『朝のSOS! 〜エッチな妹の作り方〜』(後編) 作・JuJu (十) 「――こうなれば是非(ぜひ)もない!」 目をつむり腕を組んで考え込んでいたエミだったが、突如目を見開くとひろしを見据えた。 「ひろし! おまえは女から積極的にいやらしいことをしてくれるエロビデオが大好きだよな」 「え? 好きだけど……」 「では、今からそれを実践してやる」 「実践? 何をする気なの? あっ! ま、まさか、エミの体でそれをやるとか言い出さないよねぇ?」 エミは返事をせず、かわりにイスに座っているひろしに駆け寄った。 ひろしの足元でしゃがみ込むと、すばやく彼のズボンをひきずりおろす。 さらにエミの手が、ひろしのパンツにかかる。 「やっ、やめてよ熊野くん!」 「遠慮するな」 「遠慮なんかしてないよ」 「ええい観念しろ! 俺だって男相手に、こんなことをしたいわけじゃない。 これはすべて、おまえのためなんだ!」 エミは、ついにひろしのパンツを奪った。 自分の物を隠そうとするひろしの両手を、エミはむりやり剥ぎ取り、彼の股間に顔を近づける。 だが、勢いのよかったエミも、いざひろしの物を目の当たりにすると、動きが止まった。 激しい嫌悪がエミを襲う。 ひろしの物を凝視しながら、息を飲む。 あれだけ意気込んでいた気持ちも、男の物を目の前にしてしまうと、一気に萎えてしまった。 (十一) エミに憑依しているとはいえ、熊野はやはり男だった。たとえこれが親友を助けるためだとしても、こんなことは出来そうにない。 (くそっ! ピンチを助けられなくて、なにが親友だ! 他に方法はないのに、ここでひるんでどうする! ひろしを助けるために、貴重な飴を使って妹さんに憑依したんだろう!?) 熊野は自分を鼓舞すると、ちらりとベッドの上で眠っている自分の肉体を見た。 その時、彼はひらめいた。 (そうか。俺は妹さんに憑依しているんだ。 だから、ひろしの物を触れるのは妹さんの体であって、俺が直接ひろしの物に触れるわけじゃないんだ。 見るのも妹さんの目を通してだし、しゃぶるのも妹さんの口を通してだ) そう考えると、嫌悪感が薄れた。 (それに、男の物をしゃぶるという屈辱の重さは、ひろしの宝物を捨てた妹さんへの罰にふさわしい) 熊野は目をつむり、ひろしの物を口に含んだ。 (十二) 意外にも、口に含んでみるとそれほど嫌な感じはなかった。 それどころか、口から快感があふれはじめたことに驚いた。そこでいったん口から出し、ゆっくりと目を開いて、あらためてひろしの物を確かめる。 目に入った男の物に、先ほどまでの嫌悪感はなくなっていた。 熊野は、ひろしの物を手に取ってていねいに舐めた。 その都度、憑依しているエミの体から快感が生まれた。その快感は、例えるならば、大好物な食べ物でも舐めているような幸福感だった。 熊野は、味わうようにひろしの物にむしゃぶりついた。 すっかり快感のとりこになっていた熊野だが、それでも任務を忘れたわけではなかった。 (……本当にこれで、ひろしは射精が出来るのだろうか?) 同じ男である以上、快感のツボは一緒なはずだ。だから、そのツボをつくように、ひろしの物をしゃぶればよい。 熊野はそう考えて、以前ひろしと見たエロビデオの技法を、見よう見まねで真似していた。 だが、本当にそれでうまく行くのだろうか。 熊野は女性に自分の物をしゃぶってもらった経験はない。とうぜん、男の物をしゃぶったこともない。 つまり、知識も経験もない、まったくの初心者なのだ。そんな稚拙な技術で、ひろしに快感をあたえられているのだろうか? 自分一人だけが快感に酔いしれているだけで、とうのひろしは、何も感じてはいないのではないだろうか。 熊野は不安になり、視線を上げてひろしの顔を見た。 そこで熊野は驚いた。 そこには、顔を上気させ、熱い吐息をもらしている親友の姿があった。 「ううっ……。エ……エミ。だめだよ、ぼくたち兄妹なのに……。そんな所なめちゃ……。はああんっ!」 甘い嬌声と共に、ひろしはあえいでいた。 熊野は自信を取り戻し、熱意を込めてひろしの物を責め立てた。 熊野は、エミの体が芯から熱くなって来るのを感じた。 (十三) 「ううっ……。これは、オナニーなんか比べ物にならないほど気持ちいいよ」 口によるご奉仕の快感。その初めて経験する快感が、ひろしの体の中を駆け抜けてゆく。 (女の子から、こんなエッチなご奉仕をしてくれるなんて。 まるでぼくがエッチなビデオの登場人物になったような気分だ。 いや違う。これは現実なんだ) ひろしは夢中で、快感をむさぼった。 妹が自分の部屋で、おいしそうに自分の物をしゃぶっているという状況が、ひろしをますます興奮させた。兄妹同士の禁断の愛と言う背徳が、さらに彼の欲情を煽り立てる。 ひろしは快感に目が開けられず、薄目でエミの姿を見下ろした。 (そういえば、エミのやつ、いつのまにこんなに胸が大きくなったんだろう?) 美人で胸の大きな妹が、自分の物をしゃぶっている。 上目遣いで、気持ちいいかどうかうかがいながら、一生懸命に、自分の物をしゃぶっているのだ。 その姿は、とても献身的に見えた。 