない。

「--これ以上、付き纏うなら警察に被害届を…」

「---うるさい女だなぁ!」

和馬が突然声を荒げた。

そして、周囲に雷の轟音が轟くー

「--妹が怖がってるの!
 それぐらい、分からないの?」
絵梨香が声を荒げた。

「--だから僕がその恐怖から守ってあげようとしてるんじゃないか!」
和馬も声を荒げる。

「--恐怖の原因はあんたなのよ!」
絵梨香はそう叫ぶと、
スマホを取り出して、あるものを見せようとした。

妹の萌美のことだ。
きっと、直接的に”嫌だ”と伝えることができていないのだろう。

その直接的な証拠を見せようとー。

スマホを取り出した絵梨香を見て
和馬は”警察に通報される”
そう思った。

「おい!やめろよ!」
和馬がスマホを取り上げようと、絵梨香に近づく。

「ちょっと!離して!」

2人がもみ合い状態になるー

そしてー
大きな音が轟いて、雷がすぐ近くに落ちた。

ーーーーーー!?!?!?!?

・・・・・・・・・・・・・・・・

静寂ー

さっきまで鳴っていた雷は落ち着いているー。
公園のコンクリートの上で気絶していた絵梨香が目を覚ます。
制服は、ずぶ濡れだ。

小雨になった雨を見上げた絵梨香は、
ふと、周囲を見渡す。

そしてー

「え…」
足のひんやりとした感触に気付き、
絵梨香は自分の足を見つめた。

そこにはー
スカートと、自分の綺麗な足があった。

「な、、なんだこれ?」
絵梨香はそう呟くと、
すぐ近くに倒れている和馬を見つめて
こう思った。

”自分が、目の前に倒れている”

「--お、、おい!起きろ!」
絵梨香は、自分の声が女声になっていることにも気づき
混乱したー

”ぼ、僕が…さっきの女の子になっている?”

絵梨香の中にはー
ストーカー男の和馬が居た。

そしてー

「きゃああああああああああ!」
目覚めた和馬が悲鳴を上げたー

和馬の中には、絵梨香が居たー。

2人は、雷が落ちた際に何らかの拍子で
入れ替わってしまったー

「---う…嘘だろ…
 マジかよ…」

絶望の表情を浮かべる絵梨香。

泣きじゃくる和馬。

しかしー
すぐに絵梨香の方は笑みを浮かべた。

「--僕が…萌美ちゃんの…
 お姉ちゃん…?

 ふふふふ…
 ふほ、うへへへへへへへへ!」

絵梨香が口元を歪めて
興奮しながら立ち上がった。

女子高生の身体になったことではなく、
萌美の姉という立場を手に入れたことへの興奮ー

「わ…私の身体を返して!」
太った男…
今まで自分の身体だった和馬が叫ぶ。

「---」
そんな和馬を見て、絵梨香はにやりと笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ただいま~」

姉の絵梨香が帰宅した。

妹の萌美は、
心待ちにしていたかのように
姉を出迎えた。

「お…お姉ちゃん!大丈夫だった?」
萌美が言う。

姉はずぶ濡れだー。

「---」
絵梨香はにこっと微笑むと、
萌美に抱き着いた。

「もう大丈夫。あの男は近づいて来ないわ…
 これからはぼ…いえ、わたしがず~っと、ずっと
 萌美ちゃ…、、も、萌美…を守ってあげるから!」


ぎゅーっと萌美を抱きしめる絵梨香。

「--お、、お姉ちゃん…!」
萌美は、拒むことなくそれを受け入れた。

「--ふふふふ…萌美ち、、、萌美…
 あなたのことはわたしがずーっと守ってあげる…
 うふふふふふふ…」

「ありがとう…お姉ちゃん…!」

過剰だなぁ、と思いつつ、
妹の萌美は、ストーカー男を撃退してくれた姉への
感謝でいっぱいだった。

「あ…お姉ちゃん、お風呂入った方がいいんじゃない?
 そんなに濡れて…」
ズブ濡れの姉に言う萌美。

「---~~はぁぁぁぁぁ…優しいね…萌美は~…」
顔を赤らめながら言う絵梨香。

「---お、お姉ちゃん?」
ちょっと違和感を感じた萌美が
姉のことを心配すると、
絵梨香は「あ、1回部屋に荷物おいてからお風呂に入るね」
と言って、部屋の方に歩いて行った。

