浦島伝説
作:ラルフ


むかしむかし、浦島というどこをとっても悪いところのない、とても良い青年がいました。
ある日、浦島は暇なので海に泳ぎにいきました。すると浜辺の方から悲鳴がするではありませんか!
浦島は気になり近づいて見ると、3、4人の男が亀を虐めています。
浦島はとっさに男達に向かって「止めないか」と叫びましたが、男達は動きを止めるどころか、より激しく進む一方です。
仕方ない、と浦島は思い男達を気絶程度に攻撃しました。
とはいっても、浦島もその分体力を消耗しましたが、亀を助けられたことに変わりはないと満足していました。
すると亀の体が突然、その亀の姿からは予想もつかない美少女に変化してしまったのです。
「助けてくれて・・・ありがとう・・・これ・・」
亀はそういうと、手紙とここらへんでは見た事のない薬を浦島にくれました。

亀を助けた浦島は、予定が遅れたと思いつつも釣りに行こうとしました。
が、途中で先ほど助けた亀に呼び止められ、その話を聞くことになったのです。

亀の話によると、今までこの浜辺周辺で個人的にライブイベントをしていたらしいのですが、浜辺の大半を占領してとても下手な歌を3時間ほども歌っていた為、聞いていた人々が怒って亀を攻撃したというのです。
これはさすがに亀が悪いと浦島は思い、亀の頭を叩きました。
亀は案外素直で「これからは一生あのような事はしません」と言い海へ帰って行こうとしてたが、急に立ち止まると浦島に向かって「ところで竜宮城に興味ありませんか?」と言いました。
「確か竜宮城は・・・」
場所からいろいろ説明をする浦島に向かって、亀は言いました。
「声だしてますよー、それといくんですね。分かりました、それではこの薬を飲んでください。これは海の中にある竜宮城に人間が行けるように、呼吸機能を一時的に変える薬です」
急に話を進められてあたふたしている浦島ですが、彼もだんだん行く気になり、亀から薬をもらうとその薬を飲みました。
「それでは竜宮城へ出発!」
亀の妙なテンションを気にせず、浦島は竜宮城へ出発したのです。

浦島は、亀と話しながら竜宮城へ行きました。
竜宮城はそれは綺麗で、踊っている方や料理など申し分ないものでした。
楽しんでいると時間を忘れそうなほど浦島は良い気分でした。
ふと、浦島は踊り子に対して「私は用事があるので帰ってもいいですか?」と聞いてみました。
すると、踊り子は「なに言ってるんですか? あなたはここでわたしたちが踊り子として育てるんですから」と答えるではありませんか。
なにやら話がおかしいと思った浦島は、ふと亀が竜宮城へ行くときに自分のことを女性、それも子供のような扱いをしていたことに気づきました。自分の体を見てみると服装がいつも着ているボロボロの服ではなく竜宮城の踊り子の子供用といっていい服に変わっています。
「実は今まで飲んだり食べたりしたものにはあなたの脳の中まで幼稚にする食材があるのよね、でも心配しないで。記憶は消えないから、消えずに一部分だけ徐々に変わっていくとても面白い食材なの!」
料理長が自慢げに言うその前で「なんでそんなの入れたの?」と思ったことを口に出すと、その台詞は小さい子が聞くような発言になってしまいます。
口元を抑える姿を見て料理長と踊り子たちは「かわいい」っと抱きついたり頭を撫でたりしました。
「ここで俺、いや、わたしは踊り子として頑張るのか・・・」という浦島の残念な気持ちと、周りの「新しい人が増える」という喜びが交錯する中、「浦島さんを捕まえました」と、どこか遠い人に電話をしている亀だけが周りとは違う空気をだしていました。

「っで、あの時亀を助けたから今の私がいる訳だが」と懐かしむように話す浦島。
その浦島も今では踊り子一位の座を手に入れています。
「今日はどんな客が来るのかしら?」と、暇そうに竜宮城周囲を見渡していると、亀が客を連れてきたらしく「いらっしゃい、こんなとこは初めてかしら。今日はあなただけに特別サービスしてあ・げ・る」
「///」
「まあまあ、恥ずかしがらずにいらっしゃいな。今日という日をあなたにとっていい日にしましょう」
「は、はい」


(おしまい)