『みつお・フラァッッシュ!』

 ハニィの体が光に包まれる。脚をぴったりと包む黒いタイツと白いブーツが白いストッキングと黒のハイヒールに変わっていく。白い手袋が消え、赤いバトルスーツからはふわりとスカートが広がり、ノースリーブの肩から二の腕にパフスリーブ状の袖が伸びていく。服の色が赤から黒に変わり、その肩からスカートに白いエプロンがかぶさっていく。首元を白い襟とリボンが包む。そして赤い髪の上には白いカチューシャが出来上がっていた。
 それは夢の中で奈津樹と蜜樹が着ていたメイド服そのものだが、右手に握られたプラチナフルーレは、その輝きを失っていた。

「シスター様のお命、メイドハニィがお守りします。世界平和の為に」
「うふふふ、頼むわよ、ハニィ。そうね、一緒にこの世界を平和な世の中にしましょう」
「はい!!」


「ハニィ、あなたにお願いがあるの」
「はい、あたしにできることなら何でも」

 目を輝かして答えるハニィを見て、シスターは満足そうに笑う。

「いい子ね。それじゃ、そいつを始末して頂戴。あたしの邪魔をする裏切り者を」

 シスターはハニィの後ろにいるシャドウガールを指差した。

「はい!」

 歯切れ良く返事したハニィは、くるりとシャドウガールのほうを振り向いた。だがシャドウガールを睨みつける彼女の目は、最早さっきまでの優しいハニィのそれではなかった。
 その鋭い眼光に思わずたじろぐシャドウガール。

「ハニィ? ど、どうしたんだニャ!?」
「シスターに仇なす裏切り者、死になさい」


 プラチナフルーレをすっと振り上げるハニィ。
 一方ハニィの変心を理解できないシャドウガールには、その場で肩をすくめて目を瞑ることしかできなかった。