ゼリージュースがある日常(その5) 作:月より 私、鷲沢 萌(わしざわ もえ)。中学1年生。家族の中では一番のしっかり者です♪ いつも明るいお母さん、かっこいいお父さん、そして、私に似てかわいい妹の唯(ゆい・小学1年生)の4人家族です。今日は、どんなことが起こるのでしょうか。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ お母さん:萌ちゃん、しっかり者って誰のことなの? お父さん:萌、嘘はついちゃいけないぞ。 唯:お姉ちゃん、一番のうっかり者だったんだね♪ 萌:なに言ってるのよ。キャラクター人名辞典にも、ちゃんと書かれているでしょ。「ちょっとボケキャラ気味」って・・・えっ!? お母さん:ごめんね。ちゃんと書かれているね(笑) 唯:お姉ちゃん、どうしたの?もうすぐ、お話、始まるよ♪ 萌:・・・今回の萌の大活躍を見ればわかるんだから(涙)それでは、お楽しみくださいね♪ @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 7月4日、夜11時・・・蒸し暑さから、萌は目が覚めた。 萌:はぁー・・・ 萌は、ベッドから起き上がり、部屋の照明をつけると、しばらくの間、ぼーっとしていた。 それから自分の部屋を出ると、まわりは真っ暗ながらも台所に向かい、冷蔵庫に手をかけた。扉を開けると光が眩しく、目が慣れるまでしばらく待って扉側の棚を見た。 萌:はぁー、麦茶とかやっぱり無いよね。 鷲沢家では、冷蔵庫にはゼリージュースは唯のために常備してあるが、他の飲み物はビールぐらいしかない。萌は頭では判っていても、ついため息が出てしまった。 萌:ゼリージュースは・・・あれ、パイン味しかない。 家族は寝静まっている。萌は、冷蔵庫からゼリージュースを取り出して、少し考えた。 萌:(一人で飲めないし、でも喉が渇いて我慢できないし・・・。やっぱり唯に起きてもらおう) 萌は、唯の部屋にノックをせずにそーっと中に入り、ベッドの前で膝をついて唯の寝顔を眺めた。 萌:(私が小さい頃なんて、自分の部屋持たせて貰えなかったのに、唯がうらやましいよ) と思いながら、無意識に唯のほっぺたを指で突付いていた。 唯:お姉ちゃん!(目をカッっと見開く) 萌:うわっ!?び、びっくりしたよぉー。唯、起きてたの? 唯:えへへ♪部屋に入ったときに気がついたんだよー。あれ、何持っているの? 萌:これ?ゼリージュースだよ。暗いから電気つけるね。これパイン味だから一人で飲めないの。唯に一緒に飲んでもらおうと思って。 唯:うん、いいよぉー。 萌:じゃあ、先に飲むね♪ ・・・ごきゅ、ごきゅ・・・ 萌:うん♪つめた〜い、おいし〜い! 唯:うん♪つめた〜い、おいし〜い! 萌:真似してるんじゃないの。まだ飲んでないでしょ。はい、これ。 ・・・ごきゅ、ごきゅ・・・ 唯:やっぱりおいしいね♪ そういうと、唯はパジャマや下着を脱ぎ始めた。 萌:私も脱がなくちゃ。 唯:唯、お姉ちゃんのおでこから入るから、ベッドで寝てて。パジャマ脱がなくてもいいよ。 萌は、そのまま仰向けにベッドに寝ると、唯は馬乗りになった。ふたりの身体は徐々に色がなくなり、ゼリー状になっていた。 唯:お姉ちゃん、いっくよぉーーーー♪ 萌:えっ、なに!? 萌はすこし恐怖心を抱いたが、身動きがとれない状態。唯は、右手をグーにして萌のおでこ目掛けて、勢いよく振り下ろした。 じゅぶ、じゅぶ、ジュブジュブ〜〜・・・じゃぽん。 唯の右手こぶしが、萌のおでこから勢いよく入っていった。そして、腕、頭、胴と・・・まるで水泳の高飛び込みを連想させた。 