マリアは深呼吸した。

 ハニィ、待ってて。あたしが助けに行くから――そう念じながら、彼女は叫んだ。

「マリア・フラァァァッシュ!」

 その言葉と同時にまわりの空気が眩く光り輝き、その光の中でマリアの着ていた制服が粉々になった。

 一瞬、全裸になるマリア。だが、輝く光の粒が彼女の身体にまとわりつき、新しい服が形成されていく。

 下半身は黒いスパッツで覆われ、両手と両足を白い手袋とブーツが包み込む。同時に上半身を赤いスンスリーブのシャツがぴたりと覆っていく。

 そしてその右手には、使い慣れた巨大ハリセンが握られていた。

「ええっ!? この格好って?」

「成功だっ!」

「うむ……見事だ、マリアの勇姿」

 バトルスーツ姿に変身したマリアの姿を見て、桜塚教授は満足そうにうんうんと頷いた。

「お、親父ぃ……どういうことだです!?」

「お前も変身できたんだ。……そうだな、とりあえず『スウィートマリア』とでも名乗るか?」

「はあっ!?」

 緊張感のない表情でそう言う桜塚教授の顔を、マリアは怪訝そうな顔で見つめた。