「司書さんになって」   

作:しんご






そんな事まで言わなくてもいいじゃないか。
とは、決して言えるような状況ではなかった。
目の前の担任と、隣に座る母親。
この三人だけの狭い世界で、自分の味方は存在しない。
今まで生きていた中でも、この屈辱感は一番か二番か・・・・
五本の指に入ることは確実だ。
だが、自分の撒いた種がこうして花を咲かせたには違いない。
決して良いイメージの綺麗な花ではないが・・・・
そこに、他人のせいだとかの言い訳は出来そうにない。
「いいかね。これが君の先月、受けた模試の結果。
 どの教科も褒められるものがない。
 ここ見てみなさい。
 校内順なんて、もう下に四人しかいないじゃないか。」
と担任は、手に持ったボールペンを何度も叩きながら熱弁を繰り広げる。
すみませんね。
なにさ、こう言いたいんだろ。
俺のせいでクラスの評価、いや自分の評価が悪くなる。
そう言いたいんだろ。
自分の息子のあまりの結果に、隣に座る母は口を開け固まっている。
「いいかい、君はまだ二年だから良いなんて思ってもいないかい。」
担任の攻撃は、休みそうもない。
「先生、この子は大学は無理なんでしょうか?」
たぶん、母はこうした言葉を期待していたんだろう。
「今から、頑張れば行けますよ。この子はやれば出来る子ですよ。」と。
いや、母だけじゃない。
二人の目線が怖く、自分の座っている机しか見られずにいる自分も
そう返されるであろう言葉を期待した。
だが、担任の発した言葉は救いを求めた者を再び、いやそうではない。
もう二度と助けを求めることも出来ない地獄の底へと叩きを落とす言葉であった。
そして、母を再び沈黙へと戻すには余りにも強すぎた。
「無理ですよ、お母さん。」
とたった一言の言葉を返した。
でも、ここまで言われて僕のズタズタにされた自尊心にも意地があった。
「その言葉は、次の模試の結果を見てからにしてください。」


「はぁ〜。」
あんな事、言うんじゃなかった。
次の模試まであと一ヶ月、どうすればいいんだよ。
目の前の数学の問題に早くも自分の短気さを後悔していた。
第一、定期テストのための一夜漬け以外に家で勉強なんてしたことがない。
やる気も出ないし、集中も続かない。
本棚の漫画本に手が行ったその時、ある名案が浮かんだ。
そうだ、図書館に行けばいんだ。
あそこなら、集中して勉強も出来る。

「あの、自習室を利用したいのですが。」
「図書館の利用カードをお持ちですか?」
「あ、はい。」
小学校五年の時、以来だ。
このカードを使ったのは。
机の中に埋まっていたのを、持ってきてよかった。
もう、何年も来ていないせいか、だいぶ図書館の中は変わっている。
本棚が並ぶ室内の中に設置されたテーブルと机は、本を読む以外は使ってはいけない。
自分が持ち込んだものや、学生の勉強は自習室と名前が付けられた別室でやらないといけない。
字を書く音が、本を読むために来た利用者にとっては迷惑になるのだろう。
でも、前に来たときはそんな部屋はなかった気がする。
それとも、気がつかなかっただけかも知れないが。
「頑張ってください。」
司書の女性は、そういいながらプラスチックで出来た名刺位の番号がついた札を差し出した。
頑張ってくださいか、なんだか照れくさいような・・・・・
二十代後半くらいのきれいな女の人だった。
でも、そう言ってくれた司書の女性には悪いけど、
いちいち受付をしないといけないのは面倒だと思う。

自習室の利用者は夕方で平日のせいだろうが、制服姿の学生が目立った。
もちろん大人の人もいるが圧倒的に学生が席を埋めていた。
受験を控えた高校生や中学生。
皆、自分の為にやっているのだろう。
でも、僕は違う。
あの担任を見返すためだ!
と、気持ちを高め行きよいよく机に参考書を出し問題を解き始めた。

