ゼリージュースがある日常(その4) 作:月より 私は、鷲沢 萌(わしざわ もえ)。中学1年生。お父さんとお母さん、そして妹の唯(ゆい・小学1年生)の4人家族。 今から私がお話するのは、私たち家族の中で起きたある出来事についてです。 お母さん:あっ、お米切らしてるの忘れてたわ。萌ちゃんは、まだ帰ってきそうにないし、どうしましょう。 唯:どうしたのー?お母さん。 外は雲一つない、いいお天気。午後3時30分。 お母さんは、晩御飯の準備をしています。唯は、お母さんの声が気になって、台所にきました。 お母さん:さっき買い物に出かけたとき、何か買い忘れてるような気がしていたのだけど、お米買うの忘れちゃったの。お母さんが買いに行けたらいいのだけど、今、揚げ物しているし・・・唯ちゃん、おつかい頼んでいい? 唯:うん♪ 唯がおつかいに行くよー。 お母さん:唯ちゃん、本当に助かるわ♪ でも、ひとりで重たくて持てないと思うから、お姉ちゃんになってから行きなさい。 唯:でもお姉ちゃんいないよ? お母さん:この前、唯ちゃんがお姉ちゃんになった時、写真にしたものがそこの引き出しに入っているから。そうそう、その引き出しの奥。その写真を見ながらこれを飲みなさい。 そう話すと、お母さんは紫色のゼリージュースを手渡した。その写真には、Vサインして無邪気に喜んでいる萌(唯)の生まれたままの姿が映っていた。唯は、写真とゼリージュースを手にお姉ちゃんの部屋へ向かった。 お母さん:ジュース飲む前に、服、脱がなきゃ駄目よ! 唯:うん♪ 唯は、お姉ちゃんの部屋に入ると、服をすべて脱ぎ捨て、ゼリージュースを飲んだ。 ゴキュ!ゴキュ! 唯;冷たくておいしい♪ 唯は、飲み終えるとペットボトルを勉強机に置き、そこに写真を立てかけ、じーっと見つめていた。 唯:うーん、まだかなー・・・あっ、そうだ♪ 唯の頭上に、電球がぴかっと光った♪ 唯は慌てて、タンスからお姉ちゃんの服を取り出すと頭からかぶり、そしてスカートを履いた。服はブカブカでスカートもブカブカだった。 スカートはずり落ちないように手で押さえ、再び写真をじーっと見つめた。 すると間もなくして、唯の身体に変化がおとずれた。 唯の身体がみるみる成長しはじめると、それまでブカブカだった服に身体の方から合わさっていき、スカートも手で押さえる必要がなくなった。 そして身体の変化がおさまると、唯は写真と瓜二つの女の子、服を着たお姉ちゃんになっていた。 萌(唯):唯、えらいでしょ♪ と、写真と同じようにVサイン。ニコニコして部屋を出た。 萌(唯):お母さん、唯、お姉ちゃんになったよ。それじゃ、行ってくるね♪ お母さん:唯、ちょっと待って。ここに書いてあるお米、買ってきてね。それとお財布ね。落とさないように気をつけてね。 メモには「TS産トシヒカリ 5K」と書かれていた。 萌(唯):うん、わかった。行ってきまーす♪ 鷲沢家から、お米を買うスーパーまで、徒歩5分。萌(唯)は、スキップしながら向かっていた。 おばちゃん:あら、萌ちゃん。どこかお出かけかい?今日はすごく元気だねぇー。 萌(唯):うん!唯、いつも元気だよ♪ おばちゃん:あら、唯ちゃんだったのかい!?今日はどうしたの?お姉ちゃんになったりして。 萌(唯):お母さんにおつかい頼まれたの。お米重たいから、お姉ちゃんになってきたの。 おばちゃん:唯ちゃん、偉いわねぇー。それにひきかえ、うちの息子ときたら・・・。 おばちゃん:・・・(10分経過)・・・。 萌(唯):そろそろ行かなくちゃ。お母さんが待ってるから。 おばちゃん:あらあら、ごめんね。車とかには気をつけるのよ。 萌(唯):うん♪ 萌(唯)は、後ろ向きに手を振りながら走り、再びスーパーに向かった。 おばちゃん:・・・気のせいよね。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ === その頃、萌が通う中学校。萌のクラスは6時限目「現代史」の時間 === 先生:・・・はい、そこまで。その続きを鷲沢さん、お願いします。 萌:はい。( はぁー、あてられちゃったよぉー ) 先生:ん?何か言いましたか。 