梓舞(あずさまい)
作:Necro


二人の姉妹が帰り道の途中、突然太った男に通せんぼされた。

梓は舞を庇いながら叫んだ。
「な、何よ!」
太っていて呼吸の荒い男が近寄ってくる。
「ふぅ・・・ま、舞ちゃん・・・」
梓は男に蹴りを入れた。、
「あっちいけ!!」
蹴りのせいで、男はバランスを崩すと梓に倒れ掛かってきた。
「う・・・うああ・・・・」
「いやああ!!」



「はぁ・・・あ・・・あれ?」
「いた・・いたた・・・」
梓が気が付いて周りを見回すと、男は居なかった。
舞は背中を打ったらしく、背中を手でさすりながら起き上がった。
「大丈夫?舞」
「うん・・・ありがとうお姉ちゃん・・・・」

急いで二人は家に帰る。
舞は歩きにくそうに家の中を狭い歩幅で歩き、痛みで顔をゆがめていた。

「梓姉ちゃん」
「どうしたの?舞」
「背中が痛いの・・・さすって・・・」
「うん」
舞のパジャマの上を巻くり上げると、
彼女の背中はわずかに赤くなって、全体的に腫れているようにも見えた。
「どうしたの舞。そんなに強く背中打ったの?私が庇ってあげたのに・・・」
「分からない、突然痛くなったの」
「さするよ?いい?」
「うん」
舞の背中を両手でマッサージしてあげる。
「お姉ちゃん、ありがとう。少し痛みがひいてきた。今日はもういいよ、ありがとう」
「そう?無理しないでね、お休み」
「お休み」