だが、その行きよいは数分と続かなかった。
数学の問題を解こうと思っても、まったく解き方が分からず
あきらめて解答を見ても、謎は深まるばかり。
あーだ、こうだと、試行錯誤をしている内に眠ってしまったらしい。
後ろから肩を叩かれ、初めて自分が眠っていた事に気がついた。
「起きたかい?」
見たこともない人だった。
ただ、自分と同じ高校だと言うことだけ着ている制服で分かった。

それが、初めて先輩と知り合った時だ。
鼾をかいて眠っていた僕は、周りの人は迷惑をかけていたらしい。
後ろに座っていた先輩もその迷惑をかけられた被害者の一人だったにちがいない。
普通、そういう人がいても誰もその人を起こすことはない。
他人だからだ。
先輩もまた、僕とは認識もない赤の他人だった。
でも、周囲の人はそうは、思わなかった。
いや、例えそうでもお前はそいつとは無関係ではないだろう。という目線を受けていたらしい。
まぁそれは、先輩の被害妄想だろうが。
その日から、先輩と僕は図書館で一緒に勉強をする友達になった。
一緒にするというよりも、僕が先輩に勉強を教えてもらうという形だったが。
先輩は、学校でも頭の良い方で勉強は良く出来た。


それから、二ヵ月後

「この前やった模試の結果を返す。」
ついに来た。
担任はなんて言うのだろう?

「鈴木。」
担任は、僕の結果を何も言わず返した。
まぁ褒め言葉を期待していなかったというと嘘になるが、
それでも傷つけられた自尊心が完治するには十分だった。
何も言えなかったのだろう。
あれ程、散々言われた学年順位は軽く百人抜きをしていた。

担任をみかえすという大義名分が失われた今、
もう図書館には行かなくてもいいのかも知れない。
でも、その日もまた僕は図書館へと足を向けていた。

「何やっているんですか、先輩。」
「おお、びっくりした。」
「自習室に行かないんですか?席なくなっちゃいますよ。」
「ああ、それは分かっているけどアノ人がまだカウンターに来ていないんだよ。
 図書館の中にもいないようだし。おかしいな、今日は来る曜日なんだけどな。」
「またですか?」
アノ人というのは、司書の佐々木さん。
司書といっても街がやとってるアルバイトで司書の資格もないし
もちろん公務員でもない。
「なに言ってんだよ。お前は、分からない奴だな。
 アノ人がいなんじゃ、受付する意味がない。」
図書館という場所柄、先輩も声を小さくしているつもりだろうが、
明らかに周囲の人は聞こえたらしい。
赤ちゃんを抱いた若い母親が本ではなくこっちに視線を向けている。
「わかりましたから、少し声を小さくして下さいよ。
 それに、ほら。アノ人がカウンターに来てますよ。」
まったく。
この人は、勉強しにきたのではないのか?
それとも、佐々木さんに会いに着たのか?
まぁ聞くまでもないな。
この人なら、こういうに決まっているさ。
「決まったことをきくなよ。勉強はおまけだ。会うという目的の副物しかない。」
容易に想像できる。
それも、自分の答えに自信たっぷりに言いのけるだろう。
でも、先輩がそういうのも分かる気がする。
佐々木さんは、それほど綺麗だった。
なんでこんな人がこんな、おばちゃん達と一緒に働いているのか不思議だった。
それに、佐々木さんが左手の薬指にはめている指輪を見たときに、
少なからず落胆したのも事実だ。
はめていないとしても、なんの関係もないが。
想像だけで、実体のわからない佐々木さんの旦那さんに嫉妬の念を感じた。
だが、この先輩はそうではないらしい。
僕が、「アノ人は佐々木さんが結婚しているじゃないですか?」といったら
いつものように声を一段と大きくしてこう答えた。
「ばかだな、あんな人が結婚してないわけないじゃないか。
 日本人だって、そこまで落ちこぼれてない。
 アノ人をほっとく男がいるならここに連れて来い。
 俺が教えてやる。
 それに、人妻というところがまた惹かれる。
 清純そうだろ?」
この人は、本気で惚れているなとそう確信した。
でも先輩も、そしてもちろん僕も佐々木さんと何も話す機会もない。
ただ見ているだけ。
服についた「佐々木」という名前と、薬指にはめた指輪と
先輩が外で張り込んで分かったという、佐々木さんの乗っている車の他に
何も知らなかった。
そんな唯一できることは、自習室の受付の事務的な会話だけ。
それでも、アノ人の言葉に何かを感じるのは確かだった。
ほかの人は、ただ「どうぞ」といって名札を手渡すだけだった。