唯:(お姉ちゃんの中を泳いでいるみたい♪それじゃあ、数えるよぉー。いーち、にぃー・・・) 萌:(唯ぃー。私、慣れてるからあの勢いで入ってこられても大丈夫だけど、他の人だったら気絶しているよ) 唯:(きゅぅー、じゅうー。ん?お姉ちゃん、何か言った?) 萌:(もういいよ、何でもないよ。ほら、唯、動いていいよ。) 唯:(お姉ちゃんが動いて♪唯はじっとしているから) 萌:(そう?それじゃ、私が動くね) 萌は、身体を起こす感じで出ようと思ったが、自分が着ていたパジャマが邪魔で出にくく、唯が入ってきたおでこから、自分が水中から浮かび上がる感覚で、頭から腕、胴、脚・・・と出てきた。 萌:(プールから出てきたみたいな感じだね) 萌の身体はすでに唯ほどの身長になっていて、ベッドから降りると、透明のゼリー状態だった身体は次第に色が付き、唯そのものになった。ベッドで横になっている唯も、萌そのものになっていた。 唯(萌):あ・え・い・う・え・お・あ・お・・・うん、唯だね♪どう、唯?ちゃんと変わってる? にこにこしながら、生まれたままの姿でポーズする唯(萌) 萌(唯):おやすみ、おねえちゃん・・・zzz はじめからパジャマ姿の萌(唯)は、照明がまぶしいのか夏布団を頭までかぶり寝てしまった。 唯(萌):・・・おやすみ、唯。(私に、パジャマ脱がなくていいって言ったのは、こういう事だったのね。しっかりしてるね) 唯(萌)は、唯が着ていた下着・パジャマを抱え、電気を消し、そーっと部屋から出た。自分の部屋に戻ると、パジャマを着てベッドに横になった。 === 翌朝 === 唯(萌):んー、出ないよぉー。 唯(萌)は、トイレから出てきて慌てているようだった。 お母さん:夜中にゼリージュース飲むからよ。 唯(萌):そんなこと言ったって、のど乾いてたんだもん。冷蔵庫に麦茶とか無いんだから仕方ないでしょ。 お母さん:萌ちゃん、この前スーパー一緒に行ったとき、「ゼリージュースあるから、他のジュースとかいらないから」なんて言ってたのは、どこの誰かなぁー?? お父さん:萌、ちゃんと学校いくんだぞ。それじゃお母さん、あとの事は頼んだぞ。今日は、遅くならないと思うから。 お母さん;いってらっしゃーい♪ 唯(萌):パパ、いってらっしゃあーい♪ 萌(唯):唯、そんな言い方しないもん。いってらっしゃい、お父さん♪ お父さんは、ニコリとして仕事に出かけた。 お母さん:あら、唯ちゃんも起きたのね。早く元に戻って、着替えてらっしゃい。 唯(萌);そうだ唯、私の代わりに中学校行ってくれない? お母さん:なにバカなこと言ってるの。お姉ちゃんはほっといていいからね。 萌(唯):はぁーい。 唯(萌):みんな、冷たいよぉー(涙)そうだ、下剤飲めば・・・。 お母さん:萌ちゃん、学校でも習ったでしょ。下剤なんて飲んだら、副作用を起こしてどうなるか判らないでしょ。 唯(萌):はぅ。今日は学校休む。それしかない!うん♪ お母さん:お母さんが許しませんからね(怒)今日は、そのまま学校に行きなさい。 唯(萌);えーーー!嫌だよぉー。 唯:あれ、お姉ちゃん。まだ唯になってるの?もうすぐ、学校だよ。 唯(萌):唯はいいなぁー、いつでも元に戻れて。それにしても、唯の身体になっているんだから、思い通りに出てもおかしくないのになぁー。 と呟くと、隣でお母さんがキッと睨んでいる。 唯(萌):(きゃー、お母さん、こわいよぉー) お母さん:とりあえず、二人とも朝ごはん食べなさい。お母さんは、学校に「唯の姿で学校に行くことになりますので」って、連絡しておくからね。 唯(萌):ちょっと待ってよ。ごはんいっぱい食べたら、出るかもしれないでしょ。 お母さん:仕方ないわね。