パターン1 集団入れ替わり ケースその1 アンナ・ジョンソンさん(仮名) 17歳、白人 アメリカ人、女性 吉田 広樹さん(仮名) 7歳、モンゴロイド 日本人、男性 ニーナ・フィリスさん(仮名) 27歳、白人 イギリス人、女性 (記録者注)皆さんに紹介する際に、登場人物の補足をさせて頂くことにした。 「アンナ」 肉体:アンナ・ジョンソン(仮名) 17歳、白人 金髪 アメリカ人、女性 精神:吉田 慶介(仮名) 31歳、モンゴロイド 黒髪 日本人、男性 「広樹」 肉体:吉田 広樹(仮名) 7歳、モンゴロイド 黒髪 日本人、男性 精神:吉田 里香(仮名) 29歳、モンゴロイド 黒髪 日本人、女性 「ニーナ」 肉体:ニーナ・フィリス(仮名) 27歳、白人 青髪 イギリス人、女性 精神:吉田 広樹(仮名) 7歳、モンゴロイド 黒髪 日本人、男性 「里香」 肉体:吉田 里香(仮名) 29歳、モンゴロイド 黒髪 日本人、女性 精神:匿名希望 25歳、モンゴロイド 黒髪 日本人、男性 鍵括弧なしの人物・・・山田(仮名)氏、○○市役所職員、モンゴロイド、黒髪、日本人、男性。このケースにおける、いわゆる事件に直接の関係がない「聞き手」である。 なお、各回想内においては、基本的にその回想を行っている人物が話をしている。 以上、人物についての補足である。 それでは、証言記録をご覧いただきたい。 私、○○市役所の山田(仮名)と申します。 本日は、某日に発生しました集団入れ替わりの際、あなた方がどのような体験をなさったのか、その件について、お聞かせ願うためにご足労いただきました。 どうぞ、よろしくお願いします。 アンナ「吉田 慶介(仮名)です。こちらこそ、よろしくお願いします」 あなたたちが現象に巻き込まれた時の様子を、お聞かせ願えますか? アンナ「はい、私たちはその時、グアムに家族旅行に行った帰りだったんです。 空港のバス乗り場で帰りのバスを待っていると、突然辺りがものすごい光に包まれました」 ニーナ「うん。ぼくね、その時、家に帰って、早く録画したアニメみたいなあって、思ってたんだ。そしたらいきなりね、光がこう、ピカ〜ッ!ってなってね、すっごくまぶしかったんだよ!」 広樹「広樹ちゃん。もう少し静かにしなきゃダメでしょう?」 ニーナ「ママ、ごめんなさい・・・」 どうぞお気になさらずに。 広樹「ありがとうございます。この子、自分が大人の女性の体だって自覚が薄くて・・・」 と、おっしゃると? アンナ「いえね、たとえば、旅行に行く前に使っていた三輪車やいすに飛び乗ったり、おもちゃで遊ぶときに力の加減がわからなかったりして壊すことがしょっちゅうです」 ほかには何か? 広樹「お化粧や下着を着るのが時々おろそかになるのはまあ仕方ないとしても、人前で突然服を脱ぎだしたりとか、時々立ったままトイレをして、大変なことになる事があります」 ニーナ「あ〜っ!!ママ、トイレのことは言わないでって言ったのに〜!」 広樹「この間はデパートでやっちゃったじゃないの!あの時は本当に大変だったんだから!」 あ、あの、すみませんが、話を戻させていただきます。 広樹「あ、いえ、こちらこそ、本当に申し訳ありません」 あの日、あの空港で起こった事について、お話願います。 アンナ「あの時、私は空港のすぐ外にあるバス乗り場でバスを待っていたんです。そうしたら突然、あたりが強烈な光に包まれたんです。まぶしい、と思い、とっさに「どこかに逃げなければ」と思ったのですが、全身の感覚が消失してしまったんです。体を全く動かすことができなくなりました」 感覚が焼失した、と。 それでは、真っ暗闇のように感じたんですか? 「いいえ、光に包まれていると知覚はしていましたが、眼球を動かすこともまぶたを閉じることもできませんでした。そもそも、目が開いていたかも定かではありません」 広樹「その時、私は息子と手をつないで、空港の中でバスを待ってました。 