「自習室を利用したいのですが?」
「あ、はい。カードはお持ちですか?」
「お願いします。」
「頑張ってくださいね。」
そう、この最後に名札を手渡す時の一言だけのために先輩も僕もこの図書館に来ていた。

ある日のこと、その日もまたいつものように図書館に来ていた。
先輩は、まだ来ていないようだ。
カウンターにアノ人がいるのに自習室にいない。
先に、入って待っているか。
そう決めて、受付をするために声を出そうと思ったそのときにその衝撃の言葉を聞いた。

いつものように、先輩と帰っていた。
いつものようななんの意味もない雑談も、今日は弾まなかった。
お互いに気持ちは沈んでいた。
最初にこの沈黙を破ったのは先輩のほうだった。
だが、その言葉は初めの一言にしては衝撃的だった。
もう、十分あの時の言葉でさえも呆然とされたのに
先輩の言葉も十分、その言葉と張り合うくらいの威力があった。
「明日、佐々木さんに告白するよ。」
「何を言ってるんですか?」
「何って告白するんだよ。佐々木さんに俺の秘めた気持ちを告白するんだよ。」
「マジで言ってるんですか?」
「ああ、本気だ。俺は、告白する。」
「絶対に、無理ですよ。」
「・・・・・ああ、分かっているよ。でも、言わないと後悔する。
 絶対に後悔する。気持ちに嘘はつけない。
 だって、来週になったらアノ人は、いないんだ。
 日本からいなくなるのに。」
そう、僕は聞いてしまった。
    「良いわね、シンガポールでしょ。」
    「はい。でも、私は海外には行きたくないですよ。
     夫がどうしてもとついて来てほしいっていうものですから。」
    「でも、寂しくなるな。今週いっぱいまでか、さきちゃんと仕事をできるのはさ。」
中年のおばさんと、佐々木さんがカウンターの中でそう言っていた。
佐々木さんが今週でいなくなってしまうことを。
来週には、いないということを。
そうその衝撃的な言葉を、僕はいてもたっても居られず遅れてきた先輩に真っ先に伝えた。
そして、一緒に落ち込んだ。
世の中ってこういうものだよななんて、背伸びして大人のフリをした先輩と一緒に家に帰っていた。
次第に、二人を包むのは沈黙だけだった。
でも、沈黙もまた答えだとそう思っていた。
だが・・・・・・・
「先輩の言うこともわかるような気もします。
 でも、そんなこと言っても何にもならないじゃないですか?
 佐々木さんは、先輩の気持ちなんてまったく知らない。
 第一、先輩のことすら知らないじゃないですか?
 そんな見ず知らずの人に、告白されたって何もならないですよ。
 佐々木さんは、結婚してるんですよ。
 それに、来週にはもういないんですから。
 傷つくのは、先輩ではなく佐々木さんの方ですよ。」
「分かってる。だけど・・・・・・・。」
また僕達に沈黙だけが覆い包んだ。

     先輩、馬鹿なことはしませんよね?
     でも・・・・・
     あれを使うしかないか。あれを。


僕には、他の人にはない力があった。
多分いっても信じてもらえないだろうが、
他人に乗り移って意のままに操ること。
それが僕には出来る。
僕がその力に覚醒したのは、まだ高校に入ったばかりの頃だった。

その日、国語の授業の時間に、まだ高校の施設に慣れていない生徒達のために
図書館で本を借りることになっていた。
あまり、本というものに興味がなかった僕はただ漠然と本の背表紙を目で追っていた。
志賀直哉や森鴎外などといった有名な作家達には目もくれず、僕はある本に引き寄せられていた。
『人間に隠された力』と書かれた埃を被ったその本を何も考えず、
ただその本を見たときに何か引かれる引かれるものを感じていた。
他に借りようと思った本もなく、その本を借りることにした。

