クリスマスの涙①~失踪~
 作:無名


12月24日ー

待ち合わせをしていたはずの彼女が
突然、姿を消した…

その、真相とはー…?

※作品の性質上「ジャンル」を明かせないタイプのお話デス~!
 TSF関係の”なにか”が起こっています~!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーへへへへ…
 うへへへへへへへへ…」

男子大学生の柿原 俊哉(かきはら としや)が
ニヤニヤしながらスマホを見つめているー

「何だよ…さっきからニヤニヤしてー
 気持ち悪いー」

そう言いながら友人の堀口 勝(ほりぐち まさる)が
声を掛けると、
「へへへへ…いやぁ、もうすぐクリスマスだと思ってさ」と、
いかにもご機嫌そうに返事を返したー。

俊哉は、昔から恋愛とは全くと言っていいほど、縁がなかったー

小さい頃から学校が一緒で、友人の勝は
モテないもの同士、よく二人で”彼女なんて一緒できるわけがない”
などと、モテないトークで盛り上がっていたー

去年のクリスマスも、一緒に
”クリぼっちパーティ”をしたぐらいだー。

しかし、今年は違うー。

俊哉には、半年ほど前、彼女が出来たのだー。

そしてー、
12月24日にはー
人生で初めてのクリスマスデートの約束をしているのだと言うー。

「ーーー…ったく、去年までのお前はどこに行っちまったんだー」
勝はそれだけ言うと、
俊哉は「ーーへへへへ…そんなこと言うなって」と、
笑みを浮かべながら言葉を口にしたー。

「ーいやいやいやいや、言うだろー
 俺とお前は来年も10年後も、100年後もクリぼっちで
 いようって誓った間柄のはずだぜ!?
 それなのにー」

勝はため息をつきながらそう叫ぶと、
「そんな約束はしてねー!」と、俊哉は叫んだー。

「ーーーまぁ、いいやー
 しっかしー、ずるいよなぁ…
 あんなに可愛い彼女がいるなんてー」

勝は少し不貞腐れたような表情を浮かべながらそう呟くと、
頼んでもいないのに、俊哉がスマホを手に、
彼女の写真を見せたー

別の大学に通う同い年の大学生ー、
江森 幸恵(えもり ゆきえ)ー

”理想の美少女”とも言えるような、
そんな風貌の子だー。
まるで、アニメから飛び出してきたようなー
そんなかわいらしさがあるー。

アニメ好きの俊哉が好きなのも頷けるー。

「いったい、どんな手を使ったらこんな子と
 付き合えるんだよー…
 イケメンでもなんでもないお前がー」

勝がそれだけ言うと、
俊哉は「散々な言われようだなー」と、呟くー。

勝も、半年ほど前ー、俊哉が体調を崩して
しばらく大学を休んでいた際に、
幸恵と会っているが、
本当に良い子だったー

”こんな子に看病してもらえるなんてー”

という、羨ましい思いと、嫉妬の想いが
溢れそうになったー。

けれどー
友人として、俊哉のことを祝いたい気持ちもあり、
勝の心中は、俊哉に彼女が出来た
半年が経過した今でも、複雑なものであることは、
事実だったー。

「ーーーまぁ、どうせクリスマスデートするなら
 楽しんで来いよ?

 俺はコンビニでケーキとチキンを買って
 一人で家でパーティするからさ」

勝がそんな言葉を口にすると
俊哉は「はは…わかったー」と、笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した俊哉は、カレンダーを見つめながら
目前にまで迫ったクリスマスイブの日ー
”24”という数字を見つめながら
一人、ニヤニヤとしていたー。

「えへへへへ…」
ニヤニヤが止まらないー。

そんな風に思いながら、
カレンダーを見つめるー

”ーわたしと、付き合ってくださいー”

幸恵からそんなことを言われた時はー
本当にびっくりしたー。

まさか、自分が告白されるなんて、夢にも思わなかったからだー

ずっと、彼女が出来ないことを馬鹿にされ続けて来た俊哉ー。

気にしない人間ならば、そんなことで悩む必要はなかったのかもしれないー
周囲に馬鹿にするような人間がいなければ、
別に良かったのかもしれないー。

しかし、実家の両親や姉も含めて、
それを馬鹿にしてくる日々ー。

がー、彼女がー、幸恵が出来てからは、
それを馬鹿にされることも無くなったー。

姉も両親も何も言わなくなったしー
散々、俊哉を馬鹿にしてきた姉は気まずくなったのか
話すたびに気まずそうにしているー。

そんな様子を見て、俊哉はせいせいとするー

”絶対にあけちゃだめ!”
可愛らしい字でそう書かれた箱を見つめるー

幸恵の私物だー。

彼女の私物が家にあるー。
そう考えただけで、俊哉は嬉しそうに微笑むと、
再びカレンダーの日付を見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12月24日ー

