(前回のあらすじ)

 如月光雄に化けていたパープルカメレオンを倒し、桜井幸を奪還したハニィ。

 しかし、屋敷を脱出しようとする彼女たちの前に、『虎の爪』の怪人達が立ち塞がる。

 

「くそう、多勢に無勢か、数が多すぎる」

(先生、どうしたら……)

「ハニィ、君の命、俺に預けてくれるか」

(ふふっ、もうとっくに預けていますよ)

「え? あ、ああ、そうだったな。よし、決戦だ。
 幸、あなたはここでじっとしているのよ」

 幸のほうを振り向いたハニィは、幸がこくりと頷くのを見届けると、シャキンとサーベルを抜いた。

「ハニィ・・」

「心配しないで。あたしはあいつらなんかに負けやしない」

 にっこりと微笑んだハニィは、キッっと怪人たちを睨むと、その群れの中に飛び込んでいった。




「でやぁ〜〜〜」






戦え!スウィートハニィU

第9話「地上最凶の陰謀(前編)」


作:toshi9






 怪人たちの間を駆け抜けるハニィ。

 そして彼女がプラチナフルーレを左右に振るう度に、1体、また1体と怪人が倒れ伏し、
塵となっていった。

 だが怪人たちの数は一向に減る様子はない。それどころか、尚も後から後から部屋の中に入ってくる。

「はぁはぁ、はぁはぁ、全く何体いるんだ」

(先生、しっかり……はぁはぁ、はぁはぁ)

「ハニィ、どうした」

(何だか疲れて……。あたしが疲れを感じるなんて、どうしたのかしら)

「長くシンクロしているせいなのか。もう少しだ、がんばってくれよ、ハニィ。はぁはぁ」

(はい。はぁはぁ)

 サーベルを構え直したハニィは、飛び掛かってくる怪人をさらに切り倒していく。

 だが、やがてハニィは周囲をぎっしりと怪人たちにとり囲まれてしまった。

「くっ、こいつらぁ、まだ、まだだぁ」

 両手で握り締めたサーベルを振り上げるハニィ。

「何をしている。全員同時にやれ!」

 シスターの命じる声を合図に、回りをとり囲んだ怪人が一斉にハニィに飛び掛かった。

「うわっぷ」

 ハニィの腕に取り付く怪人、正面からタックルする怪人、よろめくハニィの背中に馬乗りになる怪人、頭から覆いかぶさる怪人……。

 ハニィは折り重なった十数体もの怪人によって、遂に組み敷かれてしまった。

「ハニィ!!!」

 壁際にぺたんと座り込んだ幸が、小さく叫ぶ。

「く、くそう」

「ふふふ、観念するんだな、ハニィ。
 今まで貴様には散々煮え湯を飲まされてきたが、いよいよ年貢の納め時だな。
 さあて、どう料理してくれようか、ふあっははは」

 高らかに笑う金髪の少女。
その笑い声は、愛らしい彼女の姿からは想像もできないものだった。

「何を、このスウィートハニィは簡単にやられはしない……げ、げほっ」

 怪人がさらに数体彼女の上に圧し掛かる。

「負け惜しみを。今更どうしようというのだ。
 今度こそお前のその顔を、恐怖と屈辱に歪めさせてみせる。ふふっ、ふっはははは」

 金髪の少女は勝ち誇ったように再び笑い声を上げた。

「くっ、くそう、シスター、いや井荻恭四郎。その金髪の少女は誰だ。
 お前はその少女の姿で何をしようというんだ、一体何を考えている」

「ふふふ、冥土の土産に教えてやろう。
 俺が乗り移っているこの娘は、来日中のアメリカ大統領の一人娘なのだよ。
 報道規制されているが、我々『虎の爪』が拉致したのさ。
 今頃アメリカ政府も日本政府も必死でこの娘を捜索している頃だろうな。

 だからじきにこのアジトも見つかることだろう。
 そうしたら俺はこの娘に成りすましたまま、わざと救出・保護されるのさ。

 卑劣な拉致から救出された、大統領の幼き一人娘。
 俺は世界中のヒロインになるだろうな。
 そして父親であるアメリカ大統領との感動の再会をするのさ。

 パパーって大統領に駆け寄って、そして抱き合った瞬間、俺は大統領と入れ替わる。
 そうさ、俺がその時からアメリカ大統領になるんだよ。
 世界最大の権力者にな。

 そうして『虎の爪』がアメリカを、やがてはこの世界を支配してやるのさ。はっはははは」

(恭四郎……何て恐ろしいことを)

