「わらしべ長者?」
作 ラルフ


俺は昔、ただのサラリーマンとして働いていた。
そう、ごく一般の社会人だ。
だが今はなぜかストーカー行為に明け暮れる日々・・・なぜかって?
そりゃ「君、明日から来なくていいから」という会社の上司からの
いきなりのクビ宣言にはもうどうしようもない。
この後の人生、どうやって生きていこうかなーと考えながら家に帰っている途中、
俺は一本のストロー・・・それも未開封のもの・・・を見つけた。
どうせ誰も拾わないのなら拾ってやるか
とふと思った俺は、そのストローを拾い帰宅した。

次の日、ネットでバイトを探してみたが、良い職はなかなか見つからない。
とりあえず、昼飯を買いに近所のコンビニに行こうと外に出たとき
近所の子が「工作使うストロー落としたんですけど、持ってませんか?」って
まるで俺がストローを持っていることを知っているかのように
的確に聞いてきた。
それで、とりあえずその子に昨日拾ったストローを渡した。

子供からお礼がもらえるわけでもないのに、
何となく何か起きないかを期待しつつ昼ごはんを食べていると
「すいません、先ほどは息子の落し物を拾っていただいてありがとうございました」
と声をかけられた。
こんなことってあるんだな、親が来るとは。
「こんなものでよかったらどうぞ。古いですけど」
と俺のストローを受け取ると、その女性は俺に紙袋を差し出した。
「別にいいですよ」といいつつも貰っておく。
だが何が入ってるんだ?

子供の親が帰った後、もらったお礼の品物を見てみると、何やら見たことない食べ物だった。
何だこれ? こんなものあるのか?
俺が知らないのは、俺が遠出しないからなのか?
まあ、とりあえずこれをデザート代わりににでも
た べ て



「ふぁ〜よくねた」
ん?なんだこのこえ、まるで幼児のよう・・・って
「なによこれぇぇ」
体どころか服装までもが変わってる。
スモック? だっけ。こんな服初めて着る、いや、前から着てた? 
だって、わたしそろそろ幼稚園に行く時間
あれ? なんでこんな記憶あるんだ?
いや、むしろ前の記憶が思い出せない。
わたしってだれだっけ・・・
「まぁいっか、あの子が待ってるんだから、早くいかなくちゃ」

早くこの体に慣れよう。それがまず、大事だ。