クリスマスイブの夜ー。
俊哉は、彼女の幸恵との待ち合わせ場所に向かうー。

”今日の夜、たのしみだね”
そんな風に幸恵からメッセージが送られてくるー。

俊哉は、”まさか俺に彼女ができるなんてー”と
今でも信じられない気持ちになりながら、
待ち合わせ場所へと向かうー。

今でも、夢のようだー。
自分は生涯独身だと思っていたし、
容姿も性格も、自分で言うのもアレだが、
お世辞にも良いとは言えない。

もしも、自分が女の子であったのであれば
絶対に自分のようなやつは選ばないー
そう、断言することもできるー。

だが、世の中とは分からないものだー。
こんな自分にも、彼女ができるのだからー。

しかしーー
待ち合わせ場所に到着してから
しばらく時間が経過して、
俊哉は表情を歪め始めたー。

「ーーー…あれ…ーーー…遅いなー」
幸恵がなかなか到着しないー。

幸恵はとても真面目な性格で、
今までに遅刻したことなどなかったー

それなのにー
5分ー、10分、
いや、30分が経過しても、幸恵は待ち合わせの場所に
やってこなかったー。

”幸恵…?何かあったのか…?”
恐る恐る俊哉は幸恵にそんなメッセージを送るー。

やがてー
少しすると、”今日は体調が悪くて行けなくなっちゃった”と
返事が戻ってくるー

「えぇっ!?」
俊哉は幸恵からのそんなメッセージを前に、
強いショックを受けながらも
”そ、そっかー…わかった”と、返事を返すー。

すると、幸恵からも返事が返ってきて、
”本当にごめんね”と、書かれていたー。

呆然とする俊哉ー。

頭の中がごちゃごちゃして、
気持ちの整理がつかないー

友人の勝に、あんなご機嫌そうに
話をしたのに、
まさかこんなことになるなんてー

モヤモヤが強まりー、
一気に不安な気持ちが爆発しそうになるー。

やがてー
幸恵からメッセージの返事も来なくなり、
俊哉は”何かあったのか…?”と強い不安を感じながら
そのままその場所を後にしたー。

そしてーーー
12月24日の夜、
幸恵とついに連絡がつかなくなったー。

「ーーーーー」

翌日ー

部屋にあるスマホの一つが鳴るー。

俊哉が、慌ててスマホを手にすると
「もしもし?」と言葉を呟いたー

するとー
恐ろしい声が聞こえて来たー

「ククククー…
 お前が俊哉か?」

そんな言葉に、俊哉は
「ーど、どちら様ですかー?」と、答えるー

相手の恐ろしい雰囲気の声ー

だが、”どこか聞き覚えのある声”な気がしながら
そのまま会話を続けるー

「ーーへへへ…お前の彼女はーー
 俺が頂いた」

そんな言葉に、俊哉は「な、なんだって!?」と
声をあげるー

「まぁまぁ、そんなに焦るなってー
 これはお前のためでもあるんだー
 へへへー
 お前の大事な大事な幸恵ちゃんはー
 俺が貰ったー」

謎の男の声に
俊哉は「どういうことだ!?」と、スマホに向かって叫ぶー。

すると、男は答えたー

「幸恵ちゃんに”憑依”させてもらったー」
とー。

「ーなんだと…?憑依!?」
俊哉は困惑するー

”憑依”
その言葉の意味を、俊哉は良く知っているー。

アニメや漫画が趣味の一つである俊哉は
よく”そういうシーンのある作品”を度々見るし、
俊哉自身”憑依”が好きだからだー。

だがー
そのような言葉を、まさか”現実”で
聞かされることになるとは、
夢にも思わなかったー。

「ーーどういう意味だー…?
 憑依なんて、現実で出来るはずがないー」
俊哉がそう言うと
相手の男は笑ったー

「それが、できるんだよなぁ」
とー。

そしてー
その直後、女の声が聞こえて来たー

「ーふふふふ…俊哉ぁ?わたし、憑依されちゃったぁ♡」

とー。

「ーーー…!?」
俊哉はびくっと驚きながら、
表情を歪めるー

「ーう…う、、、嘘だ!」
そう叫ぶ俊哉ー

「嘘じゃないぜー?
 だから、お前はもう彼女には会えないー
 残念だけど、諦めなー」

男がそう呟くと、
俊哉は「おい!ふざけるな!ふざかるな!おい!」
と、何度も何度も叫ぶー

「おい!幸恵を返せ!おいっ!!おいっ!!!」

そう叫ぶも、相手から返事はなくー
スマホを確認すると、既に通話は終わっているようだったー

「ーー…う、嘘だろー… 
 ひ、憑依なんてー…」
震える俊哉ー

だが、幸恵に連絡を送っても、何の返事もなくー、俊哉は
困惑の表情を浮かべるー

12月25日。

本来であれば、今頃ー
”昨日のクリスマスデートは楽しかったなぁ”だとか、
そんなことを考えていたはずの時間帯だー。

しかしー
現実は冷たい。

初めてのクリスマスデートとなるはずだった昨日、
その夢は打ち砕かれたー。

”幸恵が体調不良って、デートをキャンセルしてきた時点で、
 既に幸恵の身に何か起きていたのか?”