お友達が迎えに来たら電話かけるわよ。 しかし、おなかいっぱいになっただけで、結局出なかった。 お母さん:もうお友達、迎えに来るわよ。学校に電話かけるからね。 唯(萌):わかったよぉー(涙) お母さん:これ、押入れから出しておいたから、教科書とか移しなさい。 お母さんは、萌が半年前まで使っていたランドセルを出してきた。 唯(萌):そんな、恥ずかしいよ。中学校にランドセルで行くなんて。 お母さん:なに言ってるの。つい半年前まで使ってたでしょ。唯の身体で、教科書の入ったカバン持てないでしょ。 唯:わぁー、ほんと重たいね。お姉ちゃん。 横で見ていた唯が、教科書の入ったカバンを持ってみた。それを、唯(萌)が見て 唯(萌):大丈夫だよ。これぐらい・・・お、重い。 背が低いので、胸の辺りまで持ち上げないと、カバンを引きずるような感じになってしまう。 お母さん:ほら、言ったとおりでしょ。早くランドセルに教科書移しなさい。 唯(萌)は、渋々、教科書をランドセルに移していると、お母さんは、黄色いハット帽を頭にかぶし、給食袋のようなものをランドセルの横に取り付けた。 唯:お姉ちゃん、似合ってるよ♪ お母さん:今日は日差しがきついからね。唯の身体だと熱射病にも気をつけないとね。 唯(萌):帽子はいいとして、この袋は何なの? ピンポーン。 お母さん:ほら、お友達迎えに来たわよ。この袋は学校で開けなさい。必要なものだから。 唯(萌):ふーん。わかったよ。それじゃ、行ってくるね。 唯:お姉ちゃん、行ってらっしゃい♪ 唯(萌)は、玄関で唯の靴を履き外に出ると、友達が待っていた。 友達:唯ちゃん、おっはよー♪あれ、お姉ちゃんは?あっ、お母さん、おはようございます。萌は、まだ学校行く準備できてないですか? お母さん:夜中にのどが乾いてゼリージュース飲んだ萌ちゃーん、早くしなさいよぉー♪(わざとらしく家の中を向いて、少し笑いながら叫んでいる) 唯(萌):もう、いじわるしないでよぉー(ほっぺを膨らまし、腕を組んですねてみた) 友達:も、もしかして、萌!? お母さん:今日は、この子をよろしくお願いしますね♪ 友達:ふふふ・・・わかりました。私たちが責任を持って、お預かりしますね♪ そういうと二人は、思わず笑いを込み上げていた。 唯(萌):さ、もう行くからね! 唯(萌)は、友達の手を掴むと、友達は引っ張られていった。 唯(萌)と友達が、中学校の正門まで来ると、場違いなランドセル姿の唯(萌)は、登校している生徒の注目を集めていた。その子が、ニュータイプの「鷲沢唯」だったことも理由のひとつなのかも知れない。ニュータイプの誕生が確認されてから約10年。日本では、約300人誕生している。 唯(萌):みんな、こっち見てるよ。恥ずかしいよぉー。 友達:良かったじゃない。萌、注目の的だよ♪ 唯(萌):なに言ってるのよ。とりあえず、私、職員室行くね。お母さん、電話しているみたいだし。 友達:私もついていってあげる。その姿で一人だと、途中で人垣が出来ちゃうよ。 唯(萌)は、友達と職員室の前までやってきた。 友達;それじゃ、教室で待ってるからね。 唯(萌):うん、ありがとうね。あと、クラスのみんなには、まだ何も言わないでね。 コンコン、がらがらがら〜 唯(萌):失礼しまーす。あのー、鷲沢でーす。 職員室内に、普段ありえない幼い女の子の声が広がった。先生らは、ある場所に集まって、なにやら話し合っているようだった。その中から、担任がこちらに向かってきた。 担任:鷲沢さんですね?どこから見ても、ぴかぴかの小学1年生ですよ(笑) 唯(萌):先生、ごめんなさい。夜中にゼリージュース飲んで、朝、どうしても出なくて・・・。 