息子は『早く家に帰りたい』とだだをこねていて、あれが起こったのはそれをなだめている最中でした」 そして、光に包まれた? 広樹「そうです。とっさに息子を抱きしめてかばおうとしたのですが、握りしめていた手の感触もなくなり、体も動かせなくなったんです」 アンナ「それで、光が無くなって、気が付いたら私は、ターミナル内のソファーに座って、ココアの入った紙コップを手に持っていたんです。空港のバス乗り場でバスの時刻を調べていたのに」 ワープしたように感じた、という事ですね? 「はい。それで、どうして自分はこんなところにいるのかと思って辺りを見回すと、視界の中に自分の体が入ってきました」 自分の肉体の変化にお気づきになられたということですね? 「そうです。男性とは太さも長さもまるで違う四肢、脇のあたりまで伸びた長い髪、胸には大きな乳房がくっついているし、服もカジュアルな女物になっていて、雑誌やドラマに出てくるようなスカートをはいていました」 それで? 「そりゃあもう、びっくりしましたよ!誰かに眠り薬をかがされて女装させられたのか、 とも一瞬思いましたが、そもそもカップを持っている手も私のものとはまるで違っていましたし、乳房をむにゅむにゅと触ると、触られている感覚がしっかりと通ってるんですから!!」 その時、あなたの周囲の状況は? 「周りの人たちもみんな、体をさわったり鏡を見つめたりして、パニック状態になっていました」 できる範囲で詳しく、お聞かせ願いますか? 以下、アンナ・ジョンソンさんの証言に基づきます。 自分が辺りを見回した時、完全にパニック状態でした。 自分の体がどうなっているのかを確かめようと、トイレや狭い空間に駆け込む人たちはまだいい方ですよ。 そこいらで大人の黒人女性だの白人の幼い少年だのが全裸になって自分の体のいたるところを弄って確かめていたり、スキンヘッドの大男やご年配の女性が甲高い声を上げて半狂乱になっていたり、それはもう酷いものでした。 空港の職員も入れ替わってるもんだから、かわいらしいドレスを着た白人の少女だの、ヘッドフォンとメガネのひょろっとしたモンゴロイドの少年が『お客様、どうぞ落ち着いてください』って言いながら駆け回ってましたね。 飛行機に繋がるターミナルの通路からも人が逆流してきました。 何人か捕まえて話を聞こうとするんですが、動揺なさっていたり、アジア人の外見なのにわけのわからない言語を話し始めたり(もっともこれは入れ替わり現象の有無にかかわらず起こりうることではあるのですが)で、まるで要領を得ないんです。 何とかそのうちの一人・・・外見は白人のスチュワーデスなんですけど、その人を捕まえて話を聞いてみると、接続されている飛行機の中でみんな服を脱ぎだし、自分の体を晒し始めたもんだから、慌てて逃げ出してきたそうです。 それで、とにもかくにも家族が心配で、二人のいた所に急いで向かっていたのですが、そのうちに、この女性の名前や家についてとか、高校での成績とか、ボーイフレンドの顔とかがわかるようになっていくんですよ。 ホントにニュースの通りなんだって、一瞬感心してしまったのを覚えています。 他の人たちも、そんな感じでしたね。自分の体の名前とか、年齢とかをぶつぶつつぶやき始めました。 その内、周囲の人々が動揺しながら話している英語も理解できるようになってきて、少しだけ気分が落ち着きました。 不思議なものですね。 ただ、ほんと、離着陸している飛行機に光の効力が及ばなかったらしいっていうのが、不幸中の幸いですね。 回想おわり ありがとうございます。 広樹さんは、その時どのような感じでしたか? 広樹「光に包まれた時については主人と同じです。 全身の感覚が効かなくなった? 広樹「はい。それからしばらくしてふと気づいたら、誰かが私の手を握っているんです。 また、場所の移動はありませんでしたが、まるで周囲の者が巨大になったように感じました」 それで? 広樹「はい。それで・・・それで・・・」 アンナ「里香、大丈夫か?」 