ふゆさん総合
兄の妻 作 ふゆ この作品は息子の妻の弟ヴァージョンで、主人公が弟となる他は 内容は息子の妻とほぼ同じです。 登場人物 主人公 白石浩介(27才) 兄 白石正隆(33才) 妻 白石紗枝(30才) 娘 白石美樹(5才) 友人 山口卓也(27才) 友人兄嫁 山口敦子(29才) 第一章 僕がお兄ちゃんのことが好きと、意識しだしたのは、中学に入った頃からだった。 みんながクラスメイトの誰々を好きと言ってるなかで 僕はみんなとは、違う性癖を持ってるんだと気が付いた。 僕の両親は僕が高校の時に交通事故で亡くなっていて まだ高校生だった僕を、お兄ちゃんは親身になって面倒を見てくれた。 そんなお兄ちゃんは6年前同じ会社の女性と結婚した。 兄嫁は僕の性癖になんとなく気が付いており、僕のことを避けていた。 それだけなら別に構わないし、お兄ちゃんが幸せなら僕は満足していた。 でも最近のお兄ちゃんは、兄嫁に対する不満がつもり、よく愚痴をこぼすようになった。 快活だったお兄ちゃんが、元気なく塞ぎこむ事が多くなり、僕は気に病んでいた。 そんな思いを募らせている僕に、3年ほど前に友人の兄の嫁に来た女性が訪ねてきた。 近くまで来たので寄ってみたと言っている。 友人とは子供の頃から仲がよく、偶然にも僕と同じ性癖で、自分も兄の事を密かに思ってると打ち明けてくれて、兄嫁に対しての不満をいつもこぼしていた。 でも嫁に来た女性とは挨拶をする程度の関係で、 わざわざ用もないのに何故と思ったが、せっかくなので家でお茶でも飲むことにした。 シンプルなブラウスに花柄のスカート、派手ではないが若さが華やかに見せている。 「いらっしゃい、卓也は元気ですか」 「ええ、かわりなく元気ですよ、最近卓也さんとは会ってないんですか?」 「ええ、そうです。ここ一ヶ月位は会いに行っても用事があるとかで、会ってくれないんです」 「ふふ、そうでしょうね」 そう笑いながら返事をする目の前の女の態度に不審を覚えた。 「どういう事です、卓也になにかあったんですか?」 そう問いかける僕に、からかうような表情で彼女は 「まだ、分からない浩介、僕だよ卓也だよ」 そう友人の名前を名乗ってきた。 「何言ってるんです、僕をからかっているんですか。貴方は卓也のお兄さんのお嫁さんの、敦子さんじゃないですか」 「ふふ、分からないのも無理ないよね、実は兄嫁と体を入れ替えたんだ」 そう言いながら体を入れ替えた経緯を話し始めた。 「ずっと好きだった兄さんの妻になれた。主婦業は慣れないから大変だけど、 その代わり夜はとってもいいし、いつも兄さんの隣にいられるから、幸せだよ」 「親と同居してるんでしょ、ばれてないの?」 「あ、うん義姉さんはお母さんと上手くいってなくて別居したいって言ってたみたいだけど、 僕は自分の親だから嫁姑関係が良くなって、兄さんも喜んでいるよ」 予想外の話にあっけにとられてる僕に、卓也は驚く提案をしてきた。 「ねえ浩介もお兄さんを取られて悔しいって言ってたよね。浩介もお兄さんのお嫁さんと入れ替わってみない?」 入れ替わりを進める友人の話に、 これはチャンスだ お兄ちゃんを救うにはこれしかない 僕はそう思った。 帰省してきた兄夫婦を迎え、その日が来た。 「いらっしゃい、お義姉さん」 いつも会うたびに、奇麗な人だな、そう思っていた。 その奇麗な人に僕がなれば、お兄ちゃんを幸せにできる そう思いにっこり笑って声を掛けた。 なんとか紗枝と二人きりになる機会をつくらなきゃ、そう思っていると お兄ちゃんは友人の所に行くと僕に告げた。 向こうにも美樹と同い年の子供がいるので、美樹も一緒に連れて行くと言う。 残された僕と紗枝さんは二人きりになった。 「お義姉さんお茶でも入れるね」 そう言いながら立ち上がると、わざとよろけたふりをして紗枝さんにぶつかり、卓也に教わった入れ替わりの呪文を唱えた。そうすると目の前が真っ暗になり意識が途切れた。 意識が戻り起き上がってみると、紗枝さんが履いていた花柄のスカートを僕が履いてる。 鏡を見ると美しい女性が僕を見つめていた。 「うーん」 隣で僕になった紗枝さんが目を覚ましたようだ。 「どうして・・・、私がそこにいるの」 嬉しくてしかたないのを隠し、困惑しているように演技してみせる。 