「真帆ちゃ〜ん」

「麗美さま〜」

 俺と麗美さんが同時にリンクに上がると、会場は一段と大きな歓声に包まれる。
 そう、俺たち二人は間違いなく今日の主役だ。
 でもまさか中身が別人だなんて、今ここで滑っているのが実は俺と悠太だなんて、誰も信じないだろうな。
 スピードを上げるにつれてさわさわと脚に触れるスカートの裾の感触を感じながら、俺はくすっと笑いを漏らした。

「真帆ちゃん、かわいい〜」

 笑顔を見せる俺に、観客の声援がさらに大きくなる。

「真帆ちゃん、勝負よ」

 横を滑りぬける麗美さんの声が通り過ぎていく。

 あいつ、すっかりなりきってるな。よし、俺だって!