今回、この場でお話をお聞かせいただいているのは、あくまでも今後の決定の際の参考とするためです。 無理にお話しいただく義務は全くございませんので、その点はご心配に及びません。 広樹「・・・いえ、大丈夫です。それで、くちゅくちゅって音が頭の上からしたんです。」 それは一体、なんだったんですか? 「それで、何の音だろう、誰が私の手を握ってるんだろう、って気になって、その人物の顔を見たんです。そうしたらっ・・・!ううっ・・・!!」 決してご無理をなさらないようにお願いします。 広樹「ええ、大丈夫です。それで、その女性の手の持ち主を見ると・・・見ると、それは私でした。 『私』が、片手で私を掴みながら、もう片一方の手で自分の・・・パンツを脱がして、 それで・・・!」 大丈夫ですか?さ、先ほどから申し上げております通り、お帰りいただかれましても・・・ 広樹「いえ、続けさせてください!『私』は・・・その『私』は、自らの性器をぐちゅぐちゅと指で弄んでいたんですっ!!」 アンナ「里香、良かったのか・・・?」 広樹「ええ・・・もう、ここで気持ちの整理をつけないと」 くれぐれもご無理をなさらないようにお願いいたします。 広樹「はい。それで、一人でよがり声を挙げている『私』に対して、叫んだんです。 『やめてっ!!私の体に何をするのっ!!』って」 ・・・お聞きいたしましょう。それで、どうなりました? 以下、吉田 広樹さんおよび、吉田 里香さんの証言に基づく。 里香(?)「こ、これ、ホントに、女の体だ・・・手足はなんだか頼りないし、胸はでかいしペ○スがないし、女のアレがくっついてる・・・」 里香「い、いったい何が・・・あ、あれ?なんか、周りの者が大きく見えるような・・・?」 里香(?)「ほ、本物なのか・・・?さ、触ってみるか・・・?」 里香の姿をした何者かは、自らのスカートをなんとか片手で脱がすと、下着をも脱いで、あられもない姿を晒す。 里香(?)「あれ?どうして俺、スカートの脱がし方なんて知ってたんだろう?・・・ま、いいか。それよりも・・・」 里香(?)は、自らの生殖器官に指を突っ込むと、ぐちゅぐちゅと弄び始めた。 一方本物の里香は、その音に気付いて、里香(?)の方を向き、現状の一部を把握する。 里香(?)「ひゃうぅっ!!ああんっ!!こ、これ・・・本物だ!オレ、やっぱり女になってる!?」 里香「やめてっ!!私の体に何をするのっ!!」 里香(?)「あうっ・・・おお・・・ん?なんだ、この子供・・・?ひ、ろ、き・・・7歳?あれ、なんでオレ、こいつの事を、ふあっ!!知ってるんだ?」 里香「え・・・?広樹?あなた、広樹の事を知ってるのっ!?そうだ、広樹がいない!!広樹をどこにやったのっ!?」 里香(?)「な、何いってるんだ?おれの頭に浮かんできた広樹って奴の顔、お前にそっくり・・・あんっ!!双子かなんかか?早くっ!オレを止めてくれっ!!じゃないと、この人・・・」 里香「私が・・・広樹!?た、確かに私、広樹と同じ服を着てる・・・ そ、それに、広樹の記憶が頭に浮かんでくる・・・私の知らない幼稚園でのケンカとか、欲しいおもちゃの事とか・・・」 里香(?)「んっ!・・・んうっ・・・!お、おっぱいも、イイっ!!むにゅむにゅするぅっっ!! と、止まらない・・・!この体、止まらない!ダメだぁっ! ほんとに、入れ替わりだったら、あうっ!この、体の、ホントの、持ち主、里香さんにっ!申し訳がぁっ!!」 里香「私よっ!私が、里香よっ!!」 里香(?)「そ、そうなんですかっ!?なんか、止まんないっ!本当に、すみませんっ! 償いは何でも、ああうぅっっ!!しますからっ!それよりっ!!止めてえっっ!!」 回想終了 広樹「そのあと、後は足元に置いてあったバッグから手鏡を出して、自分の顔を見ました。 そのうち息子の記憶の共有が進み、自分が息子に、広樹になってるって確認しました」 そのほかに、何かお気づきになったことやなさった事は? 「私になった人に体当たりを行って何とか自慰行為をやめさせた後、周囲を見渡すと、 周りにいた人の6割ほどが老若男女や人種に関わらず、その人とほぼ同じ状態でした。 