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ココノえもんの憑依アイテム「憑依ドラッグ」〜!
基本的な性能は市販の憑依薬と同等だよ! ただ、依存性が強いぞ!
そして流通経路が違うんだ! 非合法組織がシノギの一環で、悪心的な値段で譲ってくれるよ!
もちろん手に入れるのも悪い人ばっかりだから、悪いことの種には事欠かないね!


氷井町バイオレンス「憑依ドラッグ」



ひょんな事から新型のドラッグを手にいれた不良少年少女たち。

しかし、それはただの非合法薬物ではなく、
人の身体を乗っ取ることができる危険な憑依ドラッグだった。

彼らはコレを使い、抗争相手のチームをぶっ潰す事を考える。

対立チームのヘッドである、あの女の身体を乗っ取り、
致命的活動をしてお縄にするのだ。



「っ! ヒッ――ぁ……」


「姐さんッ! マジでそんなことやるんですかい?」
「へへっ、あたぼうよォ」「だからお前ェも、とっととヤッパを抜きなァ!」


「姐さん!! やり過ぎっすよ! コイツもう息して……」
「アーッハッァハッハァ!! 死ね! 死ね! 死ねェ!!」


「殺っちまった……うわァマジだ……姐さん」
「何だい人1人殺っちまったぐらいで、ケケッ」


「(こんだけやっときゃ実刑は下らねぇな)」
「(ケケケ、バカな女だったぜ――)」


「……おい、やべぇぞ! サツが――――」
「っ……あ、れ……アタイは……?」


「(ハッ、ざまあみやがれ!!)」



斯くして彼らは縄張りを広げた。

そして憑依ドラッグを欲望のままに用い、途方もない快楽を貪った。

しかし、彼らは遅すぎたのだ、気づく事ができたのに。

粗悪な憑依薬の副作用は恐ろしく身体を蝕み、
もはやそれ無しでは生きてはいられない程になっていた。




「さて、次はどの身体にするか……」

「おっ丁度いい」
「今日はコイツの身体で荒稼ぎさせてもらうぜェ!」

「ひゃぁっ! ぁ……ぅ……」





そして――限界に至る。

「オイ、どういうことだ? 俺の身体に戻れねぇぞ!」

過剰服用された粗悪憑依薬により、
彼の魂はその肉体との繋がりを完全に絶たれてしまったのだ。

「チクショウ! まだヤりてぇ事は山ほどあんだよォ!!」

途方に暮れる彼の前に、現れたのは最初の女。
彼に憑依ドラッグを譲った当人だった。

女は、魂なき少年の身体を弄り、確かめる。

「非健康的な身体だ、臓器用にもならんな」

「クソッ! だったらコイツの身体を――!!」

男は背後に回り、憑依行動を試みる。

「……がァッ!?」

だが、何かに阻まれるかのように弾かれてしまう。

白衣の女は虚空に告げる。
「私に憑依は出来んぞ、満員でな」

白衣の女が、嗜虐的な微笑みを浮かべた。
「良いことを教えてやろう」
「お前はもう、その身体から見放された」

白衣の女が笑う。
「そして、自分の肉体を無くした事で、現世への定着力も消える」

「つまり、地獄行きというわけだ」

半狂乱で、泣き叫ぶ少年。
「何だと……オイ、コラ! 聞こえてんだろテメェ!」
「なんとかしろよォ! テメェのヤクのせいなんだろォォ!」

女は、一際残酷な笑みを浮かべると、背を向けて歩きだす。
「助かりたいなら着いてこい。ちょうどいい身体がある……ククッ」

――少年は、その言葉に従う他、無かった。


そして男の魂は、自害し損ね植物状態となった
若き情婦の肉体に捻り込まれ、定着する。

いままで散々弄んだ、女体の神秘にヨがり、狂いつつ。

今や、彼は日夜を取る。

あの白衣の女は、二度と現れなかった。
憑依ドラッグなるものに、二度と触れる機会もなく。

そして、元の身体がどう加工されたのかなど、
もはやもう、知りたくはなかった。


了。