そんな絵梨香の後姿を見ながら、萌美は
「ありがとう、お姉ちゃん」と心からの感謝を述べたー。

・・・・・・・・・・・・・・

「もえみ…もえみ…
 ふふふふふ…もえみ~…
 ちゃんづけじゃなくて、呼び捨てで呼べる~
 もえみ・もえみ・もえみ・もえみ♡ もえみぃ♡」

部屋に戻った絵梨香は顔を真っ赤にしながら
嬉しそうに呟いていた。

「あぁぁぁああああ~萌美ちゃんのぬくもり~
 うふふふふふふふ…
 ふふふふふふふふふふふ~」

絵梨香の身体の興奮が、限界まで達して、
雨でぬれた下着を別の何かで濡らしていく。

「~~~はぁ~~も・え・み♡
 ぁあああ、も・え・み♡

 どうしてそんなにもえもえしてるの~?
 お姉ちゃん興奮しちゃうじゃない…
 ふふ、もえみもえみもえみもえもえもえもえもえぇぇぇ~♡

 わたしがお姉ちゃん…
 わたしがおねえちゃん…

 ふふふぅぅぅぅぅぅぅぅ♡」

絵梨香は、自分を抑えきれずに
甘い声で大声を出した。

「--はぁ♡ はぁ♡ はぁ♡
 おねえちゃんが♡
 ず~っと守ってあげる♡
 はぁ♡ はぁ♡ はぁぁああぁぁぁぁぁあああ♡」

エッチの最中かのように
甘い吐息を吐きながら絵梨香は笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小降りになった雨の中ー
和馬は歩いていたー

”二度と、私たちに近寄らないで”

自分の身体を奪ったアイツに、そう言われたー


ふざけないで!身体を返して!

そう言いかえしたー

けれどー
”この見た目…だ~れも、身体を入れ替えられたなんて
 信じないでしょ?
 無駄だよ…ふふふふふふ”

アイツの言うとおりだ。

そしてー

”もし、僕の視界に入ったら、
 萌美ちゃんを殺しちゃうかもよ~
 あ、わたしが死んじゃうかも~
 えへへへへへへ~!
 余計なこと、しないほうがいいと思うよぉ~!
 うへへへへへ~!”

私が、萌美に近づこうとすれば、
アイツに萌美を殺されるかもしれないー


和馬の身体になってしまった絵梨香は、
なんとか萌美を救い出そうとー

そして、自分の身体を取り戻そうと、
決意し、まだ雨粒の落ちてきている空を見つめたー


②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

ストーカーはお姉ちゃんの、①でした~!
今回は入れ替わるところまでがメインでしたが
次回以降、ゾクゾク要素もたっぷりご用意しているので、
ぜひ楽しんでくださいネ…!

お祭り作品(過去2回)と合わせて
今回で、解体新書様では4作品目の掲載となりました!

解体新書様でのお祭り以外の掲載作品は、
私が推薦して選んでいるのですが、
前回(夕暮れ時の涙)が憑依モノだったので、
今回は「入れ替わり」モノにしてみました!

解体新書様は、元々、私がサイトを始めたり、
小説を書き始める前から度々見ていたサイトだったので、
そんな思い入れのあるサイト様に作品が掲載されるとなると、
毎回、あれにしようかな?これにしようかな?と、
どの作品の掲載をお願いするかとっても悩みます★!

でも、そんな風に迷うのも、私にとって一つの楽しみだったりします(笑)

話が長くなりましたが、
②もぜひお楽しみください!!