「大変だお義姉さん、僕たち入れ替わってるみたい」 鏡を見た紗枝さんはショックで呆然としていた。 「こうなってしまったら、どうするか考えないとね」 「どうするって、どうすればいいのか・・」 「しかたない、僕があなたの振りをして、あなたが僕の振りをするしかないよ」 「そ、そんな、私が浩介さんになるなんて嫌です」 「じゃあどうするの、その姿で自分は紗枝です、僕たち入れ替わってるて言うの」 「ええ、正隆さんにそう言うしか」 「そんなの事、信じてもらえないんじゃないかな。頭がおかしくなったと思われて二人とも病院行きだよ」 「でも、浩介さんが私の振りするなんて無理です。正隆さんだって、美樹にだってすぐにばれます」 「それは、どうかな」 その時玄関のチャイムが鳴り、お兄ちゃん達が帰ってきた。 僕は玄関まで迎えに行った。 「おかえりなさい、どうだったお友達のところ、楽しかった?」 「うん、久々なんで話込んで、楽しかったよ」 「そう、いいわね、子供の頃からの友達って」 「ママー、美樹も一杯遊んでもらって、楽しかったよ」 「あら、よかったわね。じゃあ、次の休みもこないとね」 「うん、また来たい」 そう話す僕をお兄ちゃんは嬉しそうに見つめている。 「浩介はどうしてる?」 「自分の部屋にいるわ。今、貴方のお義母さんの思い出話を聞いていたの」 「そうか」 「まだ話の途中だから、まだ暫くは浩介さんの部屋にいるわね」 「うん」 部屋に戻り、僕は紗枝さんを見つめた。 「どう、お兄ちゃんも美樹ちゃんも全然疑ってないよ」 紗枝さんは、顔を伏せて泣きだしてしまった。 「明日には帰らないといけないから、これからの事を話しておかない? 何も知らないと大変だから、色々教えてくれないかな。 美樹ちゃんの幼稚園の事とか、銀行の暗証番号とか」 紗枝さんは驚いて顔を上げる。 「そんな、私も一緒に帰ります」 ふふ、そんなことさせるわけないだろ 僕はわざと悲痛な表情を浮かべた。 「そうだね、僕もそうした方がいいと思うけど、お兄ちゃんになんて言えばいいかな、 どうしょう」 「それは・・・」 「遊びに来たと言っても、居られるのは精々数日だしねぇ・・・」 「でも、私は絶対にいやです、美樹の事とか銀行の暗証番号を教えるのなんて」 「そう、仕方ないね」 そう言って紗枝さんの使っていたスマホを取り出し操作する。 案の定幼稚園の予定など、紗枝さんのスケジュールが全て記録されていた。 「これをみれば、お義姉さんの予定が全てわかる、几帳面な貴方らしい」 紗枝さんは驚いた顔で僕を見返した。 「どうして、私のスマホを操作出来るんですか。 スケジュールアプリには指紋ロックがあるはずなのに」 「だって今は、僕が白石紗枝ですから、このスマホも僕の物です。 どうです、もう全部教えるしかないよ」 その言葉に紗枝は観念したように、全てを話し始めた。 「浩介、ありがとう、帰るね」 僕になった紗枝さんに、お兄ちゃんはそう声をかけた。 泣き出しそうな顔をしている紗枝さんを横目に、僕は美樹ちゃんに声をかける。 「美樹、浩介叔父さんにさようならしないと」 「浩介叔父さん、さようなら」 「浩介さん、お世話になりました。 また、遊びにきますね。 お身体を大事にして下さいね」 そしてお兄ちゃんと美樹が車に乗り込んだのを見届けると、小さな声で紗枝さんに囁いた。 「元気でね、お義姉さん。二人のことは、僕に任せてね」 その言葉に、紗枝さんは悔しそうに涙を流して泣いていた。 帰りの車の中で、助手席に座る僕にお兄ちゃんが話しかける。 「浩介、別れ際に泣いてたみたいだな。 俺たちが帰るのがよっぽど、寂しかったんだな」 何も知らないお兄ちゃんに、僕は神妙な顔をしながら答える。 「ええ、そうね、これからはもっと頻繁に帰ってあげないとね」 「そうだな・・・」 そう話しながら僕の心の中は、喜びに満ち溢れていた。 これでもうあの女もおしまいだ 最愛の夫 可愛い一人娘 そして女の身体 その全てを僕に奪われた なんだか可哀想だ でも仕方ないよ。お兄ちゃんを大事にしなかった貴方が悪いんだ これからは、僕が大好きなお兄ちゃんの妻 可愛い姪の母親 幸せだこんな日がくるなんて 二章に続く |