次の日、舞の悲鳴で起きた。
「いたああ!!」
慌てて舞の部屋へ向かう。
「お、お姉ちゃん・・・」
「舞?舞!!」
慌てて舞にかけよる。
舞は左手で自分の背中を指差そうとする。
「背中?背中がまた痛くなったの?」
顔をしかめ、口を開けられないほど痛がる舞。
「今、さすってあげるからね」
そう言って梓が舞のパジャマをたくしあげると、舞の背中に異変が起きていた。
「な、何これ・・・」
舞の背中の皮膚に裂け目が出来、そこから皮膚がめくれ、内側からより白い皮膚が盛り上がって来ている。
「う、うあああ!!」
舞が両手で梓の体を掴み、叫ぶと、ますます背中の皮膚がめくれ上がり、裂け目が背筋に沿って縦に伸びる。
「ま、舞・・・」
とうとう、裂け目が大きく穴状になると、舞の体の中からずぼっと別の体が抜け出る。
「ぷはっ・・・・」
舞の中から出てきたのは、背の小さい小太りの男・・・見た目は 30歳ぐらいの男。
「な・・・舞なの?」
小太りの男が、梓を見て口を開く。
「お姉ちゃん?わ、私どうな・・・って・・・」
舞の声は、完全に男の声だった。
ぱさっと、抜け殻になった舞の全身が剥がれ落ちる。
「あ、貴方誰・・・」
「え・・・え?私・・・舞・・・」
そう言いながら、舞が自分の体を見下ろすと、ぼてっとした腹。
女の子の体と違い、ごつごつした体型が見え、股間には女の子には無い棒状の物がびんびんと立っている。
「ひぃっ!?な、何これっ!!こ、声も・・・・」
「貴方・・・舞なの?・・・舞なの?」
「お姉ちゃん!?な、何これ、分からない。助けて、助けてお姉ちゃん」
舞・・・だった・・・今は小太りの男が立ち上がり、抜け殻の舞の体を踏みつけて梓に近寄ってくる。
「や・・・ま、待って・・・舞・・・落ち着いて・・・!!」
「やああああ!!」
小太りの男は梓に覆い被さるように、抱き付き押し倒した。
「お姉ちゃん!!私・・・舞!舞なの!!私も何が起きたのか・・・!信じて!!」
「お、落ち着いて!舞!落ち着いて!」
「お姉ちゃんお姉ちゃん!」
「落ち着いて!舞!!」
「は・・・はぁ・・・はぁ・・」
「舞・・・・貴方が舞だって信じるから、ね?とりあえず・・・私の上から降りて、ね。逃げないから。信じるから」
「う・・・・うぇええ・・・」
小太りの男は目を潤ませ泣きそうになりながら、梓の体から離れた。
「落ち着いて、舞。部屋の外に絶対出ちゃダメよ。他の人には信じて貰えないと思うから」
「うええ・・・お姉ちゃん・・・・お姉ちゃん・・・・」
「どうしてこんな事に?」
「分からない、分からないよぅ・・・」
梓は抜け殻になった舞の体を手に取った。
パジャマがまだ抜け殻にくっついてる。
抜け殻の中身は空洞だ。
目玉や口、鼻穴の部分は穴が開き、背中には大きく裂け目がある。
抜け殻を両手にとって、ばっと広げると、そこには何時も見ていた舞の姿があった。
「それ・・・私の体・・・?」
後ろから声が聞こえた。
「うん・・・舞の体・・・」
「私、ここから出てきたの?」
「そう・・・・」
「・・・・そこから出てきたってことは・・・・また入れるかなぁ・・・」
「ど、どうだろ・・・」
「試していい?」
「ええ」
梓は小太りの男に舞の抜け殻を手渡した。
男は、ぐすぐすと鼻を鳴らしながら舞の抜け殻を着始める。
「うう・・小さいよぅ・・・」
小太りの男は背が小さいとは言え、女の子よりは全然身長がある。
体型も舞とは全然違う。
舞の抜け殻を着ようと何回も試みるが、中々体が入らない。