そんな風に考える俊哉ー。

だがー、幸恵のことを諦めることはできないし、
幸恵が”憑依”されてしまったというのであれば
助け出さないといけないー

そう思いながら、
俊哉はすぐに行動を実行に移したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”なんだって?”

友人の勝が困惑するー

”幸恵ちゃんが、憑依された?”
勝がそう繰り返すー

「そ、そうなんだー
 さっき、犯人から直接連絡があってー、
 幸恵がー、幸恵が普段じゃ信じられないようなー
 言葉遣いでー…」

俊哉が焦りながら、親友の勝に電話でそう話すと

”いやいや、待て待て!落ち着け!”
と、電話の向こうから声を出すー。

「ーーで、でもー」
俊哉がそう言うと、
勝は”憑依とか…な、なにを言ってるかさっぱりわからねぇけどー
何があったんだよ?”と、
冷静になるように促しながら、俊哉に起きたことを
詳しく尋ねて来たー。

俊哉は深呼吸をしてから、
起きたことを全て、丁寧にひとつひとつ説明していくー

勝は最後まで聞くと、
”ーこんなこと言っちゃ悪いんだけどさー”と、
気まずそうに言葉を口にしたー。

”ーー彼女さんが、その男とグルって可能性はないか?”
とー。

「え…」
表情を歪める俊哉ー。

勝が言うには”冷静になれ。憑依なんてありえない”とのことでー、
可能性があるとすれば、
”幸恵が”幸恵に憑依した男とグルなのではないか”という話だったー

「な、何でそんなこと言うんだよ!」
俊哉は思わず叫ぶー。

”ーいや、悪いー。でも、憑依なんて現実じゃありえないー…
 まだ、彼女さんがその電話してきたっていう男と
 グルだって方があり得るんじゃないかー?”

勝がそう言うと、
俊哉はため息をついてからー

「それを言うなら、脅されてるって可能性だってあるだろ?」
と、言葉を返すー。

憑依はされていないー。

けれどー
幸恵が謎の男に脅されて
”わたし、憑依されちゃった”と言わされている可能性は十分にあるー。

”ま、まぁなー…”
勝はそう呟くと、少し考えてから
”彼女さんの家、行って見たのか?”と、言葉を呟くー。

「ーーあ~幸恵の家はまだ行ったことなくてー
 隣の県としか知らないー」

俊哉がそう言うと、

”やっぱ、浮気じゃね?”と、
勝が困惑しながら言うー

「ち、違うし!」
俊哉は必死になって否定すると、
”まぁ…何も手がかりがなければ警察に相談するのアリかもしれないぜ?”
と、提案をしてくれたー

「そ、そうだよなー…うんーわかったー」
俊哉はため息をつきながら、そう返事をするとー
”まさかこんなことになるなんて”と、思いながら
勝にお礼の言葉を述べて、そのまま電話を切ったー

”絶対に開けちゃだめ!”

そう書かれた箱を見つめる俊哉ー。

「浮気なんて…ないよな?」
少しだけ不安になった俊哉は一人静かにそう呟くと、
静かにその箱に向かって手を伸ばしたー…

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

皆様こんにちは~!
(こんばんは~!)
少し早いですが、メリークリスマスデス~笑

今年のクリスマスは皆様はどんな風に過ごしますか~?
予定がある方も、ない方も、
憑依で他人の身体を奪っちゃおうとしている皆様も、
健やかに過ごせますように…★!

…今回は12月ということで、
クリスマスのお話を選ばせて頂きました~!★

解体新書様では初めてだったような気がしますが
今回の作品は、私が時々書いている
”秘密”系のジャンルのお話デス~!

”TSFのどれか”が起きているのですが
それ自体が物語の結末の重大なネタバレなので
最後まで読んでからのお楽しみ…★というお話ですネ~!

憑依なのか、入れ替わりなのか、女体化なのか、皮なのか、
変身なのか…
(洗脳や融合、二重人格、などがミックスされたりすることもあります~!★)
何が起きているのかを、ドキドキしながら、

物語を楽しんで下さるとうれしいデス~!