萌:い、いえ(汗)はい、読みまーす! 友達:(萌、授業中でも面白いよぉー) 萌:1.ゼリージュース、1)ゼリージュースの歴史 ゼリージュースは、2002年、某大手食品メーカーの研究員・小野俊行氏(※1)と高原ビューティーサロン・柳沢由紀氏(※2)が共同開発を行い完成させた、ゼリー状の飲料水で・・・ (まだ、2ページぐらいあるよー。読めない漢字でないか心配だよぉー) 2)ゼリージュースの問題点 ゼリージュースがあまり世間に知られていない当初は、これを使った犯罪が多発し国際的にも問題となりました。この問題は国会や国連で大きく取り上げられ、開発者小野俊行氏を含め全世界の見識者と検討を重ねた結果、20xx年「国際ゼリージュース法」(※3)が制定され、ゼリージュースは全世界の人々にその存在および効能を知られるようになり・・・ (のど渇いてきちゃったよ。帰ったらゼリージュース飲もっ) 3)ゼリージュースの利点 「国際ゼリージュース法」により、すべての人類は、一度、黒色ゼリージュース(コーラ味)により皮とゼリーになった状態で、それぞれに同色のマイクロチップ(1μm)を任意の場所に埋め込むことになりました。マイクロチップの情報は、各国に設立された「国際ゼリージュース専門機関(※4)」により一括管理され、マイクロチップの発信情報記録からあらゆる犯罪は著しく減少し、地球上であれば、行方不明者は皆無となり・・・ (もうちょっとで授業終わりだね。これって、テストに出るのかな?) 4)ゼリージュースの今日 今日では、特殊なゼリージュース(※5)以外は、どこでも誰にでも気軽に手に入る飲料として親しまれるようになりました。また、最近では0.003%の割合で、ゼリージュースに対する特異体質を持つ人間(ニュータイプ)(※6)の誕生が確認され・・・ (ニュータイプって、どんな人なのだろう。会ってみたいなぁー) 先生:はい、そこまで。 萌:お、終わったよー。 先生:鷲沢さん、最後のところ「今日(きょう)」ではなく「今日(こんにち)」なので、気をつけてくださいね。 萌:・・・はい。(私、シリーズの回数追うごとに、ボケキャラになっていくよー、この作者、いつか復習してやるからっ!) 友達:(萌、そこは「復習」じゃなく「復讐」だよっ♪) 萌:(く、くやしいーー(涙)) 先生:ここのところはテストで出ますので、しっかり「復習」してください。ところで最後に「ニュータイプ」のことが書かれていますが、鷲沢さん、身近にだれか知っている方、いますか? 萌:いえ、ぜんぜん知りませんけど? クラスメイト:「「「「「えーーーーーーーー!?」」」」」 クラスメイトの半数以上が驚きの声をあげた。 萌:え、どうしたの!?みんな、そんなに驚いて?? 友達:萌、ほんとに知らないの? 萌:知らないよ?(不思議そうな顔をする) 先生:鷲沢さん、本当に知らないのですか?ここの市民の方なら、かなりの人が知っていますよ。6年前、地元の新聞にも大きく掲載されましたし。思い当たりませんか? 萌:うーーーーーん。わからないです。 友達はおでこに手をやり、ため息をつき、あきれた顔をしている。 先生:では、○○さん、どなたか分かりますか? ○○:はい。えっと、鷲沢 唯さんです。 先生:そうです、鷲沢 唯さんです。鷲沢さん、あなたの妹さんですよ。 萌:・・・えっ、えええーーーーーーーーー!!!(そういえば、なんかおかしいと思っていたけど) 友達:萌、いつも「唯は特別だから」って話しているから、当然、知っているものだと思ってたよ。 萌:お父さんもお母さんもそんなこと教えてくれなかったよ。 先生:教科書の「※6」を読むと「ニュータイプ」の方は、確認されている主な事として、ゼリージュースの成分が体内にある場合、自分の意思でいつでも排泄ができ、ゼリージュースの効力を解除することが出来る反面、2日に1度はゼリージュースを摂取しないと体調に異常をきたすそうです。 鷲沢さんのご両親は、妹の唯さんを特別扱いにしないよう、萌さんには教えてなかったのかもしれませんね。 キーン、コーン、カーン・・・・ 先生:それでは、授業をおわります。日直の方、黒板消しておいてくださいね。 