「変身」

 作:JuJu

 ある朝目を覚ますと、俺は一本のチンポになっていた。

     *

「拓郎(たくろう)お兄ちゃん、起きてよ!」
 妹の英美(えいみ)が俺の部屋に入ってきた。
 いつもの事だ。俺はフトンの中で丸まった。
「朝ごはん出来てるよ。もー!」
 フトンを取られる。
 だが、今日は日曜日だ。その程度の攻撃で起きるものか。
「キャー!!」
 突然、英美の悲鳴をあげた。
 頭の中がキーンとなった。
 英美の奴、俺が起きないと思って新しい技を開発したな。
 これはたまらない。このまま聞いていたら、一日中頭がキーンとなりそうだ。
 俺は負けを認めた。
「わかったわかった。起きるから大声を上げるな」
 俺は眠たい目を開けた。
 目の前に、巨大化した英美がいた。怪獣の様に大きい。
 俺、寝ぼけているのかな。
「お前、いつからそんなにデカくなったんだ?」
 そういえば、部屋やベッドもめちゃくちゃ広くなっていた。足元には俺のパジャマが落ちている。俺のパジャマもバカでかかった。
「お兄ちゃん……なの?」
 英美は言った。

     *

 理由はわからなかったが、俺はチンポになってしまった。
「どうしよう」
 英美は言った。
「それより、俺は急いでしなければならない事があるんだ。女のお前にはわからないだけろうけどな」
「なに? おトイレ?」
「見てわからないかな。
 朝だちだよ! 朝だち!
 男ってのは、朝チンポが大きくなるの!
 それで、立ったチンポを治めるには、収まるまで我慢するか、抜くしかないんだよ。
 だがな、チンポが立っている時、つまり性欲が高まっている時って言うのは、とっても辛いんだよ。
 なんてゆーかな。理性ではダメだと思っていも、体が女とやりたくてしかたないって叫んでいる感じかな。
 くそぅ、お前にも、この苦しみを味あわせたいぜ!!
 抜いてしまえば、性欲も消えるんだけどな」
「あっ! じゃ私、部屋を出るね」
「そーじゃなくて! 俺はチンポになったから、自分ではしごけないんだよ。
 お前に代わりにしごいてほしいんだ」
「しごくって……。
 嫌よ!!」
「兄がこんな事にになっているんだぞ?」
「絶対にいや!!」
 俺の玉は、精液がたまってパンパンだった。いくら朝だと言っても、この溜まり方は異常だ。体がチンポになったために、精液の溜まり方が早いのかもしれない。
 性欲が、俺から理性を奪う。
「頼む。もう限界だ。このままでは気がくるいそうだ」
「いや……」
 誰でもいい、女が欲しい。
 ……ダメだ。英美は、俺の妹……。
 頭ではわかっていたが、体が女を求めていた。
「英美、早くしてくれ。理性がもたない!」
 俺はキンタマを足の様に動かして英美に近づいた。
 俺が動いたのを見て、英美は驚いていた。
 歩くチンポを見ておどろいたのだろう。
 英美は尻餅をついた。
(チャンスだ!)
 俺は英美の足に張りついた。なめくじの様にはいずり、股間を目指す。
 スカートの中に入る。サーカスのテントの様だ。その中に、目指す英美のパンツがあった。
「いや、とってとって!」
 英美がスカートの中に手を入れて来た。
 捕まる物か。
 もう少しなんだ。
 英美の腹のあたりから、パンツの中にもぐり込む。
 俺はついに、英美の股間に来た。
「わかった! なんでもするから!
 だからやめてお兄ちゃん!」
「本当にしごいてくれるんだな?」
「うんうん!」
「わかったよ。俺だってこんな事、したくてやっている訳じゃ……ん?」
「え? なに、この感じ?」
 俺は英美から離れるつもりで、振りかえった。
 その時、俺の体は英美の股間に張り付いてしまったのだ。
「すまん。その……、俺の体が、お前の股間に張りついちゃった。てへっ」
「はやく離れてよ!」
「ちょうどいいや。このほうがオナニーしやすそうだからな」
「離れて!」
 俺の目の前が急に明るくなった。英美がパンツを脱いだのだ。
 左手でスカートのすそをつかんで捲り上げ、右手を俺に向かって伸ばした。
「うわ! やめろ!」
 英美の手だとわかっていたが、これだけデカいと怖い。
 一瞬手はとまどったが、一気に俺の棒の部分をつかむと引っ張った。
「いたたたた!!」
「いたいー!」
 俺と英美が叫んだのは同時だった。
「どうしてお前まで痛がるんだよ」
「そんな……。
 今まるで、自分の体の一部みたく痛かった……」
「ふーん? 俺の感覚がお前にも伝わっているんだ?
 こりゃいいや。これでお前は俺を取れなくなった訳だ」
「もういい!」
 英美は怒って、パンツを履いてしまった。
 パンツの布が体中に当たって締め付けてくる。息苦しくてしかたない。
「英美〜、パンツ脱いでくれよー。苦しいよ〜」
「ふん!」
 英美は無視を決め込んだ様だ。
 だが、しばらくして、モジモジし始めた。
「どうした?」
「股間の……お兄ちゃんのいるあたりから、……なんかモヤモヤした感じが……」
「ああ。きっとそれは、俺のチンポからだよ。チンポの性欲が、お前にも伝わっているんだ。
 いいから抜けよ、男のオナニーって気持ち良いぜ? お前だって、男の快感には興味があるだろ?
 安心しろ、ここには俺とお前しかいない」
「でも……やっぱり……」
 英美はモジモジと体を揺らした。我慢しているんだろう。そのつらさは、俺にもよくわかる。
「お兄ちゃん?」
「なんだよ! 頼むよ、早く抜いてくれよ」
「……誰にも言わない?」
「言わない言わない!
 つーか、チンポになった俺が、誰にいうんだよ?」
 英美はパンツを脱いだ。
 パンツからの絞めつけがなくなった。ホッとする。
 スカートをまくりあげている。
 英美の手が、近寄ってきた。
(さあ英美、早くしごいてくれ!)
 だが、手は遠のいていった。
 また近づいたかと思うと、また遠くに行った。
「なにしているんだよ!」
「あたしにだって、こころの準備があるの!!」
「いいから早くしごけよ! イライラする!」
 俺がキツく言ったため、英美はやっと俺……つまりチンポに触れた。
 ふー。これでやっとスッキリできる。
 だが英美は、いつまでもチンポに触れているだけだった。
「しごくって……どうすればいいの?」
「どうするって……、お前やり方しらないのか?
 あー!! もう!!」
 確かにチンポを見たのも初めてなのかもしれない。男のオナニーなんて見た事もないのだろう。
「だからさ、棒を指でつかんで」
「どの指?」
 チンポに手が触れているのに!! あとはしごくだけなのに!!
 くそぅ! 俺が英美の手を動かせたらいいのに!!
「キャッ! 手が!!」
 英美の手が、俺を力強くつかむ。
 同時に俺が、自分の手でチンポをつかむ感じがする。
 手を上下に動かす。
 俺はゆっくりと、しごかれた
「手が勝手に動く! どうして?」
 やっぱりそうか。俺は英美の手を操っているんだ。
 今度は、英美の口でしゃべりたいと思った。
「あーあー。お! しゃべれるしゃべれる。
 ……え? 今、口が勝手に動いた。
 そうだ。どうやら、お前の体を操れるらしいんだ
 そんな! おちんちんをつけられただけじゃなくて、体まで操られるなんて絶対嫌!!」
 英美は大声で泣き出した。
 うるさくてしかたない。
 頼む、頭がキンキンする。
 泣きやんでくれ。
 しかたない。

