作:夏目彩香(2000年6月01日初公開)
長い間降っていた雨が過ぎ去り、窓からは朝の光が降り注いでいる。シーンと静まった朝の目覚めはなんともすがすがしかった。窓を開けるとマイナスイオンをたっぷりと含んだ空気が部屋の中に吹き抜けた。俺にとってはいつになく新鮮な朝だ。ベッドの上にはついに体を混じり合わせた里美がいる。何もかもが順調に行き過ぎていると感じた。 思えば昨日の夜、突然の土砂降りに見舞われたのが幸いした。里美とは付き合い始めて間もないため、まだ体の関係を結ぶことはなかった。それが昨日の夜についに叶えられたのだ。昨日の里美はいつもと違ってとても楽しそうな感じがした。給料日あとの週末ともあって、どこへ行くにも混んでいたが、里美が一緒ならそれでいつもは十分なのだが、昨日の夜はいつもよりも楽しいものになった。 里美はまだベッドで寝ている。とりあえず、俺は身支度を済ませていると、突然目覚し時計が鳴り出した。あわてて俺は時計を抑え込んだが、里美を起こしてしまったらしい。 里美はむくっと起き上がって俺の方を笑顔で見た。 「おはよう!早いのね」 昨日は楽しい夜をありがとう、とでも言っているかのように俺には聞こえた。 寝る前の里美はとっても魅力的だった。もちろん、何もかもがはじめてのことばかりだった。 「ねぇ、今夜はしてもいいのよ。私、ようやくわかったの」 それが俺に開始の合図をあたえてくれた。俺も里美も土砂降りの雨の中を走ってきたせいもあってか、びしょびしょになったままで、俺のベッドへと二人は倒れこんでいた。 里美の体は思った以上に柔らかかった。濡れたスカートの間に手を入れた時の太ももの感覚で、里美が女だということを感じさせてくれた。少しずつ手を伸ばしながら、もう片方の手では里美の膨らみをつかんでいた。里美のあそこからいやらしい液がでるのを触りながら、俺がついに里美をものにしたと感じていた。 「私のあそこ濡れてるでしょ。それ舐めてくれる?」 言われるままに俺は、里美の愛液を舐め始めた。 「いやらしーなー、んっもう。いいわ、スカート脱がせてよ」 「うん、わかった」 俺はいつの間にか里美の命令を受け入れていた。腰にあるチャックを外すと、そのまま激しくスカートを剥ぎ取った。 「やぶっちゃ嫌よ!やさしくしてね」 里美の柔らかな肌を触るだけでも、俺は興奮していた。いつの間にか里美の口を俺の口でふさいでいた。この時間がいつまでも続いて欲しいと俺は感じた。長いキスが終わると、彼女は「もっと、キスして」と猫なで声で言い出した。もちろん、そのとおりに俺はキスを続けた。 その後も里美は積極的に俺のことを受け入れてくれた。もちろん、俺のものはすんなりと里美の中に入っていた。展開が早すぎるくらいに、二人は一体となっていた。降りしきる雨音が聞こえないくらいに、俺と里美は一緒の空間を過ごしていたのだ。俺が力つきたあとで、里美の体がのしかかってきたように感じた。そのまま二人は眠りに入ってしまった。 起きたばかりの里美はシャワーを浴びてから着替えをはじめた。初めて里美の着替えている姿を見るが、なんだか子供の着替えを見ているかのようだった。そして、白のブラウスと薄いクリーム色のミニスカート姿になった。昨日のできごとを恥ずかしがるようなそぶりはなく、俺には心のすべてを打ち開けてくれる、そんな感じがしていた。 「昨日は楽しかったよ」と里見にやさしく声をかける。 「何かあったっけ?私、ずっとここで寝てただけだと思うけど」 「言いたくないならいいよ。ほんとに何も覚えてないの?」 「うん、覚えてないっていうか、昨日は会社をでてから何したのかまるっきり記憶がないの」 「どうして覚えてないか、思い出せるか?」 「そんなこと言ったって覚えてないもーん」 行きつけのバーを二人で出た頃には大雨が降っていた。とてもつよい雨なので仕方なく、タクシーを呼んで帰ることにした。俺は里美を送るために里美の住所を言ったが、里美は俺の家の住所を口に出した。 「おいっ。うちに来る気か?」 俺は里美に聞いた。 「いいじゃない、今日はそんな気分なの!女になるチャンスだもの」 「お前、酔ってるな。変なこと言っちゃって。信じていいのか?」 「もち信じてよ。