担任:お母さんから連絡はもらいましたよ。とりあえず1時間目の授業が始まる前に、クラスのみんなに事情を説明しておきましょう。 唯(萌):はい。 そういうと担任と共に職員室を出て、教室に向かった。唯(萌)は、担任の手を握ると、少し心が安らぐ感じがして、廊下にいる生徒の声や視線が気にならなくなった。 唯(萌):・・・お母さん。 担任:ど、どうしたの?鷲沢さん。私まだ独身ですよ(汗) 唯(萌):ご、ごめんなさい。なに言ってるんだろう私。思わず口に出ちゃって・・・。 担任:妹さんになった影響かも知れませんね。私も小さい頃、駄菓子屋さんでお店のおばちゃんに思わず「お母さん、これちょうだい」なんて言ったことあるのよ(笑) 唯(萌):こんな姿で、クラスのみんなに笑われるだろうなぁー。 担任:まあ、笑いはしないと思うけど、注目の的になるのは仕方ないわね。 教室に近づくに連れて、唯(萌)の頭の中ではいろんな事を考え、手は少し汗ばんできた。1時間目が始まる5分前。教室の前の廊下では、数名のクラスメイトが雑談している。 担任:鷲沢さん、そんなに考えこむ事ないからね。 唯(萌)は、コクンとうなずいた。 担任:はい、みんなー。ちょっと悪いけど教室に戻って、席についてくれる? 少し大きい声で伝えると、クラスメイトは、ワイワイ言いながら教室に戻り席に着いた。同時に担任と唯(萌)は、教壇の前に着いた。 担任:席に着きましたか?えーっと、この子は知っている人も多いと思いますが「鷲沢唯」さんです。ただし「鷲沢萌」さんがパインのゼリージュースを飲んで変身しています。今朝、鷲沢さんのお母さんから連絡が入り、家の事情で夜中にゼリージュースを飲み、学校に来るまでに元に戻ることが出来なかったため、この姿で登校することとなりました。 クラスメイトは、萌の妹、唯が「ニュータイプ」で、ゼリージュースを定期的に摂取しないと生きていけないことは知っている。家の事情とは、当然「妹のこと」だと思った。 担任:今日、鷲沢さんはこの姿で勉強することになりますが、変な目で見たりしないで、いつもと同じように接してあげてくださいね。あと、鷲沢さんの場合は仕方がないですが、 「夜中にゼリージュースを飲んで、元に戻れなくて学校に行けない」なんて事ないよう、中学生になって半年、自覚を持って、そして節度をもってゼリージュースを飲んでくださいね。 担任はクラスメイトに話し終えると、顔だけ下に向き、見上げていた唯(萌)にウインクをした。唯(萌)は、目がうるうるして今にも泣き出しそうだった。 唯(萌):(先生、ありがとう・・・) クラスメイトがうなずいている中、事情を知っている友達は、一人、笑いをこらえていた。 キーン、コーン、カーン・・・ 担任:では、もうすぐ1時間目が始まりますので、そのまま席に着いていてください。鷲沢さんも、自分の席に着いてくださいね。 唯(萌):はい♪(涙を拭いて、ニコリと笑う) 唯(萌)の、初めての第一声に、 クラスメイト(女)「かわいいーーーーーーー♪」 クラスメイト(女)「こっち、向いてーーーー♪」 クラスメイト(男)「鷲沢、萌えーーーーーー!」 クラスメイト(男)「いや、名前そのままだから(笑)」 クラスメイト(全員):爆笑♪ 担任が、教室から出て行き、唯(萌)は、自分の席に着くと、ランドセルから教科書を出しているとき、友達が隣の席から話しかけてきた。 友達:よかったね!一躍、人気者じゃない♪ 唯(萌):先生が話しているとき、一人、笑ってたでしょ(怒) 友達:笑ってないよ。みんなが静かに聴いている中、笑いこらえるの必死だったんだから。それより、その「給食袋」みたいのは、何が入ってるの? 