「私も手伝う」
梓がそう言って、男の体をぐいぐいと足で押しながら舞の抜け殻の中に入れようとした。
1時間は経っただろうか、梓も男も諦めて舞の抜け殻を放り投げた。
「私・・・・この後どうなるんだろう・・・」
「大丈夫、私が、私が守ってあげるから。どんな姿だろうと関係無い。舞は私の妹なんだから」
「お姉ちゃん・・・ありがとう・・・」
「・・・・・」
「ね・・・ねえ・・お姉ちゃん・・・」
「ん?」
「お姉ちゃんなら・・・・私の体着れるんじゃないかなぁ・・・・」
もう一度、男は舞の抜け殻を手に取り、それを梓に手渡した。
「わ・・・私?」
「うん・・・身長もそんなに離れてないし・・・体型も・・・・」
「でも・・・」
「私が・・・どんな姿だったのか・・・・もう一度見てみたい・・・・」
舞のその言葉を聞いて、梓は胸が苦しくなった。
「うん・・・着てみるよ・・・」
「ありがとう・・・お姉ちゃん・・・」
梓は舞の抜け殻を手に取ると、両足を入れた。
元舞の・・・今は男の姿になってしまった舞の時とは違い、簡単に体は入っていった。
両足をいれ、腰の位置を合わせ、両手を入れ、上半身を着込んだ・・・。
「凄い・・・お姉ちゃん・・・ぴったりだよ・・・」
「あとは・・・」
そう言って、梓は目の前にだらんと垂れ下がっている舞の頭を見た。
「お姉ちゃん・・・」
「うん、着るね」
梓は舞の頭を手に取り、自分の頭に被せた。
中は・・真っ暗だ・・・。
舞の頭を左右とずらして、目鼻の位置を調整する。
「あっ・・・」
外の光が見えたと思ったら、違和感無く梓の頭は綺麗に舞の頭に被さった。
「私・・・私だ・・・」
舞だった男は、ぱぁっと笑顔を見せる。
「わ・・私が・・・」
「お姉ちゃん・・・」
顔を上げると、男がぐっと顔を寄せてきた。
「ま・・舞・・・」
「ううん・・・今は、お姉ちゃんが舞だよ・・・」
男は、梓の体をぐっと押し倒した。
「ひっ!?ま、舞っ!?」
「ああ・・舞ちゃん・・・舞ちゃん・・・」
男は舞の名前を繰り返しながら、梓の・・・今は舞の体に抱きついている。
「舞っ!?ねえっ!!舞!!」
「私の・・・私の・・!!舞ちゃん!!」
「ひぃ!!」
男は自分のペニスを右手で持つと、それを梓の股間に当てた。
「いや!!舞止めて!!」
「舞ちゃん!舞ちゃん!!」
ず・・ずぶっ・・・・。
「いやあああああ!!!!」
「舞ちゃん!!舞ちゃん!!」
ぱんぱんと、男は上下運動を繰り返し、全身を梓の・・・舞の体にぶつけた。
「ひいっ!?」
梓は人の手でどうにもならない地震を連続で味わっている気分に陥った。
「や・・・・めて・・・・舞・・・・」
「舞ちゃん!舞ちゃん!!私の舞ちゃん!!」
「舞・・・・違う・・・・貴方が舞・・・・ひぐっ!?」
男が梓の腰を両手で持ち、奥深く挿入してきた。
「ひいいい!!??」
何が起きたのか分からず、梓は叫んだ。
「はぁああ・・・舞ちゃん・・・舞ちゃん・・・」
男が舌を出しながら、梓の唇をべろべろと舐めだした。
「いやああ・・・・・やめてえ・・・・お願い・・・・」
「うっ!」
男が叫んだ。
最初梓はそれが何か分からなかった。
「何っ!?・・・・い・・いやあああああ!!!」
液体が注ぎ込まれる。
男の欲望が、梓の体の中に。
「あ・・・抜いて!抜いてええええ!!」
熱い物が体を支配して行く。
熱い・・・ただ熱い・・・。
「ひ・・・ひぐ・・・ま・・舞ぃ・・・」
涙を流しながら、梓の気は遠くなっていった。