さらに、エミの肉体も欲情しているらしく、頬が紅くほてっている。目はうつろになって、息も荒い。 可愛い制服姿を着たままというのも、またよかった。 快楽の中、ひろしは思わずエミの頭を掴むと、彼女の頭を引きつけ、自分の物を喉の奧まで入れた。 (十四) 「グフッ! ゲホゲホ……」 ひろしの物が喉の奧に当たったエミは、おもわず咽せ込んでしまった。 「あ。ごめん! つい興奮して」 「いいんだ。それよりも、さっさと抜いて学校に行くぞ」 そう言うと、エミはひろしの物をふたたび口に含んだ。そして、顔を寄せてみずから喉の奧までひろしの物をくわえ込む。 ついにひろしは絶頂を迎え、エミの口の中で自分の物を爆発させた。 エミは一瞬驚いた顔をしていたが、すぐに精液を飲み込んだ。 「の、飲んじゃったの……?」 エミは射精したばかりのひろしの物を舐め回すと、中に残った精液まで吸い取った。 エミの肉体が、男の体から出る液体を、自分の体に取り込みたいと訴えていた。エミの肉体が、男をもっと欲しいと願っていた。口だけではなく、女の大切な場所に入れて欲しいと嘆願していた。 ひろしは絶頂を迎えたが、エミの体は絶頂にはまだほど遠い。エミの体が、快感の絶頂を欲していた。 口に含んだだけで、これだけの快感をもたらすひろしの男の物。それを、女の大切な場所に入れたら、どれほどの快感をもたらすのか。エミは想像しようと試みたが、とても想像さえできなかった。 想像さえ絶する快感が、目の前で待っていた。 しかし、それを試すだけの時間はなかった。 エミは、横目で鳩時計を見た。 キャンディーを舐めてから十四分の時が過ぎていた。 あと一分で、効力が切れてしまう。 エミは、快感がもたらす夢のような世界に、別れを告げなければならなかった。 なごり惜しいが、ここでやめなければ、親友のためにしてきたことが、すべて水の泡と消えてしまう。 エミは強い意志で自らを叱咤し、理性を取り戻した。 「これで、学校まで走れるな。 俺はこの体を妹さんの部屋に戻すから、ひろしは制服に着替えておけ」 エミは立ち上がると、ひろしの部屋から出ていった。 (十五) 「う〜ん」 ひろしのベッドに寝ていた熊野が、目を覚ました。両腕を伸ばして伸びをする。 同時に、となりの妹の部屋で、壁越しに聞こえるほどの声を張り上げながら、エミが叫んでいた。 「えー!? どうして二度寝なんでしちゃったんだろう? ああっ、もうこんな時間! 急がないと遅刻〜!」 その後、慌てて廊下を走る音と、玄関のドアが開閉する音がした。 庭から、犬の声と「タロー、いってきまーす」という声が遠ざかりながら聞こえる。 熊野はベッドから立ち上がると、ひろしを見た。 「さあ、俺たちも急がないと遅刻するぞ」 (十六) ひろしと熊野は、学校に向かって町を走っていた。 走りながら、熊野は先ほどのことを考えていた。 男に性交を求めていたなどと、思い出すだけで寒気がする。だが、エミの体に入っていたとき、熊野は本気でひろしの体を求めていた。肉体から欲する要求に、心が侵され、あの時は理性も倫理も……何もかもどうでもよくなっていた。 そんな気持ちを残したまま、熊野はエミの肉体から離れた。 もんもんとした状態でエミの体から抜け出たため、ひろしと性交をしたいという欲求は、今もエミの体に残っているはずだ。 エミはきょう一日、学校で過ごしている間、ずっと体が疼き続けるだろう。 たとえ心がどう思っていようと、熊野の時と同じように、体からの性欲には逆らえないはずだ。 そして、ひろしとの性交を堪えれば堪えるほど、肉体には疼きは蓄積されていく。 溜まりに溜まった肉欲はやがて我慢できなくなり、その欲望はひろしに向けられるに違いない。 (十七) 「ねえ熊野くん。 あのキャンディーすごいねー」 走りながら、ひろしは言った。 「そ、それでさ……。 あの……その……。 放課後、もう一度やってくれないかな? エミの口、すごくよかったんだ。 ぼく、シスコンにめざめちゃったよ」 「すまん。あの飴はもうない。あれっきりだ」 「え!? そうなの?」 「あの飴はもともと、俺が犬か女に憑依して獣姦を楽しもうと思って、苦労して手に入れた物だからな。 もしもあれば、俺が使う」 「そうだよね。キャンディーが残っていたら、今度は熊野くんが楽しむ番だよね。 ごめんね。ぼくのために使っちゃって」 「気にするな。 獣姦ができなかったのは残念だが、ひろしの役に立ったならば、俺は満足だ」 「ありがとう」 その後、ひろしは立ち止まると、溜め息混じりに言った。 「あ〜あ。それじゃあ、もうエミの口は味わえないのかぁ」 「そんなに落ち込む必要はないぞ。 ひろしの、妹さんともう一度やりたいって願いは叶うはずだ」 「本当?」 「ああ。俺を信じろ」 「うん。熊野くんがそう言うならば、ぼく、信じるよ」 その時、学校の鐘の音(ね)が聞こえた。 「いかん! 行くぞ、ひろし!」 あわてて走り出した熊野と、それを見て、追いかけるひろし。 晴れ渡った五月の空の下、ひろしと熊野は、肩を並べて校門をくぐり抜け、校舎へと消えていった。 (おしまい) |