ご主人の証言と、ほぼ同じですね。 「私も・・・そうなんです。私をある意味犯した人と同じことをするのは気が引けましたが、 ズボンの中を覗き込んで、自分の体についている・・・その・・・『あれ』を手で触って確認しました」 ニーナ「え〜、ママ、僕のちんちん触ったの?」 広樹「あなただって、その体の人にそういうことしたんでしょ!?ホントにもう!!」 お辛かったでしょうね・・・ 「ええ、確かにあれは思い出したくはない出来事ではありますけど、私の体を使ってらした人が特別に異常なのではない、というのは空港内の様子やほかの方々の証言で分かりました」 アンナ「今はそういう事についてはお許しをいただいていますが、僕だってあの時、アンナさんにとても失礼なことをしてしまっていたかもしれません」 広樹「あの出来事については複雑な心境ですが、今では私と入れ替わった方とも仲直りをして、今では時々お茶を一緒にいただくまでになりました」 そうなんですか? 広樹「ええ、今では昔の私よりも女性らしい感じがしちゃって・・・あ、すみません。 私の話はこれでおしまいです。」 はい、大変ありがとうございます。 ニーナ「ねぇ〜、ようやく僕の番?僕もう帰りたいんだけど?」 はい。次はニーナさんの番ですね。 ニーナ「も〜、ゲーム持ってきたらよかったよぅ・・・」 長時間お話いただき、申し訳ありません。 ニーナ「うん、じゃあね、僕の話、するよ?僕ね、ママと一緒にいたら、突然ピカッ!って光で、眩しくってたまらなくなったんだ」 お父さんやお母さんと、同じですね? ニーナ「うん。それで、光が収まった時、トイレにいたんだ。それで、なんでこんなところにいるんだろう、って思ったんだ」 お続けください。 ニーナ「それでね、体を見ると、髪は青い色でなっがいし、ママみたいなおっぱいが体にくっついてるんだ。 おちんちんは無くなっちゃって、ママみたいに毛がたっぷり生えてるし・・・」 自分の体の変化に気付いたと。 ニーナ「うん。それで、うわあああぁっ!!て叫んだんだ。『なにこれ〜っ!!』って」 驚いたんでしょうね。 ニーナ「うん。ビックリしてたら、いきなりトイレのうんちする部屋・・・女の人はおしっこもするんだけど、その外にたくさん人が来たんだ。」 自分の体を確かめにきていたんですね。 ニーナ「たぶんね。それで、怖くてトイレの中で待ってると、いきなり頭にいろいろ浮かんできたんだ。 なんか、この女の人の顔とか名前とか、この人のダドとマムの事とか、どうしてこの空港に来たのかとか、いろいろ・・・」 記憶の共有が始まったんですね。 ニーナ「きょう・・?ねえ、難しい事は英語で言ってくれないと、僕わかんないよ・・・」 ああ、すみません。ニーナさんの思い出がわかってきたんですよね? ニーナ「うん。ブレインの中にあるメモリーが、僕のスピリットに流れ込んできたんじゃないかって思う」 なるほど。ほかにはどんな事を思い出しましたか・・・? ニーナ「ニーナさんの家の場所とか、インテリアとか、中学校でプログラミングの成績がトップだったとか・・・」 それで? ニーナ「大学でバイオロジーをラーニングしてドクターになったとか、日本にはスピーチのために来てたとか、 あ、そうだ、初めてセックスをした時の思い出とか・・・ママ、初めてってとっても痛いんだね。」 広樹「えっ!?私たちには、そんなこと思い出したって教えてくれなかったじゃない!?」 ニーナ「ご、ごめんなさい・・・でも、この人六人ぐらいの男の人とセックスしたらしいんだけど、エイズとかそういうタイプの危ない病気にはかかってないみたい。」 広樹「そういう問題じゃないでしょう!?まったくもう・・・」 ニーナ「だ〜って、どんなコスメティックで顔がきれいになるかとか、ナプキンの付け方とか、 大人のお姉さんの記憶はぜ〜んぶ勝手に頭の中に出てくるんだから、仕方ないじゃない。」 まあまあ、お二人とも落ち着いて。 