授業が終わったあと、萌は友達5・6人に取り囲まれ、唯の話題でなかなか帰れなかった。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ === 帰宅途中 === 友達:今日の現代史、いろんな事があって大変だったね。 萌:まさか、授業で唯の名前が出てくるなんて思わなかったよー。 友達:そうよね。家族の名前が授業中に出るなんて、普通ありえないもんね。ん?噂をすれば、あれ、たぶん唯ちゃんじゃない?スキップしながらこっちに向かってきているけど。 萌(唯):あっ、お姉ちゃん♪ 萌(唯)は、お姉ちゃんに気がついて駆け寄ってくる。 パタパタバタバタ・・・ボテッ(足が絡まって、コケる) 萌:唯なの?大丈夫?痛くなかった? 萌(唯):お姉ちゃん♪♪ 友達:あらあら、抱きしめちゃって。こうしてみると双子みたいね。 萌(唯):お姉ちゃんのおともだち? 萌:そうだよ。 萌(唯):えっと・・・いつも萌がお世話になっております(ペコッ) 友達:いえいえ、こちらこそ♪唯ちゃんはえらいね! 萌:こらこら、どこでそんな言葉おぼえてきてるのよ(汗)ところで唯、どうしたの。私になったりして。どこ行くつもりだったの? 萌(唯):お母さんのおつかい。スーパーにお米買いにいくんだよ♪お米重いから、お姉ちゃんになって行きなさいって。 萌:そうなんだ。そうだ、私が買ってきてあげるよ。どうせこのまま帰るだけだし。 萌(唯):唯が行くのー。唯がお母さんにおつかい頼まれたのー。 友達:そうだよね。唯ちゃんがお母さんに頼まれたのだからね。お姉ちゃんに頼んだら、お米じゃなくてお菓子買ってくるかも知れないしね♪ 萌:そんなことしないよ。おつりでお菓子買おうだなんて思ってないよ。 友達:(萌ったら、ほんとに思っていたりして(笑)) 萌(唯):もう行くよぉー。お母さんにおこられちゃう。 萌:唯、さっきみたいにバランス崩してコケるから、走っちゃだめよ。 萌(唯):うん。それじゃあね♪ 友達:おつかい、がんばってね! 萌(唯)は、手をふりながら再びスーパーに向かった。 萌:大丈夫かなぁー。 友達:大丈夫だよ。唯ちゃん、しっかりしてそうだし。 萌:そうかなぁー。走っちゃ駄目って言ってるのに、またスキップしているし。それに恥ずかしいよ。私、スキップしてるんだよ。友達に見られたらと思うと・・・。 友達:いいじゃない。萌、いつもあんな感じだよ。だれも不思議に思わないよ(笑) 萌:それ、どういう意味ぃー!? 萌は、小走りに逃げていく友達に片手を上げながら追いかけて行った。 萌:ただいまー。 お母さん:唯ちゃん、おかえり♪お米、買って来れた?あら、萌ちゃんじゃない。 萌:唯だったら、帰る途中で会ったよ。 お母さん:そう、それだったらいいのだけど少し遅いから心配で。 萌:友達と一緒にちょっと話していたから。多分、あと15分ぐらいで帰ってくるんじゃないかな。あっ、そうそう話は変わるんだけど、お母さん、今日学校で現代史の時間で「ゼリージュース」について勉強したんだけど・・・。 お母さん:あら、そうなの。もしかして唯ちゃんのこと。 萌:うん。 お母さん:いつかは話さなくちゃと思っていたのだけど、仕方ないわね。学校で教えてもらったと思うけど、唯の身体はゼリージュースがなければ生きていけないの。そう、たとえ病気のときやゼリージュースを飲みたくなくても、飲まなきゃならないのよ。とても辛いことだと思う。それを家族はもちろん、まわりの人にも理解してもらってサポートしていかなくちゃならないの。 萌:うん。 お母さん:唯には、もう少し大きくなってからそのことは伝えようと思っているの。それまでは、萌ちゃん、唯がゼリージュースを欲しがっていたら、一緒に付き合ってあげてね。お母さんも、唯になるべく自然にゼリージュースを飲ませようと工夫しているんだけど。 萌:うん。わかったよ。 お母さん:はい、これでこの話はおわり。それじゃ萌ちゃん、お風呂沸かしてくれない?水は張ってあるから、湯沸しのボタン押すだけでいいからね。 萌:お風呂、沸かすのね。わかったわ。 