「だれだ」

「あたしだよ、おにいちゃん、ぐふふふ」

「お、お前」

 揚介がドアを開けると、そこにはかわいいピンクのパジャマを着た春奈が、いや春奈に成りすましたおさむが立っていた。その手に碧色のジュースが入ったペットボトルを握っている。

「入っていい?」

 だが揚介の返事を待つまでもなく、偽春奈は扉が開くやいなや部屋の中に入ってきた。

「どうだい、このパジャマ姿もなかなかかわいいだろう。ぐふふ、今日はとっても楽しかったよ。これからずっとかわいいこの姿で秋奈さんに遠慮なく甘えられるかと思うと、身震いするほど嬉しいよ」

「貴様、いい加減にしろ!」

 わなわなと体を震わせる陽介は手を偽春奈に伸ばそうとする。

「おっと、また僕の首を絞めようというのかい? 大声出すよ。秋奈さんは今度こそ君のことを許さないだろうなあ、それにお母さんだってね、ぐへへへ」

「くっ!」

 にやにやと笑いながら、偽春奈は陽介のベッドに腰を下ろした。