家に帰って、期待して開いた僕に幻滅の二文字が頭を駆け回った。
「人間に隠された力がある。それは自分の体から自分の意思である魂を分離させる力を持っていることだ。」
なんて最初の文から書かれていたことだ。
まったく持って期待はずれしかない。
人間の神秘など、科学的なものを書いているんだとばかり思っていた。
それがどうだ。
科学性の欠片もない。
なにが、魂だ!
「はぁ〜。」
まったく、ため息しか出ない。
でも、感想文を書かないといけない。
「読むしかないか。」
ページをめくるにつれてこれはこれで面白い。
そして、あるページに目が釘付けになった。
『第十一章 憑依の仕方』と書かれているその章に。
「まずこの力は人には必ず人にはあります。しかし、この力を発揮できる人間は限られています。
 覚醒する人間は、ごくまれです。著者の私でさえ、何度やっても出来ません。
 そして、例え出来たとしてもそれを行った者には、なんらかの副作用が伴ないます。」
と書かれ、次のページからはそのやり方が図とともに述べられていた。
本の最初から、怪しさが滲んでいたがこの章は、もう信じようにも信じがたい。
それでも、試してみたいという好奇心があった。
どうせ、できない。
そう、思っていた。

「・・・・・出来ちゃったよ。」
ベットに横になっている自分の姿を見ながら、僕は呟いた。
自分は目の前に居るのに、今こうして僕は存在する。
嘘じゃなかったんだ。
決して夢でもない。
本に書いていた通り、魂となった僕は自分では今の姿を目で見ることは出来なかった。
部屋にある鏡でも僕を確認することもできない。
そして、物をつかむと言うことが出来ない。
いや、本に書かれていたのはそのことだけではなかった。
この力は、肉体から自分の魂を離れさせるだけではない。
他人に憑依することも出来るのだ。
もう興奮するなといわれても、だれが出来るか?
どうしよう?誰にしよう?
男に憑依するなんて僕の頭には無かった。
女性。
ある人物が頭に浮かんだ。