萌はそういうとバスルームに向かい、湯沸しのボタンを押してから、自分の部屋に入っていった。 萌:もう唯ったら、服、脱ぎっぱなしだよ。 部屋は、唯の服や下着が脱ぎっぱなしで、洋服ダンスは開けっ放し。机の上には、紫色のゼリージュースが半分残っていた。 萌:唯、ここで飲んでから行ったのね。それにしてもこの写真、いつ撮ったのよ。裸でピースなんかしててすごく恥ずかしいじゃない。 ゴキュ、ゴキュ! 萌はちょっぴり怒りながら、残っていたゼリージュースを飲み干し、着ていた制服を脱ぎ、タンスから洋服を取り出し着替えた。そして、写真をジーっと見ていた。 萌:ん、変わったみたいね。髪が整ったし、ちょっと短くなったかな? 萌は部屋を出て、唯が着ていた服や下着を手に取ると洗濯かごに入れ、台所に向かった。 萌:お母さん、この写真、いつ撮ったの?すごく恥ずかしいよぉー。 お母さん:ははは。いいじゃない、減るもんじゃないし(引き出しにしまう) ガチャ。 萌(唯):ただいまー♪ 萌:おかえり、唯。 お母さん:お帰り、唯ちゃん。ちゃんとお米買えたかな? 萌(唯):買えたよ。これでしょ。 お母さん:そうそう、これよ。唯ちゃん、ありがとうね! 萌(唯):わーいい♪お姉ちゃん、お姉ちゃん、唯、ほめられたよー。 萌:えらいね。私、間違えてお菓子買ってくるかと思ってたよ。 萌(唯):お姉ちゃんじゃないんだから、そんなことしないよぉー。 お母さん:萌ちゃんが小さい頃におつかい頼んだときは、いつもお釣りでお菓子買ってきてたのを思い出すわね(笑) 萌:私、そんなことしてないよ(怒) お母さん:今日はお父さん、早く帰って来るそうだから、萌ちゃんが小さい頃の事聞いてみたら?それより、晩御飯はお父さんが帰ってきてからにするから、先にお風呂に入ってらっしゃい。そろそろお風呂、沸く頃だと思うから。 萌:じゃあ、唯、一緒にお風呂は入ろうか。 萌(唯):うん♪ 萌:唯、身体はどうするの?私の身体のままでお風呂は入る?それとも、唯に戻ってから入る? 萌(唯):お姉ちゃんのまま、お風呂入りたい♪ 萌:そう?それじゃ、着替えは私のを二人分用意するね。 萌は自分の部屋に戻り、二人分の着替えを手に取りバスルームに向かうと、唯が服を脱いでいるところだった。 萌:ゆ、唯ぃ!?それって、もしかして・・・・・ 萌(唯):どうしたの?お姉ちゃん。はやく、お風呂入ろうよー。 萌は唯の姿を見て、なぜか放心状態になっていた。 ====== 晩御飯 ====== お父さん:久しぶりに家族揃っての晩御飯は旨いな。この天ぷら、旨くていくらでも食べれるな。 お母さん:まだまだあるからね。萌ちゃんも唯ちゃんも、しっかり食べるのよ。 萌:ほんと美味しいね!ごはんも炊きたてで、ほっかほかだよぉー。 萌(唯):今日、唯がね、おつかいでお米買ってきたんだよ。お父さん♪ お父さん:そうか、偉いな、唯は。そういえば、萌が小さい頃、間違えてお菓子買ってきたこともあったなぁー(笑) 萌:うぐっぅ・・・(自分の胸を叩く) お母さん:大丈夫!?ほら、お茶飲みなさい。 萌:うぐぅ、んぐ・・・、んっはあぁー、のど詰まらせて死ぬかと思ったよ。 お父さん:萌、いくら旨いからって、ゆっくり食べなきゃ駄目だぞ。 萌:いや、そうじゃなくって、ほんとなの?私が小さい頃、お米と間違えてお菓子買って来たって。 お父さん:萌、覚えてないのか?あの時もお米重いからって、お母さんになってから、おつかい行ってもらったんだったなぁー。 お母さん:そうそう。あの当時、スーパーがなくて商店街にあった○○米酒店におつかいに行ってもらったのよ。 お父さん:20分ぐらいして萌がおつかいから帰ってきたら、お米じゃなくお菓子の段ボール箱1ケース抱えてたんだぞ。 萌:そうなんだ・・・、ごめんね。 お母さん:でもね、萌ちゃんが額に汗をかいて「お母さん、お菓子買ってきたよぉー♪」って、笑顔で言われたら、なんだかとても嬉しくなっちゃってね。思わず、抱きしめちゃったのを覚えているわ。 萌(唯):お姉ちゃん、やっぱりおつかいでお菓子買って来てたんだね♪ 萌:唯、そんなこと言っていいの?今日私になっておつかいはいいんだけど、服だけ着て下着付けてなかったのは、どこの誰なのよ。 