コードNo. S−N03
作品名 皇帝陛下の戦場
作者名 矢野徹
掲載メディア 角川文庫(小説)
ジャンル 入れ替わり






解説&内容紹介

 77歳のベテランSF作家のヤノは2001年8月11日土曜日・新装なった目黒公会堂で行なわれる予定の第40回のSF大会で行なう余興のショウ「SFキじるし大魔術」に出てもらうよう大会委員長から依頼される。それは舞台の上で喜寿のお祝いを受けたヤノが気合もろともに若い女性に変わるというものだ。「そんなもの何が面白いの」と疑問をぶつけるヤノだが、委員長は「喜寿を迎えられる記念ですよ」のせられて結局そのショウを受けることになってしまう。
 さて、大会当日である。司会者に紹介されたヤノは「これから大魔術をご覧いただきましょう」という司会者の言葉と共に壇上の大きな木箱に入る。その中には打ち合わせ通りヤノと交代で外に出ていくようスタンバイしていた水着姿の美女が入っていたが、狭い木箱の中で彼女と二人きりになった途端ヤノは気を失ってしまう。
 気がつくと司会者が「皆さん、ヤノさんがこのように変身なさいました」と彼の手を引っ張り上げる。打ち合わせと違うと思いつつも立ち上がるヤノ。だが様子がおかしい。体が軽い。手が白い。観客は拍手大喝采だった。そう、ヤノの体はビキニ姿の美女と入れ替わっていたのだ。
 結局それはアンドロメダ宇宙人の仕業だった。ヤノを彼らの宇宙に招待しようというのだ。そのために宇宙旅行に耐えられるように彼を若い体に移し変えたのだとヤノの前に現われたアンドロメダ宇宙人は説明する。招待の申し出を受けるヤノだったが、結局体は彼の元の体の28歳時のクローン体にしてもらうことにする。
しかしクローン体が出来上がるまでの1週間、彼は18歳のキミコの体で楽しい日々を過ごすことになるのだった……。


 昨年お亡くなりになったベテランSF作家矢野徹先生が1983年に書かれた作品です。上に書いた内容は物語の最初の50ページまでの部分で、楽しい日々の内容はさらっと流してますし、えっちな要素はほとんどありません。
 この後若返ってアンドロメダ宇宙に行くことになったヤノは、傭兵としての波乱万丈の体験をすることになります。TSとは関係ないので後の展開については割愛させてもらいますが、あちこちに有名SF作品のパロディ的要素を含んだSF好きにはたまらない作品です。



作品は
「異次元戦場シリーズ1 皇帝陛下の戦場」(角川文庫刊:昭和58年初版)で刊行されています。