唯(萌):何が入っているんだろう。私も知らないの。お母さんが必要なものだからって、ランドセルにぶら下げたんだけど。 袋を開けると、中から唯が使っている小学校の水着とバスタオルが入っていた。 友達:よかったね、萌。4時間目の水泳、出来るじゃない。 唯(萌):ほんと今日は蒸し暑いし、水泳得意だから嬉しい♪ がらがらがら〜(教室の扉が開く) 先生:おはようございます。授業を始める前に今日は欠席者は・・・松井さんですか。鷲沢さんのことは、職員室で聞いておりますので心配しないで下さい。それでは、教科書の76ページを開いてください。 先生はいつものように黒板に書き込んでいく。 唯(萌):せ、せんせーい(小さな手を挙げる) 先生:鷲沢さん、どうかしましたか? 唯(萌):黒板が見えないのと、机が高くて、文字が書けません・・・ごめんなさい。 先生:あ、言い忘れてましたね。まもなく、背丈にあった机と椅子が届くはずなんですが・・・とりあえず、前の席が空いてるので、こちらに来てください。 唯(萌)は、教科書などを持って、休んでいる松井さんの席に移り、黒板は見えるようになった。それから5分後。 がらがらがら〜(教室の扉が開く) 鈴木先生:みんなー、元気にがんばっとるか! クラスメイト:うそぉーーー! 鈴木先生!? 鈴木先生が小さい机を、その後ろから担任が小さい椅子を運んできた。鈴木先生は、小学校で萌が5・6年生の時、担任の先生だった。 唯(萌):先生、もしかして小学校から運んできたのですか。 鈴木先生:そうだぞ。中学校から電話があってな、鷲沢が困ってるというから、車で急いで持ってきたんだぞ。 唯(萌):授業はどうしたんですか?たしか、今、唯のクラスの担任でしょ? 鈴木先生:まあ1年生だし、教頭がひまだから代わってもらった。久しぶりに、みんなの元気な顔も見たかったしな(笑)みんな、ちゃんと勉強しとるか?特に鷲沢は、しっかりしてそうで、どこか抜けてたからな(笑) クラスメイト:(爆笑) 担任:鈴木先生、そろそろ・・・。応接室で校長が待っておりますので。 鈴木先生:あまり授業の邪魔しては悪いので、ここらで失礼するわ。鷲沢、妹に何か伝えることあったら、伝えておくぞ。 唯(萌):何もないですよ。もう小学校に戻ってください(涙) 鈴木先生:はっははは。それじゃ、みんな頑張るんだぞ! 鈴木先生と担任は、机と椅子を前列に置くと教室から出て行った。唯(萌)は、小さな椅子に座るとホッとしたのか、ため息がでていた。 === 4時間目 === 友達:似合ってるじゃない。萌。その水泳帽、懐かしいよ♪ 唯(萌):もう恥ずかしさなんてないよ!はやく、プールに入りたいね♪ 先生:準備運動が終わった人から、各自、プールに入ってください。 友達:萌、ビート板、いらないの? 唯(萌):ばかにしてるでしょ。唯の身体でも泳ぐの速いわよ! みんな、プールサイドで足からゆっくりとプールに入っていく。 唯(萌):ん、ん?うぶぶぶぶうぶぅーーーー!? 友達が、沈んでいる唯(萌)を持ち上げる。 友達:萌、大丈夫!? 唯(萌):ごぼっ、ごぼっ・・・・。あし、足が着かないよ。水、飲んじゃった(涙) 先生:どうしたの、大丈夫ですか? 友達:萌、いえ、鷲沢さんが足がつかなくて、溺れかけたんです(笑) 唯(萌):もう、大丈夫です♪ほらほら、平泳ぎでも、背泳ぎだって出来ますよぉー。 先生:はいはい、鷲沢さんが水泳得意なのはわかりました(笑)そういえば、先ほど鷲沢さんのお母さんが学校に来られて、元の姿に戻ったら困るだろうからって荷物預りましたよ。鷲沢さんの席に置いておきましたので、あとで確認してくださいね。 唯(萌):ありがとうございます♪(よかったぁー。