「入れ替わり」とは何か

第1部 

「入れ替わり」モノ大国のフロンティア―「入れ替わり」は学問になりうるか?



第4回 

唐突ですが、ここでクイズです。これは「入れ替わり」に関するある数字です。何だかお判りでしょうか?ヒントは、①私たちに身近なもの ②私たち、特にマニアにとって欠かせないもの ③今回のテーマ、です。ホントはもっと挙げたかったんですけどねぇ…。


入れ替わり                            1480000

男女入れ替わり                        797000

おれがあいつであいつがおれで        4950000

転校生 映画                       2400000

パパとムスメの7日間                   391000

ドン★キホーテ                        3970000

ココロコネクト                         3470000


これだけ見て何を言いたいのかが分かった方、何を言いたいのかはわからなくとも、何で、こんなことを取り上げるのかを疑問に思った方、あなたこそ「入れ替わり」について考える資格があるといえるでしょう。なにしろ、これは学問的に考えることを目的としているんですから!

作品として、また娯楽として楽しむのとは違って、目の付け所の違いや疑問こそが、こういった、世間からは完全といっていいほど無視されていることを考えるための原動力になりうるのです。


ちなみに、クイズの答えは、この前(4月27日)Yahooで検索したときの結果の一部です。もちろん、重複や転載「入れ替わり」とは関係ない記事もかなり含まれているので、サイト中に存在する記事の件数はこれよりもはるかに少ないでしょうが、今やインターネットは、「入れ替わり」モノ最大の情報ツールとなっているのもまた事実です。

Amazonをはじめとするネットの通販の記事、アニメやマンガの公式サイト、動画サイト、ブログなどの個人の感想、2ちゃんねるなどの掲示板、「入れ替わりマニアックス」などの作品リスト…。良くも悪くも多種多様かつ玉石混淆な情報やサイトがあふれているその状況は、まるでさまざまな店舗の立ち並ぶ大型ショッピングセンターのようですし、あれほどまでに「使い古されたもの」とマンガやアニメのマニアなどから陰口をたたかれている割には、案外受け入れられていることの証明ともいえます。

とはいっても、その恩恵にいちばんあずかっているのは、なんといってもTSFのマニアでしょう。情報サイトから、新作についての情報を得る、掲示板などを通じて、マニア同士で交流する、個人のサイトなどで小説やイラストなどを発表したりする…。もちろん、コミュニティーの規模からいえばそれほど大きなものとはいえませんし、あまりにも特殊な嗜好だけに、人に言うのもためらってしまうような、大っぴらにはできない趣味だという人も少なくないはずです。

それに、TSFは変身や憑依、皮モノなどといった多様なパターンから成り立っているので「入れ替わり」はその中のほんの一部でしかありません。けれども、商業作品以上に活発な掲示板や投稿サイトなどの状況からすれば、意識しているかどうかは別としても、こういったツールをかなり重宝しているのではないでしょうか。ちなみに、私は執筆に忙しいので、たまに見る程度ですが…。


それだけに、今日、ネットは「入れ替わり」モノ大国ニッポンを支えている重要な情報ツールであるばかりか、TSFの発展と共に、マニアに受容されていったジャンルだといっても差し支えないでしょう。では、「入れ替わり」はなぜ、これほどまでにネットで大きな発展を遂げたのでしょうか?次回はそのことについて考えてみたいと思います。


(以下次回)