「そんな陰謀、このスウィートハニィが打ち砕いてみせ……か、かはっ」

「ふははは。そんな様ではもうどうにもできまい。
 たとえできたところで、この娘の体の俺を倒せばお前は世界中を敵に回すことになるんだ。ふはははは」

「くっ! 卑劣な」

「さあてハニィ、お前にはいろいろ借りがあるからな。
 今から最大の屈辱を味あわせてやろう」

 シスターがパチリと指を鳴らす。

「ホワイトクラゲ、やれ!」

「ぎぃ」

 クラゲのような怪人が進み出ると、怪人たちに圧し掛かられてうつ伏せに組み敷かれた
ハニィの細い腕を、その触手でチクリと刺す。

「痛っ」

 小さな痛みと共に、ハニィの四肢は痺れて動かなくなってしまった。

 やがてうつ伏せになったハニィの全身が少しずつほてり出してきたかと思うと、股間がむずむずとしてくる。

「な、なに、この感じ、はううっ」

 股間の奥に感じるかゆみにも似たもどかしい感覚にもじもじと脚をこすり合わせようとするハニィ。だが、いくら動かそうとしても、脚を動かすことができない。

 やがて体の奥からと押し寄せる感覚は、股間の奥をどんどんと熱くしていく。

「あ、あう、いや、なにこの感じ、駄目、う、ううう」

 レオタードの下のハニィの股間からは、ハニィ自身が気づかないうちに、つつつっと雫が漏れはじめていた。

 そしてレオタードのその部分が、じわりと濡れ始める。

「う、あうう、うううう、なに、何か、ああ、ああん」

 唇をかみ締め、体の奥から湧き上がってくる奇妙な欲望をこらえるハニィ。
 その頬がみるみるピンクに染まっていく。

「ふふふ、どうだスウィートハニィ、心地良かろう。
 ホワイトクラゲの毒には、強烈な催淫効果があるのだよ」

「ううう、くそう、こんな、あん、あうん……こんなこと……どうしようって、ううっ」

 シスターは、切なげに頬を染めて呻くハニィを見てにやりと笑った。

「イエロースネイク!」 

「シュ〜シュ〜」

 シスターに呼ばれた怪人が進み出ると、その前にひざまずいた。

「イエロースネイク、さあスウィートハニィをお前の巨根で陵辱してやれ。
 そのまま引き裂いても構わんぞ」

「シェッシェッシェッ」

 イエロースネイクと呼ばれた怪人が立ち上がる。
 と、その股間のモノがみるみる大きく硬くなっていく。
 やがてそれは1mはあろうかと思える程のモノとなり、ビクンビクンと脈打っていた。

 己の大きな一物を前に突き出すように、ハニィに近寄ってくるイエロースネイク。

 醜悪である。

「ハニィ! いやあ〜」

 幸はその光景を見て、がくりと気を失ってしまった。

「スウィートハニィ、お前は生田蜜樹の姿をしていても、元は男だったな。
 さあ、俺の目の前で、このイエロースネイクに犯される屈辱を味わうがいい。
 しかもホワイトクラゲの毒が全身に回った時、お前は自分からこれを求めるようになるんだ」

「そ、そんなこと……あううぅ」

 何かを堪えるように、切なげに唇をかみ締めるハニィ。

「ふふふ、ほら、今からこいつのコレがお前の中に入ってくるんだよ。
 しかもコレは挿入された後、膣の中で膨らんで、強烈な快感をもたらしてくれるぞ。
 お前はその絶頂の中で、こいつに引き裂かれて死ぬんだ。
 ふははは、ハニィ、お前が最後の瞬間にどんなよがり声を上げてくれるのか楽しみだよ」

 ハニィに1歩1歩近づくイエロースネイク。

「や、やめ……」

 圧し掛かった怪人たちが体の上から離れても、うつ伏せに横たわった体を動かすことのできないハニィ。その戦闘服に、イエロースネイクの手がかかる。

 ビリビリビリ〜。

 ハニィの戦闘服は、イエロースネイクの鋭い爪によって一気に引き裂かれてしまった。

 爪がかすったハニィの腕や頬に血が滲む。

 そしてむき出しになってしまったハニィのお尻を、イエロースネイクは両手で掴み、ぐいっと持ち上げた。

 脈打つ巨根が、濡れたハニィの股間に触れ、ぞくりとした快感をもたらす。

「ひい、い、いやぁ〜」

「ふふふ、いいさえずり声だ。さあ、挿れてやれ」

 その声に呼応するように、イエロースネイクはハニィの股間に己のものを宛がった。

 その先端がぬるりと、そこに潜り込む。

 金髪の少女、いやシスターは、にやにやとその光景を満足そうに見詰めている。

「くううっ、こんなことって」
 
(先生、こんな、こんなことになるなんて……ごめんなさい。ぐすっ)

