自分の中のハニィと話しながら着替えを終えた蜜樹は、ゆっくりと机に座った。

 教科書や参考書が並んだ机の上には、ノートパソコンと写真スタンドが置かれている。スタンドの中に飾られているのは、仲よく腕を組んだ蜜樹とマリアの写真だった。

 いや、マリアと腕を組んでいる少女は今の蜜樹とはだいぶ雰囲気が違う。

 幸せそうに微笑んでいるその表情だけではない。黒い髪、小ぶりな胸、そして着ている制服はマリアのものと同じだ。

「これが君なんだよな……俺と違ってほんとに女の子らしいし、かわいいよ」

 蜜樹は写真スタンドを手にとって、しげしげと眺めた。

 そう、写っているのは一年前の蜜樹……即ち、生きていた頃の本物の蜜樹の姿だ。