それで、入れ替わり現象についてもお知りになられたんですね? ニーナ「うん。そういう事が起こるんだっていう新聞やテレビの記憶も、 ニーナさんの読んでた入れ替わりについてのジャーナルのメモリーもシェアされて、 僕の体と心にいったい何があったのか、大体わかったんだ」 ジャーナル?ですか? ニーナ「ええ〜っと、ジャーナルっていうのは、たしか、『ろんぶん』の事だよ」 あ、そうなんですね。ありがとうございます。 ニーナ「それで、ママもちょっとバラしちゃったから言うけど、 自分のヴァ○ナとかそういうエッチな所も、ちょっと触っちゃったんだ」 そ、そうなんですか。 ニーナ「うん。どうしたらいいのかはニーナさんのメモリーですぐにわかったよ。 それで、メモリーではすっごく気持ちいいってあるけど、 いったんどんな感じなのか、一度自分でもやってみたかったんだ」 そ、それで、どうなったんですか・・・? ニーナ「うん、それで、すっごく気持ちよくって、Oh!ひゃんっ!Ah!って声が出たんだ。 ニーナさんが昔出してた声と、僕が出す声と、どっちも出してたと思うよ。」 広樹「最初にこの話を聞いた時は、一瞬全身の力が抜けたのを覚えています。 でも、『よくよく考えれば、すぐ元に戻らないのであれば遅かれ早かれ直面する事態だ』 と主人に言われ、もうそういうものだと思うしかないと思いました。」 ニーナ「おっぱいも触ったら気持ちよくなるってメモリーもあったから、 試しに触ってみようかなって思ったんだけど、なんかビリビリっっ!!ってなって、 一応メモリー通りだったんけどなんか怖くなったから、途中でやめちゃった。」 広樹「あたり前です!まったくもう・・・」 そ、それでは、「現在の暮らしがどのように変化したか」というのを、 本日最後の質問とさせていただきます。 長時間お時間をいただいてしまいましたので、 この質問はアンナさんに代表してお答えいただいても、よろしいでしょうか? アンナさんの証言 自分は、今は高校生をやり直しています。 自分で言うのも照れ臭いですが、つまりは華の女子高生ですね。 入れ替わってしまった家庭には補助金が支払われているという事でしたので、 正直、入れ替わってすぐの時は、どうやって生活しようかと思ったので、ほっとしてます。 それで、英語のスキルと入れ替わる以前の仕事で得た知識を生かして、国立大学で薬学を学ぶために、受験勉強に励んでいます。 受験勉強の時には息子にも数学や生物学、化学の知識なんかを教えてもらっているので、少し照れ臭いと思う時もありますね。 学生生活なんてもう十年ぶりですし、学校のみんなにとってみてみれば白人の少女がいきなり転校してきた訳ですから、いろいろと勝手の違うこともありましたね。 最初は、自分と同じように思春期少女の体になってしまった人たちや性別も年齢も違う人間になってしまった少女たちとの交流が主でしたが、今では普通のクラスで多くの生徒たちと学んでいます。 すが、学問にクラブ活動に、とっても充実しています。(少し小声で)ここだけの話、可愛い女子高生達とも、スキンシップが図れたり、あんな事こんな事が一緒に出来ますし・・・ 彼女たち、貞操の危険がないなら、中身が男の人でも別に気にしない、ですって・・・逞しいですね・・・ この体の持ち主だったアンナさんは、燕尾服を着た中学生ぐらいの白人の男の子になってました。 柔らかいブロンドの髪をしょっちゅう整えながら、「勝ち組のかわいい男の子になれたのはいいけど、勉強に礼儀作法に、学ぶことが多すぎて大変だ」ですって。 その子の両親は無事だったそうですが、その理由は二人とも仕事にかかりっきりになっていて、その少年をSPさんだけつけて旅行に行かせていたからだそうです。 「自分はどちらかというとあまり生まれはよくなかったし、マムも家を留守にしがちだったから慣れっこよ。』とおっしゃっておられましたが、内心はちょっとさびしそうでした。 すると、『でも、今はこの子がいるから一人ぼっちじゃないわ』と言いながら、アジア人の少女・・・だいたい、小学校高学年ぐらいでしょうか、その子を連れてきました。 アンナさんの今の体の、元の持ち主の少年が入っているんだそうです。 『ぼくも僕の体でお兄ちゃんになったお姉ちゃんが出来て、うれしいよ』って言ってました。 あ、後、アンナさんは『高校ではけっこうセックスしたけど、たぶんヤバい病気にはかかってないから安心してね』ともおっしゃってましたね・・・向こうの女の子は日本人よりも積極的ていうのは聞いたことはありましたが、驚きました。 お風呂やトイレは仕方ないとしても、さすがに勝手に経験の有無なんて調べませんからね。あの時はビックリしましたよ。その後で一応検査を受けて調べましたが、どうやら大丈夫のようで、安心しています。 一番印象に残ったのは、『私はその体に未練はないわ。あなたがセックスなりなんなり好きに使ってちょうだい』って言っていただいて、肩の荷が下りたのを覚えてます。 でも、一番驚いたのは、私たち夫婦の体になってしまった人達が、 そのまま家族として生活している事でした。 私の体の中に入ってしまったのは、空港の売店でレジ打ちをしていたおばさんらしく、 『男になったのはともかく、若い体っていいわね』と言っています。 うだつの上がらないパートから正社員になれたって、喜んでましたね。 (ここで、広樹さんとニーナさんが会話に加わる) 広樹「私の体の中に入ってしまった男の人、就職活動が上手くいかなくって、 ずいぶん落ち込んでいらしたみたいなの。私の体になって、なんだか元気が出てきたって言ってました。それと、先日、私、そ、その人に・・・」 アンナ「その人に?」 広樹「その人に、私の体、好きに使ってくださいって、言ったんです。もちろん、元の体に戻ることを完全にあきらめたわけじゃありませんけど、でも、もう自分の物でもない体を、縛り付けてはおけません」 アンナ「そうか・・・」 広樹「あなたがアンナさんや息子の今の体にうつつを抜かしても、私の心はあなた一筋ですから」 アンナ「えっ!?おいおい、里香・・・」 広樹「うふふ。それで、私は今は、広樹のいた学校に通ってます。小学校が楽しくって」 ニーナ「んもう、ママはずるいよ、僕が学校で作るはずだった友達と一緒に、サッカーとかテレビゲームとかい〜っぱいやってるんだよ!?」 広樹「あなただって、私と一緒に通ってるじゃない?」 ニーナ「でも、クラスのみんなは入れ替わりの事ほとんどわかんないしさ。入れ替わった子の特別クラスだけだと、つまんないよ」 広樹「大人になって賢くなった子は、いじめが怖くてあんまり来ないのよね・・・」 アンナ「ここだけの話、私たちの今の体の事については、本気で悩んでいます。今はそりゃ、いいかもしれません。旅行先でも、家族全員で露天風呂に入れますし、女性の体についての悩みも、家族全体で共有できますし。 でも、十年・二十年経って、僕は「大人の男になった息子の体」を持つ妻と、夫婦という事になります。その時、自分や妻の心がどうなっているのか、正直、不安です。」 ニーナ「僕の体になってお父さんになっちゃったママと、アンナさんの体になってお母さんになっちゃったパパがセックスするの?」 アンナ「広樹っ!?お、お前は隣の部屋でテレビを見せてもらいなさい」 ニーナ「やだ!僕の心はまだ子供だけど、「ちのう」はニーナさんのメモリーでどんどん上がってるって、お医者さんも言ってたもん!」 アンナ「う、うん・・・そうだな。お前はもう、大人になっちゃったんだもんな・・・お前も一緒に聞いてくれ。実は、そうなるかも、っていう話なんだよ」 ニーナ「僕、いいよ。それで。パパとママがそれでいいんだったら。でも、もしパパが嫌なのにママがその気になったんだったら、僕がママをやっつけてあげる」 広樹「こら、広樹!そんなわけないでしょっ!」 ニーナ「えへへっ!でも、僕の体も、今の僕にとっては他人同士なんだよね・・・?おばさんになっちゃった僕が、昔の僕の体になったママを好きになっちゃう事、あるかもって思うと、ちょっと怖いかも・・・」 広樹「んもうっ!二人とも、そんな事にはならないわ!そうでしょう!?」 ニーナ「うん、そう思うよ。あ、そうそう、さっきの『ちのう』が上がってるっていうのは、ホントだよ。お医者さんもそうだし、会いに来てくれたニーナさんもそう言ってたもん!」 アンナ「ああ、ニーナさん、か・・・」 ニーナ「うん。なんか、白髪がちょっとある白人のおじさんになってたけど、 『今の自分をはねのけるために』って、元気いっぱいだったよ」 広樹「・・・・」 ニーナ「でもね、なんだか最初はかわいそうだったけど、今は僕と二人で、ラボでいろいろ便利な発明するために頑張ってて、ホントの意味で元気になった感じだよ」 アンナ「そうだったのか・・・良かった・・・」 ニーナ「ニーナさん、今でも結構悔しいと思ってると思うけど、でも、くよくよしないって感じだったよ。自分の力で元に戻ってやるっ!!て感じかなあ?」 アンナ「広樹も、その研究手伝ってるんだろう?パパもママも、正直本気で期待してるぞ!」 ニーナ「うん!まかせといて!・・・それよりパパ、今度また、二人でお風呂入ろうね?」 広樹「な〜ん〜で〜すってぇ〜?」 アンナ「こら、広樹、その話は内緒だっていっただろう!?」 広樹「あなたっ!?まさか、私たちの息子の体に何かするようなことがあったら・・・」 ニーナ「パパはそんなことしないよ!頭とか背中をちゃんと洗ってくれるだけだよ、ママ。・・・たまに体を洗ってくれたりとか、僕の体を見て時々にやけてる時もあるけど」 広樹「今度から、お風呂はできるだけ家族三人で入りましょ」 アンナ「はいはい、わかりましたよ・・・」 はは・・・(苦笑) それではこのあたりで、本日は終了とさせていただきます。 長時間お時間を頂き、誠にありがとうございました。 アンナ「ありがとうございます。また何か相談させていただくことも出てくるかもしれませんが、その時はまたどうぞよろしくお願いします」 こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。 ニーナ「おじさん、またね!バイバーイ!」 さようなら、もう外も暗くなっておりますので、お帰りの際は、お気を付けてお帰りください。 広樹「そうだ、この場で写真を撮っていかない?」 アンナ「えっ!?ここでかい?ほんとに里香は写真が好きだなあ・・・」 広樹「いいじゃない、減るもんじゃないんですし」 それでは私がシャッターを・・・ 「できればあなたも写真の中に入ってくださらない?」 わかりました。では、この机の上にカメラを置いて、タイマーは・・・こうですかね? それでは、写真を撮ります。・・・はい、ちゃんと撮れてますか? 「ちゃんと撮れているようです。本当にありがとうございました」 いえいえ、それよりも、先ほども申しましたが、お帰りの際は、お気を付けください。 以上で、証言記録ケース1は終わりである。 その際にとられた写真の、コピーを入手することに成功した。 どこかの会議室と思しき場所にて、「流行よりも実用性を重視した小ざっぱりとした服を着た白人の少女」、「子供用のスーツを上下着て、大人びた表情をしている日本人の少年」、「ボーイッシュな服に女性向けのスラックスズボンを履いており、無邪気な表情をした青い髪の大人の白人の女性」、そして「聞き手と思われるサラリーマン風の男」が全員笑顔で一緒に写っている。 この証言記録の真贋の裏付けを行う過程で入手したものである。 また、その際にその後の追跡調査を行い、この証言記録が本物であるという確認とともにアンナ・ジョンソン(仮名)氏が某国立大学薬学部への合格を果たしたということ、この家庭には今のところ離婚や家庭内暴力の兆候や存在は確認されていないという事、現在吉田 慶介(仮名)氏になっている人物と現在吉田 里香(仮名)氏になっている人物の間に元気な男児が誕生した事も判明したので、併せて記しておこう。 |
(記録者:どせいさん) |