お母さん:萌ちゃん、それほんとなの? 萌:さっきお風呂に入る前、唯が服を脱いだら、下着なにもつけてなかったんだよ。唯と学校の帰りに会ったとき、スキップしたり、こけたりしてたし、それにスーパーの食料品売場って地下1階でしょ。エスカレーターのとき下から丸見えだよぉー。絶対誰かに見られてる。もう、はずかしいよぉー(泣) お父さん:終わったこといってもしようがないじゃないか。唯、これからは気をつけるんだぞ。 萌(唯):うん、気をつけるよ。お父さん♪ お母さん:まぁ、見られても減るもんじゃないしね。 萌:もうお母さんったら、いつもそうなんだから(怒) お父さん:萌も唯と同じ年頃に、同じような事しているんだから、いつまでもぶつぶつ言ってたら駄目だぞ。 お母さん:そうそう、萌も小さい頃、同じようなことしてたわね。やっぱり歳は離れていても姉妹ね・・・ふふふ。 萌:えっ、なに、お母さん。その含み笑い。私、小さい頃、下着付けずに外に出かけたの? お父さん:萌は、ほんと覚えてないんだな。 お母さん:話せば少し長くなるけど、その昔、商店街でもらった福引券3枚あってね、萌ちゃんに「明日、商店街で福引してるから、引いてきてくれる?もらった金券は、萌ちゃんが好きなもの買ってきたらいいから」と言ったのよ。そしたら大喜びして「一番はじめに、福引ひくんだぁー」とかいって、その日はすぐに寝たのよ。枕元に福引券置いてね。 萌:あっ!思い出したよお母さん。思い出したからもう言わなくてもいいよ。恥ずかしいから。 萌(唯):おしえて、おしえてー♪ お母さん:別にいいじゃない。萌ちゃんが小さい頃のことだからね。 萌(唯):わーいい♪ 萌:わかったよ。あとは私が話すよ。次の日の朝、いつもより遅く起きちゃってね。福引が10時から始まるからって、慌てて朝御飯をたべて、服を着替えて、商店街まで走っていったのね。そしたら、まだ準備中で福引を待っている人なんていなかったの。 萌(唯):うん。それからどうなったの。 萌:10分ほどして、いよいよ福引を引くことになったの。今でも覚えているわ、白2個とピンク1個。あわせて90円分の金券をもらったの。これで、なにを買おうかなって、その金券をポケットに入れようとしたの。その時にね、気がついたの。 お母さん:家で、服、上だけ着て、下、着忘れたのよね(笑) 萌:もう、お母さん。そんなはっきり言わないでよぉー。はずかしいんだから。それに、下着はちゃんと付けていたのだから、唯は下着、付けてなかったんだよ。 お父さん:萌の方が、恥ずかしい気がするが(笑) 萌:お父さんまで、笑わないでよ(怒)あの時は、福引で夢中になってたんだし、走って商店街まで行ったから、暑くて、下がスースーしてる感じはしなかったのよ。 萌(唯):それからお姉ちゃん、お菓子、買いに行ったんだよね♪ 萌;恥ずかしくて行けるわけないじゃない。走って帰ったよ。あの出来事忘れていたのに、すっかり思い出してしまったよぉー(泣) お母さん:萌ちゃん、恥ずかしがったり、怒ったり、泣いたり大変ね。 お父さん:ほらいつまでも喋ってないで、御飯もういらんのか? 萌:まだ、食べられるよ♪お母さん、ごはん、おかわりね! 萌(唯):唯もお姉ちゃんだから、いっぱい食べれるよぉー♪ お母さん:美味しいからって、食べすぎでお腹壊さないでね。 この日の鷲沢家の晩御飯は、用意されたおかずはすべてなくなり、笑顔で溢れていた。 (おわり) @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 唯:晩御飯、おいしかったね、お姉ちゃん♪ 萌:あれ、いつ元に戻ったの?唯。 唯:ごはん、食べ終わってからだよ♪ 友達:こんばんは♪今日はどうしたの?こんなところに呼び出したりして。 唯:お姉ちゃんが、作者の秘密を発表するんだって。 萌:そうそう。この作品は、一部「ノンフィクション」なんだよ(笑) 唯:「ノンフィクション」ってなあに? 萌:このおバカな体験を、実際に体験しているんだよ(言ってやったよ!作者に復習できたよ!) 友達:萌・・・「復習」じゃなく「復讐」だよ。 |