ちょっと心配してたけど) 先生:それでは今日は平泳ぎ25mのタイムを計りますので、20分ほど各自練習してください。20分経ったら、名前を呼んでいきますのでスタート位置に着いてくださいね。 === 40分後 === 唯(萌):はぁ、はぁ、た、タイムは? 友達:42秒6ね。 唯(萌):そんなぁー、いつもより10秒遅いよ(涙) 友達:唯ちゃんの身体だから仕方ないよ。でも、すごく速く感じたよ。 先生:鷲沢さんで、最後ですね。それでは、残りの時間は自由時間にします。あまりはしゃぎ過ぎないようにね! 唯(萌):はぁー、なんだか疲れたし、お腹の調子がおかしいかなぁー。 友達:大丈夫? 唯(萌):うん、大丈夫。朝、トイレ出ないから、元に戻ろうと思って御飯いっぱい食べたからね。 友達:それならいいのだけど。 ところが、水泳の授業が終わり着替えている最中に、唯(萌)の身体に異変が現れた。 友達:萌、大丈夫!? 唯(萌):えへへ・・・おなか、くるしいよぉー。のどが渇いてプールの水、たくさん飲んだからかも(苦笑) 友達:こんな時にボケなくていいから。ほら、水着のままでいいからトイレ行こ。 唯(萌):うん。 唯(萌)は、友達に連れられトイレに入ると、友達に水着を脱がされた。 友達:萌、か〜わいい。 そう言いながら、友達は裸になった唯(萌)の体をぺたぺたと触りまくった。 唯(萌):や、やめてよ〜 友達:ごめんごめん、かわいくって、つい・・・ね。それじゃ私、教室に戻って、着替えとタオル取ってくるからね。たしかお母さんが着替えもって来てくれたのよね。 唯(萌):うん。ごめんね。 友達がトイレから出て行くと、唯(萌)は、ほっとした顔で用を足した。するとすぐにトイレが出て萌の姿に戻った。 萌:ふぅー、すっきりした。朝ごはん、いっぱい食べるんじゃなかったよ。 友達:萌、大丈夫? あら、トイレは出たみたいだね。 萌:うん、もう大丈夫よ。心配かけてごめんね。 友達:はい、これタオルね。あと着替えなんだけど。 萌:あれ、これ唯の服じゃない。 友達:萌のお母さんが持ってきた袋の中に、これが入っていたのよ。やっぱり、萌のお母さんだね♪ 萌:えっ・・・もう、お母さんったら。 萌は思わず、おでこを手で押さえた。お母さんが持ってきてくれた袋の中身は、紫色のゼリージュースと唯の写真だった。 次の日の朝、朝刊の地元情報欄には「中学校と小学校が見事な連携プレイ」という見出しで、小学校と中学校の校長と担任が4人で手を取りあって笑顔で写っていた。 (おわり) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 記事の内容は「4日未明、○○町在住の鷲沢さんの次女の唯ちゃん(7)が、ゼリージュース(JJ)を欲しがり、長女の萌さん(13)が、唯ちゃんと黄色JJを溜飲。唯ちゃんは2日に1度はJJを摂取しなければならないニュータイプ。翌朝、唯ちゃんは自分の意思で元の姿に戻りましたが、萌さんが元の姿に戻ることが出来ず、母親が中学校に連絡。連絡を受けた中学校側は、唯ちゃんが通学している小学校にすぐさま連絡を取り、唯ちゃんが使用している同サイズの机と椅子を鈴木先生が車で中学校まで運び、1時間目の授業に間に合わせた。現在、唯ちゃんの担任で、萌さんが小学生の時に担任だった鈴木先生は・・・」 と事細かに書かれていた。 萌:新聞にも載っているなんて。夜中に喉が渇いてジュース飲んだだけなのに(涙) 友達:しっかり学校の宣伝に利用されているわね(笑) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ |