パターン1 集団入れ替わり
ケースその1



第2話

広樹さんは、その時どのような感じでしたか?
広樹「光に包まれた時については主人と同じです。
全身の感覚が効かなくなった?
広樹「はい。それからしばらくしてふと気づいたら、誰かが私の手を握っているんです。
また、場所の移動はありませんでしたが、まるで周囲の者が巨大になったように感じました」
それで?
広樹「はい。それで・・・それで・・・」
アンナ「里香、大丈夫か?」
今回、この場でお話をお聞かせいただいているのは、あくまでも今後の決定の際の参考とするためです。
無理にお話しいただく義務は全くございませんので、その点はご心配に及びません。
広樹「・・・いえ、大丈夫です。それで、くちゅくちゅって音が頭の上からしたんです。」
それは一体、なんだったんですか?
「それで、何の音だろう、誰が私の手を握ってるんだろう、って気になって、その人物の顔を見たんです。そうしたらっ・・・!ううっ・・・!!」
決してご無理をなさらないようにお願いします。
広樹「ええ、大丈夫です。それで、その女性の手の持ち主を見ると・・・見ると、それは私でした。
『私』が、片手で私を掴みながら、もう片一方の手で自分の・・・パンツを脱がして、
それで・・・!」
大丈夫ですか?さ、先ほどから申し上げております通り、お帰りいただかれましても・・・
広樹「いえ、続けさせてください!『私』は・・・その『私』は、自らの性器をぐちゅぐちゅと指で弄んでいたんですっ!!」
アンナ「里香、良かったのか・・・?」
広樹「ええ・・・もう、ここで気持ちの整理をつけないと」
くれぐれもご無理をなさらないようにお願いいたします。
広樹「はい。それで、一人でよがり声を挙げている『私』に対して、叫んだんです。
『やめてっ!!私の体に何をするのっ!!』って」
・・・お聞きいたしましょう。それで、どうなりました?

以下、吉田 広樹さんおよび、吉田 里香さんの証言に基づく。
里香(?)「こ、これ、ホントに、女の体だ・・・手足はなんだか頼りないし、胸はでかいしペ○スがないし、女のアレがくっついてる・・・」
里香「い、いったい何が・・・あ、あれ?なんか、周りの者が大きく見えるような・・・?」
里香(?)「ほ、本物なのか・・・?さ、触ってみるか・・・?」
里香の姿をした何者かは、自らのスカートをなんとか片手で脱がすと、下着をも脱いで、あられもない姿を晒す。
里香(?)「あれ?どうして俺、スカートの脱がし方なんて知ってたんだろう?・・・ま、いいか。それよりも・・・」
里香(?)は、自らの生殖器官に指を突っ込むと、ぐちゅぐちゅと弄び始めた。
一方本物の里香は、その音に気付いて、里香(?)の方を向き、現状の一部を把握する。
里香(?)「ひゃうぅっ!!ああんっ!!こ、これ・・・本物だ!オレ、やっぱり女になってる!?」
里香「やめてっ!!私の体に何をするのっ!!」
里香(?)「あうっ・・・おお・・・ん?なんだ、この子供・・・?ひ、ろ、き・・・7歳?あれ、なんでオレ、こいつの事を、ふあっ!!知ってるんだ?」
里香「え・・・?広樹?あなた、広樹の事を知ってるのっ!?そうだ、広樹がいない!!広樹をどこにやったのっ!?」
里香(?)「な、何いってるんだ?おれの頭に浮かんできた広樹って奴の顔、お前にそっくり・・・あんっ!!双子かなんかか?早くっ!オレを止めてくれっ!!じゃないと、この人・・・」
里香「私が・・・広樹!?た、確かに私、広樹と同じ服を着てる・・・
そ、それに、広樹の記憶が頭に浮かんでくる・・・私の知らない幼稚園でのケンカとか、欲しいおもちゃの事とか・・・」
里香(?)「んっ!・・・んうっ・・・!お、おっぱいも、イイっ!!むにゅむにゅするぅっっ!!
と、止まらない・・・!この体、止まらない!ダメだぁっ!
ほんとに、入れ替わりだったら、あうっ!この、体の、ホントの、持ち主、里香さんにっ!申し訳がぁっ!!」
里香「私よっ!私が、里香よっ!!」
里香(?)「そ、そうなんですかっ!?なんか、止まんないっ!本当に、すみませんっ!
償いは何でも、ああうぅっっ!!しますからっ!それよりっ!!止めてえっっ!!」
回想終了

広樹「そのあと、後は足元に置いてあったバッグから手鏡を出して、自分の顔を見ました。
そのうち息子の記憶の共有が進み、自分が息子に、広樹になってるって確認しました」
そのほかに、何かお気づきになったことやなさった事は?
「私になった人に体当たりを行って何とか自慰行為をやめさせた後、周囲を見渡すと、
周りにいた人の6割ほどが老若男女や人種に関わらず、その人とほぼ同じ状態でした。
ご主人の証言と、ほぼ同じですね。
「私も・・・そうなんです。私をある意味犯した人と同じことをするのは気が引けましたが、
ズボンの中を覗き込んで、自分の体についている・・・その・・・『あれ』を手で触って確認しました」
ニーナ「え〜、ママ、僕のちんちん触ったの?」
広樹「あなただって、その体の人にそういうことしたんでしょ!?ホントにもう!!」
お辛かったでしょうね・・・
「ええ、確かにあれは思い出したくはない出来事ではありますけど、私の体を使ってらした人が特別に異常なのではない、というのは空港内の様子やほかの方々の証言で分かりました」
アンナ「今はそういう事についてはお許しをいただいていますが、僕だってあの時、アンナさんにとても失礼なことをしてしまっていたかもしれません」
広樹「あの出来事については複雑な心境ですが、今では私と入れ替わった方とも仲直りをして、今では時々お茶を一緒にいただくまでになりました」
そうなんですか?
広樹「ええ、今では昔の私よりも女性らしい感じがしちゃって・・・あ、すみません。
私の話はこれでおしまいです。」
はい、大変ありがとうございます。
ニーナ「ねぇ〜、ようやく僕の番?僕もう帰りたいんだけど?」
はい。次はニーナさんの番ですね。
ニーナ「も〜、ゲーム持ってきたらよかったよぅ・・・」
長時間お話いただき、申し訳ありません。
ニーナ「うん、じゃあね、僕の話、するよ?僕ね、ママと一緒にいたら、突然ピカッ!って光で、眩しくってたまらなくなったんだ」
お父さんやお母さんと、同じですね?
ニーナ「うん。それで、光が収まった時、トイレにいたんだ。それで、なんでこんなところにいるんだろう、って思ったんだ」
お続けください。
ニーナ「それでね、体を見ると、髪は青い色でなっがいし、ママみたいなおっぱいが体にくっついてるんだ。
おちんちんは無くなっちゃって、ママみたいに毛がたっぷり生えてるし・・・」
自分の体の変化に気付いたと。
ニーナ「うん。それで、うわあああぁっ!!て叫んだんだ。『なにこれ〜っ!!』って」
驚いたんでしょうね。
ニーナ「うん。ビックリしてたら、いきなりトイレのうんちする部屋・・・女の人はおしっこもするんだけど、その外にたくさん人が来たんだ。」
自分の体を確かめにきていたんですね。
ニーナ「たぶんね。それで、怖くてトイレの中で待ってると、いきなり頭にいろいろ浮かんできたんだ。
なんか、この女の人の顔とか名前とか、この人のダドとマムの事とか、どうしてこの空港に来たのかとか、いろいろ・・・」
記憶の共有が始まったんですね。
ニーナ「きょう・・?ねえ、難しい事は英語で言ってくれないと、僕わかんないよ・・・」
ああ、すみません。ニーナさんの思い出がわかってきたんですよね?
ニーナ「うん。ブレインの中にあるメモリーが、僕のスピリットに流れ込んできたんじゃないかって思う」
なるほど。ほかにはどんな事を思い出しましたか・・・?
ニーナ「ニーナさんの家の場所とか、インテリアとか、中学校でプログラミングの成績がトップだったとか・・・」
それで?
ニーナ「大学でバイオロジーをラーニングしてドクターになったとか、日本にはスピーチのために来てたとか、
あ、そうだ、初めてセックスをした時の思い出とか・・・ママ、初めてってとっても痛いんだね。」
広樹「えっ!?私たちには、そんなこと思い出したって教えてくれなかったじゃない!?」
ニーナ「ご、ごめんなさい・・・でも、この人六人ぐらいの男の人とセックスしたらしいんだけど、エイズとかそういうタイプの危ない病気にはかかってないみたい。」
広樹「そういう問題じゃないでしょう!?まったくもう・・・」
ニーナ「だ〜って、どんなコスメティックで顔がきれいになるかとか、ナプキンの付け方とか、
大人のお姉さんの記憶はぜ〜んぶ勝手に頭の中に出てくるんだから、仕方ないじゃない。」
まあまあ、お二人とも落ち着いて。
それで、入れ替わり現象についてもお知りになられたんですね?
ニーナ「うん。そういう事が起こるんだっていう新聞やテレビの記憶も、
ニーナさんの読んでた入れ替わりについてのジャーナルのメモリーもシェアされて、
僕の体と心にいったい何があったのか、大体わかったんだ」
ジャーナル?ですか?
ニーナ「ええ〜っと、ジャーナルっていうのは、たしか、『ろんぶん』の事だよ」
あ、そうなんですね。ありがとうございます。
ニーナ「それで、ママもちょっとバラしちゃったから言うけど、
自分のヴァ○ナとかそういうエッチな所も、ちょっと触っちゃったんだ」
そ、そうなんですか。
ニーナ「うん。どうしたらいいのかはニーナさんのメモリーですぐにわかったよ。
それで、メモリーではすっごく気持ちいいってあるけど、
いったんどんな感じなのか、一度自分でもやってみたかったんだ」
そ、それで、どうなったんですか・・・?
ニーナ「うん、それで、すっごく気持ちよくって、Oh!ひゃんっ!Ah!って声が出たんだ。
ニーナさんが昔出してた声と、僕が出す声と、どっちも出してたと思うよ。」
広樹「最初にこの話を聞いた時は、一瞬全身の力が抜けたのを覚えています。
でも、『よくよく考えれば、すぐ元に戻らないのであれば遅かれ早かれ直面する事態だ』
と主人に言われ、もうそういうものだと思うしかないと思いました。」
ニーナ「おっぱいも触ったら気持ちよくなるってメモリーもあったから、
試しに触ってみようかなって思ったんだけど、なんかビリビリっっ!!ってなって、
一応メモリー通りだったんけどなんか怖くなったから、途中でやめちゃった。」
広樹「あたり前です!まったくもう・・・」
そ、それでは、「現在の暮らしがどのように変化したか」というのを、
本日最後の質問とさせていただきます。
長時間お時間をいただいてしまいましたので、
この質問はアンナさんに代表してお答えいただいても、よろしいでしょうか?

(第3話に続く)

(記録者:どせいさん)