部屋の壁をすり抜け僕はある家へと向かった。
空を漂いながら、その感じたことのない感覚に興奮はますます高まっていた。
「失礼します。」
と聞こえるはずの無い声を言いながら自分のうちから少し離れたその家へと侵入した。
これは、もう犯罪だろう。
他人の家に無断で入るのは。
だが、今の自分には法は通用しない。
現実に目に見える自分は、自分の家の部屋で寝ているのだから。
案の定、彼女は自分の部屋に居た。
安藤梨絵。
僕の中学のときの二つ下の後輩で、今は中学二年だ。
家が近いせいからもあって、よく昔はお互いの家に遊びに行ったりしていた。
でも、梨絵が中学校にあがってからはそんなことも無くなった。
顔が会ったら話す程度でしかなかった。
僕が避けていたからからもしれない。
今までそんなことも感じなかったのに、女として見はじめてしまったからだ。
なんだか、気軽に無邪気に話せにくかった。
自分が好きだとばれる事を恐れていた。
いや、好きになっていく僕を止めていたかった。
部屋は、僕が来たときよりもなんだか物が増えてその姿を変えていた。
女の子らしく綺麗に片付けられている。
そんな部屋の持ち主の梨絵は、自分の部屋に他人が居るのに気がつきもしない。
ベットに寝転がって、本を読んでいる。
一気に、体を梨絵に重ねるのはちょっと怖かった。
まず手を重ねよう。
自分の右手を重ねようと梨絵の手に触れると手が吸い込まれてしまった。
「えっ?」
梨絵が自分の右手の異変に気がついたのか奇声を上げる。
「あれ?手が・・・動かない・・・」
梨絵の右腕から自分の腕を引き抜こうと思うと簡単に剥がれることが出来た。
「あれ、動く。」
梨絵は、腕が痺れたくらいに思っているのだろ。
なにも、警戒もしないで本を読み始めた。
ふふ・・・・
僕は、梨絵の真上に飛ぶとそのまま体を下に移動させる。
「はぁ、はぁ・・・」
興奮しながら、ドキドキしながら寝転んでいる梨絵の体に触れ始めた。
着ているパジャマを通り抜けて、体が梨絵の体にめり込んでいく。
「あれっ。」
今度こそは、自分に迫る危険を感じたのか梨絵は本から目を離し体を動かそうとした。
だが、遅かった。
下半身はもう僕が乗っ取っている。
「なんで、どうしたの!!」
何がなんだかわらない梨絵は、声を上げる。
僕は、そんな彼女の頭を重ねた。
一瞬白い光が目の前に広がって
そして次の瞬間に視界が開けて 梨絵の読んでいた本が見えた。
「・・・・」
目をパチパチさせて、本を掴もうと伸ばす手は明らかに自分の手とは違う、
細い指の小さな手だった。
「やった!!」
その自分の上げた声は、まさしく梨絵の声だった。
周りに目をやった。
首を振るたびに髪の毛が頬を撫で、シャンプーのいい匂いがする。
ベットから降り、机に置いてある手鏡を覗き込み
うつる自分の顔も梨絵の顔だ。
今、自分の着ているパジャマ姿の体をまじまじと眺めた。
パジャマの間から見える胸も、下半身の膨らみもなく平たいのも
自分が今、女性になっていることを十分証明してくれる。
こんな風に、女性の胸を見たことが無い。
写真集や、Hのビデオもこんなふうにうつせない。
「へへっ」
僕は照れくさそうに笑った。鏡の梨絵も同じように笑っている。
「わたし、先輩にみせてあげるね。」
そう言いながらウィンクをしてみる。
梨絵の声を使って、そう言いながらパジャマを脱ぎ始めた。
ボタンをひとつづつ外していく。
その後、両手でゆっくりとパジャマの前を開けていった。
ブラをしていない、梨絵の程よい胸が露になる。
「へへ、これが梨絵の胸か。何カップくらいあるのかな。」
そう言って、梨絵の手を使って胸を揉んでみた。
思ったよりもやわらかい胸は、自分の動かす方へと変形していく。
それと同時に男の体では味わえなかった快感が体を駆け巡った。
「あっ・・・女の子の胸は・・こんなに気持ちがいいのか・・・あっ!!」
鏡の中で梨絵の顔が、いやらしい色気を発している。
このまま梨絵の下半身で遊びたかったが、僕はある物を着ようと思った。
「先輩、私の着替えるとこ見ててくださいね。」
そう言いながら、壁にかかっていた制服を手に取った。
白いブラウスを腕に通して、ブラをつけないままボタンを留めていく。
パジャマのズボンを脱いで、シンプルな白いショーツに余計に興奮させられながら
紺のスカートを穿いてみる。
股がスースーする感じがしたが、そのままスカートの横のホックを閉め、 ファスナーを上げた。
そして、ブラウスに胸の赤いリボンを綺麗に結ぶといつも見ていた梨絵の制服姿がそこにはあった。
「どう?私の制服姿、似合うでしょ。」
両手を後ろで組みながらニコッと笑った。
鏡に背を向けて、お尻を突き出し徐々に腰を曲げていく。
スカートに隠れていたパンティーが少しずつ現れる。
いくら、中学校にいたころ梨絵の制服姿に見慣れていたとはいっても梨絵のパンチラ姿なんて見たこともない。
「いやだー、先輩いやらしい。梨絵の見たんですか?」
そう言いながら、梨絵のまねをして手でスカートを押さえる。
かわいい。
いつもおとなしい裕香とは考えられない行動だったが、
それでも見たことのない梨絵の姿にますます興奮していく自分がいた。
制服姿の梨絵がいやらしい目つきをしながら鏡に向かってお尻を振っている。
僕はもうたまらなくなり、片手をパンティに中にスッと差し伸べた。
梨絵のアソコはすでに濡れていた。
鏡にはパンティの中で指を前後に動かしている裕香の姿が映っている。
「ああっ!・・・な・・・・す・・・すご・・・く・・・いい・・・」
体中にしびれわたるほどの快感が走る。
「はあっ、はあっ・・・・先輩、梨絵なんだかおかしいよ。」
梨絵のまねがよけいに、興奮させられる。
指はいっこうに止まろうとはしなかった。快感に支配された感じがして、もう自分の
意思では止まらなかった。
「ああ・・・も・・もうだめ!!」

「あ〜あ、梨絵のパンティーを汚しちゃったな・・・・・」
着ていた制服を元のように戻していく。
でも、ブラウスはしわになってしまった。
しょうがないよな。
脱いでしまった、パジャマを着ると最初見た姿の梨絵の出来上がり。
これで、梨絵の体を離れても良かったが、なんかだかもの足りなかった。
そうだ!