「う・・・うあ・・・」
梓が目を覚ますと、自分の体に自分を犯した男が被さっていた。
「いやああ!!」
思わず、梓が男の顔を平手打ちすると、ずるっと男の体がずれてどさっと床に落ちた。
「は・・・はぁ・・・・はぁ・・・」
上半身を起こすと、ごぽっと股間で音がし、白い液体がどろどろと流れ落ちてきた。
「う・・うう・・・・」
手の届く場所にあったティッシュを手に取り、白い液体を拭いて行く。
「ま・・・舞・・・・もうこんな事しないでよ・・・・」
まだ寝てるのか、動かない男の体に向かって梓は言った。
そして梓は絶句した。
「なっ・・・」
男の体の背中に穴が開いていた。
舞の抜け殻のように、背中が裂けていた。
「ま・・・舞っ?」
「どうしたの?」
後ろから声がした。
驚いて梓が振り返る。
「どうしたの?」
「あ・・・ああ・・・!!」
そこには梓が立っていた。
紛れも無い、梓の姿をした女。
「どうしたの?舞・・・」
「ま、舞って・・・」
「ふふ、冗談。お姉ちゃん、舞の抜け殻着たでしょう?」
はっと気がついて、梓が背中に手をやると、裂け目は消えていて、舞の皮膚に梓は閉じ込められていた。
「舞なの・・・?」
「うん」
「どうして・・・」
「分からないよ。その男の皮を脱いだら、お姉ちゃんの体だったの。どうしてだろう?私、本当に舞なのかな?」
そう言って、梓の姿の女はニコニコして言った。
「お姉ちゃんは、本当にお姉ちゃんなのかな?」
「何を言って・・・」
「実は私が梓で、貴方が舞かもよ」
「違う!そんなことない!舞!元に戻してよ!」
「そんな事言われても・・・・」
「何がどうなって・・・」
「ね、だから今から私が梓で。貴方が舞。分かった?」
「そんな!!」
「もー、お互いこの姿なんだからしょうがないよ」
くすくすと梓の姿の女は含み笑いをする。
舞はこんな子だったろうか・・・・、違和感が・・・・。
「ねぇ・・、舞・・・」
梓の姿の女は、舞の姿の梓にしな垂れかかってきた。
「舞・・・お姉ちゃんと遊ぼ・・・・」
「やめて・・・舞・・・。もうやめてよ・・・」
「もー、貴方が舞なんだよ」
「だからこれは舞の抜け殻を着てるから・・・」
「分かんないかなー」
そう言って梓の姿の女が舞の姿の梓の背中に手を当てると、どうやってか切れ目を入れた。
「え?」
空気が皮膚と皮の間に入ってくるのが分かる。
女がべりべりと、舞の皮を剥すと、中から梓が出てきた。
「ぷは・・・は・・・剥がれた・・・」
「でもね、これで終わりじゃないの」
「え・・?」
女がもう一度、梓の背中に手をやり切れ目を入れると、再び皮がべろんと剥がれた。
「う、嘘!?嘘でしょ!?」
「嘘じゃないよ」
女が梓の皮を掴み、強引にそれを剥ぎ取って言った。
べりべりべり・・・・。
梓の皮の中から出てきたのは、舞だった・・・。
「ど・・・どうゆうこと・・・」
「簡単。舞は舞の体の上に梓の皮を着ていたの。そして貴方は自分が梓だと思い込んでた。それだけ」
「じゃ、じゃあ・・・」
「そう、私が本物の梓。この体、梓の体の上に男の皮を着て、さらに舞の皮を着ていたの」
「何でそんな事が・・・分かるの・・・、それにどうやって皮を切って・・・」
「ああ、それね。男の皮を脱いだ時に記憶が戻ったの」
「記憶・・・?」
「そっ。私が男の快感を味わっていた記憶」
「どうゆう・・・」
「ある日、私は見知らぬ男に男の皮を着させられた。そして男は私の皮を被った。
私は嫌がっていたけど、私の皮を着た男と何度も何度も気が遠くなるほどセックスした。その内、その快感を覚えていった。
そこである日、男から提案を受けたの」
にんまりと梓は笑い、舞を見た。
「その男の人は言ったの。お前の妹の皮が欲しいってね。俺がお前の妹になってやるってね。私は直ぐ承諾した。
なぜなら、もうその男無しでは私生きていけないぐらい快感に浸っていたから。
それに、男の皮を着ている内に、私はその男の考え方にどんどん近付いて行ったの。皮に影響されたのかな。
ある日、私の姿をした男は、貴方と一緒に帰り道一緒に帰った。
そしたら、変な太った男の人がやってきたでしょう?それが私。
その後、記憶を無くしたのは私も貴方も同じ。
その時、私の姿をした男は貴方から皮をとって、私に被せた。
そして私の皮を、貴方に被せたの。
どうやったのか知らないけど、私が自分を舞と思い、貴方が自分を梓と思うほど、強い記憶の操作をしたみたい。
でも、良い快感だった。こんなことめったに体験できないことだから。
その記憶を、私は男の皮から抜け出してきた時に思い出したの」
舞は、手足をがくがくさせて、梓を見た。
「私はまだあの男の人と一緒に生きて、もっともっと楽しい目に会いたい。
次はどんな快楽を用意してくれるんだろう?次はどんな快感を与えてくれるんだろう?
その為には、貴方を彼に捧げるのも悪くは無いと思って」
梓が右手でそっと舞の頬を撫でる。
「舞・・・、貴方の人生をその男にあげることに私決めたの・・・・」
ぴんぽーん。
玄関からインターフォンの音がした。
「彼が来たみたい・・・。さよなら、舞。こんにちわ、舞」