「あううっ、ハニィのせいじゃないさ、泣くな。
 それに例えこいつに陵辱されようが、まだ負けたと決まった訳じゃない。
 最後の最後まで諦めちゃいけない。チャンスを待つんだ。うっ、ううぅ」

 絶体絶命のハニィ。

 果たしてこのまま怪人に犯されてしまうのか……。






 だがイエロースネイクがその巨根をぐっとハニィに突き入れようとしてその時、一体の怪人が部屋に入ってくるや否や、シスターに向かって声を張り上げた。

「お待ちください!」

 その怪人、いや『虎の爪』の怪人とは思えない、凛々しい甲冑姿の金髪碧眼の若者はつかつかとシスターの前に進み出た。

「お止めください、シスター。彼女にはまだまだ利用価値があります」

「おお、ゴールドライオンか」

「はっ、ただ今ヨーロッパより帰還いたしました」

「して、お主スウィートハニィをどうしようと言うのだ」

「スウィートハニィ、この私に頂けないでしょうか。
 これを使って、彼女を『虎の爪』の従順なしもべにしてやります」

 ゴールドライオンが棘の付いた首輪のようなものを取り出す。

「ほう。よし、イエロースネイク、下がれ」

「シェシェッ」

 イエロースネイクがハニィから離れると、ゴールドライオンはその棘の付いた首輪のようなものを手に、ハニィに近寄った。

「な、何を……」

 横たわったまま呻くハニィ。

 ゴールドライオンはそのハニィの耳元でぼそぼそと呪文のような言葉を呟くと、彼女の首にその首輪をパチリとはめた。

「う、うううぅぅ」

(え?)

「うぐぅ、うあっ、ううう、あたし、あたしは……」

 何度も首を振るハニィ。
 その赤い髪が金髪に変わっていく。
 黒い瞳が青くなる。
 そう、ハニィの顔はゴールドライオンそっくりの女の子の顔に変わりはじめていた。

(先生、先生)

「・・・・・・・・・・・・・・」

 やがて無言でゆっくりと上半身を起こしたハニィ。切なげな表情を浮かべたその姿は、ハニィとは別の金髪の女性へと化していた。

 それを満足そうに見詰めるゴールドライオン。





「立て、スウィートハニィ。
 ホワイトクラゲの毒は消えている筈だ」

 ゆらりと立ち上がるハニィ。
 そしてハニィは裸のままゴールドライオンの前にひざまずいた。

「私はあなた様のしもべです。ご主人様、何なりと私にお申し付けください」

「ハニィ、お前は『虎の爪』に忠誠を誓うか」

「はい、ご主人様のお言いつけとあらば。あたしは『虎の爪』に忠誠を誓います」 

 抑揚の無い声で喋り続けるハニィ。

「ほう、なるほど、これはいい、これは。
 スウィートハニィ、ようやく我らの配下に加わるか、ふ、ふふふ、あっははは」




(続く)


                                   2004年10月29日脱稿



後書き

 さあ「戦え!スウィートハニィU」ラスト前です。
 姿を変えられ、ゴールドライオンのしもべと化してしまったハニィ。さて、ハニィの物語、どんな結末を迎えるのか。それは次のイラスト次第です。次回最終回「地上最凶の陰謀(後編)」を、どうぞお楽しみに。

 と言いながら、本当に最終回を迎えることができるのか・・
 うーん、とにかく次回をお楽しみに。そして拙作をお読み頂きました皆様、どうもありがとうございました。



おまけ

『虎の爪』組織図

                      幹部               配下
シスター − 直轄・情報担当:ブラックピジョン
                   クロウレディ(離脱)
         極東支部   :シャドウレディ        − シャドウガール
         (離脱)                         レディ・ビー
                                      ティラノレディ
                                      ランプリーレディ(死亡)
                                      レディ・アイ(死亡)
         北米支部   :イエロースネイク
         南米支部   :パンツァーレディ  (離脱)
         アジア支部  :ブルーイソギンチャク(死亡)− ホワイトクラゲ
         アフリカ支部 :パープルカメレオン (死亡)− グリーンアリジゴク(死亡)
         ヨーロッパ支部:ゴールドライオン