梨絵の体に入ったまま僕は、梨絵の部屋から出て行った。
僕は梨絵の家を見回すことにした。
昼間しか来たことのない梨絵の家。
なんだか違うように見える。
勝手に他人の家に侵入していることには違いなく、
階段をあがってくる足跡に、恐怖を覚えた。
「梨絵、まだ起きていたの?早く寝なさい。」
ふふ・・・・
おばさん、僕は梨絵じゃないよ。
僕は、この家の子供になりすまして
「・・・あっ、うん。お母さん、おやすみ。」
梨絵のおばさんは、目の前の自分の子供を本当の自分の娘だと信じてこう返した。
「おやすみ、梨絵。はやくねなさいね。」
おばさんは、自分の部屋へと入ってしまった。
ばれてない。
ばれてない。
それにしても、梨絵のおばさんって綺麗だよな。
そうだ!
おばさんに乗り移ってみよう。
そうと決まれば・・・・・・

「お母さん、ちょっといい?」
そう梨絵の声を使って、おばさん部屋へと入っていった。
「梨絵、どうしたの?」
ベットに入っていたおばさんは、身をこちらに向けた。
「あのね。・・・・・」
そういうと僕は、梨絵の体から抜け出した。
梨絵は、支配していた僕がいなくなってしまったためその場に崩れを落ちた。
「えっ、梨絵どうしたの!」
おばさんは、娘が突然倒れてしまったのであわててベットから飛び降りた。
僕は、駆け寄ってくるおばさんに背中から体を重ねた。
「うっ!・・・・」
梨絵のときと同様に、目の前が白くなった。
そして次の瞬間に目の前には床に崩れている梨絵の姿があった。
「ふふ・・・・」
僕は、微笑みながら、倒れている今の自分の姿の娘を抱き上げた。
「梨絵、どうしたの!」
こんな風にいうのかな。
まさに迫真の演技だ。
「うっ・・・」
梨絵は、意識がもどり始めた。
「えっお母さん?」
ふふ・・・・そうだよ。君のおかあさんだよ。
「梨絵、まったくどうしたの?突然、倒れるからお母さん心配したじゃない。」
梨絵は今の自分の状況が、全く理解できていないらしい。
まぁ理解できるはずはないか。
「梨絵、熱でもあるの?」
僕は、そういいながら自分のおでこを梨絵のおでこにあてる。
「うーん。そうでも・・・・・」
「えっ、なんで私おかあさんの部屋にいるの。」
まったく理解できてない梨絵は、ますます混乱していく。
「胸は、苦しくない?」
僕は、梨絵の胸を触る。
「えっ、苦しくないよ。ちょっとお母さん、はなしてよ。」
「よかった。心配したのよ。」
「あっうん。・・・・・私、お母さんの部屋で倒れたの?」
「そうよ。突然。」
「・・・・・お母さん、どうしよう。私、わからないよ!」
正直、驚いた。
梨絵は、突然その場で泣き出した。
自分のやったことが少し胸を刺す。
でも、泣く傍らで僕は微笑んでいた。
そうか、今は僕が母親だったな。
ふふ・・・・・
「梨絵、どうしたの?」
梨絵の頭を抱きながら、ショートの癖のなくさらさらした髪をなでた。
ああ・・・いい匂い。
「お母さん。私、なんも覚えてないの?・・・怖いよ。」
「落ち着いて。寝ぼけていたのよ。」
興奮する彼女の背中を撫でる。
胸を触りながら、そしてお尻まで撫で回す。
興奮する彼女はわからないだろう?
自分が、母親にいやらしい目で自分の体をさらわれていることに。
「ふふ・・・・・・・梨絵、大丈夫よ。」

「落ち着いた?」
「うん、もう平気。」
「ありがとう、おかあさん。」
梨絵は、目の前の僕に微笑んだ。
おかあさんと呼びながら。
目の前の母親は、本当のお母さんではないのに。
「おやすみ、おかあさん。」
「おやすみ、梨絵。」