 俺は英美になりたいと思った。

 俺の意識は一瞬なくなった。
 気がつくと、部屋がもとの大きさになっていた。
 よかった、理由はわからないが、俺はもとにもどれたようだ。
「よかったな英美」
 その声におどろいた。
 俺は声は女のものになっていた。それも、一番聞き覚えのある英美のものだった。
 俺は体を見た、胸にふくらみがあり、スカートをはいていた。鏡を見ると、俺は英美になっていた。
 股間のチンポはそのままだ。
 苦し紛れだったのだが、本当に英美の体を支配してしまったのか?
 とにかく、これは好都合だ。
 俺はスカートをまくると、チンポをつかんだ。
「はあはあ」
 俺の快感の声は、英美の喘ぎ声になる。
 いままで英美に特別な感情はなかったが、突然英美が女だと言う事を意識してしまった。
 一度意識してしまうと、止まらない。
 女の喘ぎ声に、ついチンポをしごく手にも力がはいる。
 そうだ!
 俺はチンポを擦る手を止めて言った。
「あのね、お兄ちゃん。実は英美お兄ちゃんの事が大好きだったの。
 だから、今日はお兄ちゃんのチンポをしごいてあげるね」
(いいぞ! まるで、英美が言っているみたいだ)
「お兄ちゃんのチンポって大きくて暖かい」
 俺の頭は、快感で意識が遠のいていく。
 英美の、荒い息。
 溜まりに溜まった、俺のチンポが爆発を起こす。
「はあはあ」
 スッキリした。
 意識が遠のいていく。
 気がつくと、俺はベッドに横たわっていた。体は人間の姿にもどっている。どうやら抜くと、元にもどるらしい。
 英美はベッドに座っていた。スカートをまくり、足を大きく開いたまま気絶をしている。
 俺は、英美の肩を揺らした。
「あ? あれ、お兄ちゃん?」
「目がさめたか?」
「キャー! お兄ちゃん! なんで裸なの! 出ていって!!」
 俺は慌てて部屋から出る。
 まて、ここは俺の部屋だぞ。

     *

 次の朝。目を覚ますと、俺はまたチンポになっていた。
「英美、今日も頼む!!」
「いや〜!!」

変身/おしまい