私、、、あなたのこと愛してるからね」 そして、タクシーは俺の家の前で止まり、はじめて二人で俺の家に来てしまった。そのときの里美の表情は何かいつもと違って見えた。 「思い出せた?里美」 「そんなに急かさないでよぉ。昨日の夜の記憶を少しづつたどってるんだからさ」 「わかってるって、その記憶ってどんな感じだ」 「なんか、変な感じなんだよね。私じゃない誰かによって作られた記憶みたい」 「なんだそれ?里美じゃない誰かに操られていたってことか?お話にならないな」 「でも、確かに私の頭の中にあるんだから。私の考えでやったことなのかな?」 「お前、とぼけてるだけだろ」 「違うよーって。さっきから言ってるじゃないの。一緒に思い出してよ」 バーに行く手はずを整えていた俺は、里美と一緒に夕食を取ることにしていた。いかにも高級感のあるフランス料理店に行き、コース料理を楽しむことにしたのだ。それにしても、里美の食べ方は凄まじかった。その聡明な顔立ちからは考えられないほどの食べ方をしていたからだ。でも、俺は初めて食べるものばかりだから、気に入ってくれたと解釈をした。 「夕食は、すごかったよ。確かに、俺は圧倒されてたもの」 「そうだったの?それって絶対なにかの思い違いよ。だいいち私が食べられるような量じゃないじゃない」 里美は呆れるように俺に言い始めた。 「じゃあ、そのときの記憶もないってわけだな」 「そうじゃないの、記憶はあるけど私はそんなことするはずないってこと!」 「ちょっとノイローゼでも入ってると思うぞ」 「もっー!」 どうやら里美を怒らせてしまったようだ。 待ち合わせの時間になっても、里美は現れなかった。せっかっくのデートだって言うのに、5分、10分と時間がたつと少しいらだってきた。携帯くらい持ってるんだから、電話をかけてきたっていいのにと思うと、ますますいらいらしていた。そんな時、向こうに里美の姿が見えた。 「おーい。里美!ここだぞぉ」 思いっきり里美に聞こえるように俺は叫んでいた。それでも、里美はまったくの知らん顔だったので、こっちから里美の所へ行くことにした。里美と顔を合わせると、里美はニヤッとした表情を浮かべながら。 「もしかして、デート?なんだね」 薄ら笑いをしながら言ってるので、俺は「忘れてたのか?」と聞いてみた。 「里美っていい名前だよね」 「何言ってるんだ?聞いてることに答えないで、お前ってそういう奴だったっけ?」 「そうよ、そういう奴よ、フフフ」 「なんだか、気持ち悪いぜ。お前いつもとちょっと違うな」 「気にしないでよ。愛してるんでしょ?」 「まぁ、それもそうだな。今日はデートしてくれるんだし、大目にみてやる」 「里美だって信じてれるよね」 「もちろん、今日のデートは俺に任せろって!」 「これも覚えてないのか?やっぱり里美おかしいぞ」 「だから、会社を出てから記憶がないって。言ってるじゃない」 「じゃあ、会社を出てすぐにどこへ言ったんだ」 「えっ?なんでそんなこと聞くの?」 「そこを思い出せば何かわかるかも知れないだろっ!」 「そっかー。頭いいんだね。会社を出てから私は、デートの待ち合わせ場所に向かったんだけど、、、う~ん。思い出せないよ」 そういうと里美は考え込んでしまった。俺もさすがに困ってしまったが、そのとき一瞬里美がめまいをしたように俺には見えた。 「私、思い出したよ」 突然、里美は違った口調で話し始めた。 「えっ本当か?」 「だって、あなたとエッチしたのは私だもの」 「そうだよな。よかった」 俺は本気で安心した。 「ところで、さっきちょっとめまいしなかったか?」 「えっ? あぁ、あれね、うまく入れたってこと」 「何言ってるんだ里美?」 「まぁ、まだ里美やってるのもいいかなって思ったから、またよろしくね」 「お前、さっきから日本語おかしいぞ」 「フフフ、あなたはまだ気づいてないのね。まっそれならそれで、都合がいいわ。気が向いたら、でていくから」 そう言い残して俺の家をでた里美の後姿は、普通の女性にはない魅力が俺には感じられたのだ。 (終わり) |
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