梨絵が出て行った僕は、自分の体をじっくりと見ていた。
梨絵よりも大きな胸。
崩れていないこの体のプロポーション。
梨絵には、悪いがまだまだ梨絵は子供だと実感させられる。
なにより、この姿に色気を感じさせられる。
等身大の鏡に自分の姿を映していた。
すると、
「なんだまだ起きていたのか?どうしたんだベットにも入っていないで。」
「えっ・・・」
そうか、梨絵のお父さんか。
はじめて見るから、分からなかった。
ということは、今はこの人の妻か・・・・・
ふふ・・・・・・・
「ね。あなた?私、今日したいの?」
「・・・・・・・」
やばい。
なんだか、言い方が可笑しかったかな。
「なんだ、君だってそうなんじゃないか?
 いやだって、先に寝たのは君のほうじゃなかったかい。」
「えっ・・・・・だからね。気が変わったのよ。」
そういうと僕は、梨絵のお父さんにベットに倒された。

「あっ・・あっ・・そんなに・・ゆびを・・う・・うごかさ・・ないでっ・・・」
手をパンティーの中に潜り込ませ、両手を使って僕の感じる部分を攻めだした。            
必死にその手を押さえようとするが、中でうごめく指を押さえつけることが出来ない。
「すごく・・きもちいい・・・もう・・・あたまがおかしくなりそう・・・」
そう言った。
「なんだか、いつもの君じゃないみたいだ。
 処女みたいだね・・・・」
体は処女でもないけど、心は童貞だからある意味処女かも知れない。
・・・・すごく気持ちがいい・・・・
おじさんは体勢を変えると、僕の腰をゆっくりと高く上げた。
おじさんのペニスが僕の秘唇にぴたぴたと当たる。
「あ・・・ああっ!!」
            
             :
             :
             :
             :


これが僕の初めて力が覚醒したときの話だ。
そして、本に書いてあった副作用とは元の体に戻ったら二日間、高熱にうなされることだった。
だからこの力をあれ以来、使っていないと嘘にはなるが、あまり使ったことが無い。

そして次の日、僕は先輩の為に佐々木さんに憑依しようと決意した。
これは、先輩のためでもあるし、佐々木さんのためでもある。
お互いが、傷つかない為に。






その時の話は、また次の機会にでも・・・・・・・・・






あとがき


えーと。
なんでこの続きを書かないのか。
それは、2つ理由があります。
まず、一つ。
長くなってしまった。と云うのが一番大きな理由です。
佐々木さんに憑依する話を付け加えるとこれ以上に長くなりますので・・・・・・・
また機会がありましたら、この続きを書きたいと思います。
すみません^^;
二つ目に、なんだかこの続きを書きにくかったということです。
実は、この話の半分は事実です。
つまり、私に憑依する力があって中学生に乗り移ると言う話以外は本当の話です。
私が高校二年の時に、自分の学校の先輩に図書館で出会い、その先輩が図書館の司書の人に恋をして、
人妻のその人に告白しようとしたのは紛れも無い事実です。
違うのは、人物の名前と司書の女性の辞めてしまう理由だけです。
本当に図書館には、その人に会いたくて来ていましたし、
その人がカウンターに来るまでぜんぜん自習室に入ろうともしないで
図書館の中にある漫画本を読んで時間を潰してました。
受験生なのにいいのかな。
と心配してましたがあの人はそれでも頭が良かったです。
あそこに入学したのは、ちょっと僕には理解しがたいですが^^;
「先輩、死なないでくださいね。」
と最後に僕は言った覚えがあります。
今は、連絡を取り合っていないので、わかりませんが。
イラクには行っていないとは思いますし^^)
まぁ先輩が告白したのか、ということは置いといて。
この先の話を書くことに「なんだかな・・・・」と思ってしまって。
それなら、最初から書くな!と言われれば何も言えないのですが。
でも、最初に書いたようにまた暇が出来たらこの続きを書きたいと思います。

ではでは、本当に最後まで読んでいただいてありがとうございました。
お疲れ様でした。